トヨタセリカ 1600GTV & 2000GTLB
(2010年 8月 8日記載)
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日本の名GTカーを取り上げるシリーズも今回で4回目になりました。今回取り上げるのは、トヨタのセリカ。セリカの2000GTリフトバックは、子供の頃にミニカーを持っていたし、大学のバレーボール部の先輩が乗っていて、僕も乗せてもらったことのある想い出の車。
このトヨタ・セリカ、実は国産初のスペシャリティカーなのである!トヨタの本格的なスポーツカーとしては過去に2000GTが存在したが、純粋なモータースポーツ用ではないスペシャリティカー、それが初代セリカ。従来のセダンをGTカーに仕立て上げた車とは違い、(ベースはカリーナだが)そのフォルムはスタイリッシュなオリジナルボディが与えられたのである。例えば、それまでのトヨタのGTカーと言えばトヨタ1600GTだが、これはコロナ・ハードトップにGT用のエンジンを押し込んだものである。羊の皮を被った狼的に走りは凄いが、見た目はどうしたって"おじさんセダン"だった。しかしセリカは違った。お洒落で、かっこいい。そこが、味噌!
トヨタ1600GT(ヒストリーガレージにて)
派生モデルではないスペシャリティカー"セリカ"。初代セリカは、1970年に登場。メカニカルコンポーネンツはカリーナと共有が図られているが、クーペボディはオリジナルで、エンジン、サス、ブレーキ、タイヤなどにスポーティーなチューニングが施されている。ボディサイズは全長4,165mm(全幅1,600mm×全高1,310mm)で、2ドアの5人乗り。車重は、940kg。現代の基準からすると、随分とコンパクトで軽い。
初代セリカには、特定のグレードと言うのが実質的には存在しなかった。基本的な装備の違いにより、ET、LT、ST、GTの4種類があったが、フルチョイスシステムにより、ユーザー自身が数多くのアクセサリーやチューンナップパーツから好みの物を選択して、自分だけのスペシャルなモデルを作り上げることができた。フルチョイスシステムも、日本ではこのセリカが初である。
エンジンは、1.4リッターと1.6リッターの直列4気筒エンジンの2種類あり、115psの出力を発揮する1.6リッターDOHCツインキャブレターエンジンは、GTにのみ搭載された。トランスミッションは、4速or5速のマニュアルの他、トヨグライド3速オートマチックの選択も可能だった(※ただしGTは5MTのみ)。インテリアの基本形も、9種類用意された。
1972年には、GTの足回りを固めた純スポーツ仕様のGTVも追加された。
子供の頃撮影したセリカ1600ST
後方から見た1600ST(隣町にて)
1973年には、大型のテールゲートを備えたリフトバック(LB)がラインナップに加わった。同時に、145psを発揮する2リッターエンジンもラインナップされた。全長はクーペタイプより僅かに長く4,215mmで、車重も増えて1,040kg。アウトドアレジャーの普及に対応して、スペースユーティリティの向上を目指して開発された。ただし乗車定員は4人となる。このリフトバック2000GTは、大人気となった(※大学の先輩が乗っていたのは、このセリカLBである)。
さて、この初代セリカ、なぁ~んか全体的なフォルムと言うか、雰囲気がアメリカの"フォード・マスタング"に似ている(→フォード・マスタングについてはこちらをクリック!)。似ているのも無理も無い。トヨタは、フォードのこのヒット車"マスタング"を手本として研究したのである。前述のフルチョイスシステムも、マスタングが採用した画期的なシステムだった。
子供の頃撮影したセリカ2000GTリフトバック
前方から見たセリカ2000GT(隣町にて)
後方から見たセリカ2000GT(隣町にて)
1977には、2代目セリカが登場。カリーナと共通のボディを持ち、1.6リッターOHVから2リッターDOHCまでの5種類のエンジンを用意した。ちなみに、2リッターDOHCエンジンの出力は130ps。ボディは大型化し、全長4,410mm(全幅1,640mm×全高1,300mm)。車重も1,055kgとやや増加。2代目セリカはよりラグジュアリー感が強まっているが、個人的な好みでいえば僕は初代セリカのデザインの方が好きである。
2代目セリカ(都内秋葉原近辺にて)
翌1978年には、セリカXXが登場。アメリカ市場で人気を誇っているフェアレディZに対抗するために開発されたモデルである(→フェアレディについてはこつらをクリック!)。同年、日本にも導入された。搭載されるエンジンは、140psを発揮する2.6リッターエンジンである。21.5kg-m/rpmとトルクフルで、正にアメリカングランドツアラーだった。
また同年、従来の2000GTVに変わるモデルとして、LB2000GTラリーが登場した。GTと同じ2リッターDOHCエンジンを搭載するが、リヤブレーキはドラムとするなど購入しやすいモデルになっていた。
前方から見た3代目セリカ(隣町にて)
後方から見た3代目セリカ(隣町にて)
1981年には、セリカは3代目にチェンジ。ウェッジシェイプの強いデザインとなり、やはり2ドアクーペと3ドアハッチバックの2種類のボディが用意された。ノーズ先端にセミリトラクタブル式のヘッドライトを装備する独特なデザイン(※僕はこのデザインもちょっと苦手で…)。全長4,660mm(全幅1,685mm×全高1,315mm)で、車重は1,235kgと、ひときわ大きくそして重くなった。
エンジンは、当初4気筒の1.6リッター、1.8リッター、2リッターのラインナップだったが、1982年に1.8リッターDOHCターボも発売。これは、日本発のDOHCターボ3T-GTEU型で、出力は160psに達した。また3代目セリカには、1983年にグループB仕様も設定された。。
1986年には、セリカ初のセンターデフ式4WDを採用した、フルタイム4WDスポーツのGT-FOURが発売された。エンジン出力は、185psと言うビッグパワーだった(1987年に、ビスカス式センターデフ方式にマイナーチェンジ)。
2代目XX(千葉県内にて)
3代目セリカに合わせて、セリカXXも1981年に2代目に移行。セリカとの大きな違いは、まずそのエクステリアデザイン。車両の後部フォルムはセリカLBと同じだが、先端のライトはセミリトラクタブルではなく、フル・リトラクタブルヘッドライトを採用し、全長・全幅共に拡大されて精悍なスタイルになっている(こっちのエクステリアデザインは、僕はけっこう好きだ)。搭載エンジンも、直列6気筒の2.8リッターのツインカムと2リッターのSOHCがラインナップされた。2.6リッターエンジンは、170psのパワーと24kg-m/rpmのトルクを発揮した。後に、2000ターボ、2000GT、XXスーパー2000GTブラックなどが、次々とラインナップに加えられた。
ちなみに、セリカXXは米国への輸出名はスープラだったが、2代目セリカXXがフルモデルチェンジする際に国内での名称もスープラに変更された。したがって、セリカXXはこの2代目で終わりである。
←ちなみにこれらがスープラ!
1985年8月には、セリカは4代目に移行。"流面形"と言われたスタイリングを採用し、全車FWD車となった。足回りは、コロナやカリーナのFFセダンをベースとして、ボディタイプは3ドアのハッチバックのみとなった。サイズは全長4,365mm(全幅1,690mm×全高1,295mm)と小型化が図られて、車重も1,110kgと先代よりもかなり軽量な仕上がり。搭載エンジンは、全て横置き。エンジンのラインナップは、直列4気筒の2リッターツインカム、1.8リッターSOHC、1.6リッターツインカム。5MTと4AT(※ATは、電子制御式CT-Sとロックアップ式の2タイプ)。
同年10月には、ターボ搭載の2000GT-FOURを追加。225psのビッグパワーと31kg-m/rpmと言うビッグトルクを発揮して、人気グレードとなった。1987年にはマイナーチェンジと、コンバーティブルの追加も行われた。
さて、4代目セリカで忘れてならないのが、映画"私をスキーに連れてって"である。僕も、ビデオで何度も見た映画。4WDのGT-FOURが、画面で大活躍している。"スキーに行くならセリカじゃないと!"的な印象を、スキー好きの若者にに大いに与えた映画だった。
4代目セリカ・コンバーティブル(地元市内にて)
1989年、セリカは5代目に移行。先代よりもサイズアップし、全長4,420mm(全幅1,690mm×全高1,305mm)となり、車重は1,400kの大幅増!増えすぎじゃない?しかし、これはそれなりの訳がある。
実はこの5代目は…って言うか歴代セリカもそうだが、WRC(世界ラリー選手権)のベースマシンとしての使命も帯びていた(※ラリーでの活躍は後述)。そこで、高性能エンジン搭載を前提に、レベルの高いシャシーと耐久性能の確保が目指された。トヨタとしては初となる4WSも開発された。また、電子制御式のハイドロニューマチックサスペンションも作り上げ、300台限定生産のアクティブ・スポーツに搭載された。5代目セリカはハイテクメカ満載なのである…なので、重いのである。
前方から見た5代目セリカ・ラリーバージョン(ヒストリーガレージにて)
搭載エンジンは、排気量はすべて2リッターに統一され、225psを発揮するツインカムターボを筆頭に、165ps、125psの2種のツインカムユニットを用意。1981年8月にマイナーチェンジされ、その後ようやく世界ラリー選手権参戦のためのホモロゲーションモデル"GT-FOUR RC(ラリーコンペティションの意)"が発売された。RCは、エンジンに耐久性の高い水冷インタークーラーとメタルタービンを装備して、サスやブレーキなども強化タイプに変更。専用デザインの外装パーツも注目を集めた。
このように先進メカを満載し、魅力的な限定車も多数リリースされたセリカだったが、販売成績は先代モデルを下回ってしまった。時代が、クロスカントリーやワゴンの4WD(四駆)のブームへと移っていったためである。またR32型スカイラインGT-RやNS-Xと言ったモンスターマシンが注目を集め、ハイテク満載の実力あるセリカですら影が薄くなってしまった感は否めない。
後方から見た5代目セリカラリーバージョン(ヒストリーガレージ)
ところで、セリカは発売直後から国内のツーリングカーレースやラリーへ参加してきた。中でも、世界ラリー選手権への参戦は注目に値する。1970年代後半から果敢にチャレンジして、80年代後半にはチャンピオンを何度も獲得している。マネジメントは、ベルギーに本社を置くTTE(※トヨタ・チーム・ヨーロッパ)だが、あまりに強いために締め出しに合ってしまった(※具体的には、レギュレーション抵触による1年間の出場停止)。
6代目セリカSS-Ⅱ(地元市内にて)
1993年、セリカは6代目にモデルチェンジ。全長4,435mm(全幅1,750mm×全高1,305mm)となり、全幅が拡大し3ナンバーとなったが、車重は1,220kgと先代と比べかなりの軽量化に成功している。全体的なフォルムはアグレッシブで、ボリューム感溢れるスタイルとなった。エンジンは、2種類の2リッターのツインカム16バルブエンジンが選択可能だった(それぞれ140ps、180ps)。トランスミッションは、5MTと4ATとの組み合わせ。ブレーキは、前後ともサーボ・ディスク。サスは4輪ストラットで、トップグレードには新開発のスーパーストラット(SS)サスペンションが採用された。
6代目セリカGT-FOUR(都内秋葉原近辺にて)
6代目セリカ登場から遅れること4ヶ月、3代目のセリカGT-FOURが登場!2リッターDOHC+インタークーラー付きターボエンジンは、255psのハイパワーを発揮する。センターデフとビスカスカップリングを組み合わせた4WDで、リアにはトルセンLSDを装着。前述のSSサスも採用。ラリーユーズを目的としているので、あちこちに風穴(スリットやエアアウトレット)が開けられている。リアスポは、標準のものとハイタイプの2タイプから選択可能だった。
もちろんこのGT-FOURは、WRCで三菱・ランサーエボルーション(→ランエボについてはこちらをクリック!)やスバル・インプレッサ(→インプについてはこちらをクリック!)の熱いバトルを期待されての投入だったが、前述のWRCのレギュレーション抵触による1年間出場禁止の間に戦闘力を失い、TTEがカムバックした時には、カローラ4WDに主力が移ってしまっていた。そんな訳で、この3代目セリカGT-FOURは、先代のように、国際舞台での華々しい戦果を示す事のできなかった悲劇(?)のGT-FOURである。6代目セリカは、1994年にコンバーチブルも登場している。
6代目セリカ・ラリー仕様(都内市谷近辺にて)
1999年、セリカは7代目にフルモデルチェンジ。7代目は随分と思い切ったデザインにチャレンジした。そのフォルムは、未来のスペースファイターのようである。サイズは、全長4,340mm(全幅1,735mm×全高1,305mm)。車重は1,110kgと先代よりもさらに軽量化されている。後席は、あくまで+2の広さ。搭載エンジンは、1.8リッターのツインカムエンジンが2タイプと言うラインナップ(それぞれ145ps、190ps)。エンジン性能は先代までと比べて随分とこじんまりとした感はあるが、ボディの軽量化が進んだ事もあり、充分にスポーティに走れる。また、SSサスの装着車は、高い操縦安定性を発揮する。
かつてのように"WRX参戦マシン!"みたいなハイテク満載のギラギラ感はなく、むしろ初代のようなお洒落なスペシャリティカーに戻ったと言えば戻ったような気もする。ガンガンに走りこむ車と言うよりは、もっと気軽にスポーツ走行を楽しむライトウェイトスポーツカーの感覚に近いかもしれない。
2002年のマイナーチェンジでは、全車にディスチャージヘッドランプを採用。またサスペンションに新設計リニアコントロールバルブ付ショックアブサーバーを採用して、操縦性、走行安定性を向上させている。
7代目セリカSS-Ⅱ(都内秋葉原近辺にて)
実用的3列シートワゴン車全盛&大不況の今のご時世、スペシャリティカーはホントに売れない。RX-7やスープラ、NS-Ⅹ、S2000と言った車たちが次々とラインナップから消えていった。セリカも例外ではなく、この7代目にてその使命を終えることとなった。
しかし、フェアレディZのように復活した幸運なスポーツカーもあるし、CR-Xがハイブリットと言う別の形のCR-Zとして戻ってきた例もある。セリカも将来、カムバックするのだろうか?子供の頃からセリカを見続けてきた身としては、気になるところである。
2012年5月4日追記:ヒストリーガレージにて、セリカリフトバックGTを撮影しました。
2018年2月24日追記:浮間公園往復ライド時に、セリカリフトバックGTを見ました。
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参考・引用文献
The絶版車ファイル (インフォレスト)
国産&輸入車購入ガイド (JAF出版)
昭和の名車 (JTB・MOOK)
他
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