トヨタ MR-2 & MR-S

(2010年11月28日記載)

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 日本の優れたライトウェイトスポーツカーを紹介するシリーズの3回目。今回は、トヨタのMR-2。僕は、初代MR-2が発売された時の驚きを今でも驚いている。ミッドシップマシンで、2シーターで、リトラクタブルヘッドライト(笑)!こりゃあ、もう、スーパーカー世代には溜まらない設定である!しかし、その性格はパワー命のスーパーカーとは違い、ハンドリング命のライトウェイトスポーツカーであった。

 初代MR-2(地元市内にて)

 トヨタは時折、忘れた頃に異質なスポーツカーを世に送り出す。通常は、コロナなりカローラなりの既存のファミリーカーからスポーティカーに仕立て上げるのだが、トヨタ2000GT(→2000GTはこちらをクリック!)やトヨタスポーツ800(→スポーツ800はこちらをクリック!)のような異彩を放つスポーツモデルも過去、世に送り出している。このMR-2も、トヨタと言う会社ではかなり異質なモデルだ。最初はショーモデル"SV-3"として注目を集めたコンセプトモデルだったが、市販の要望があまりに高く、1984年、トヨタは市販車として初めてミッドシップ車として市販化したのである。MR-2の"M"は"Midship Engine=ミッドシップエンジン"、"R"は"Runabout=ランナバウト"、"2"は"2-seater=2人乗り"を意味する。
 サイズは、全長3,925mm(全幅1,665mm×全高1,250mm)とコンパクトで、車重も950kg(AT車は980kg)。このこのコンパクトでライトウェイトなマシンのミッドに、カローラ譲りの1.5リッター直列4気筒SOHCエンジン(83ps)、もしくは130psを発揮する1.6直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載する。この1.6リッターエンジンは、レビンやトレノに搭載されていた4A-GELU型の高性能スポーツの名エンジンである。1986年には、145psを発揮するスーパーチャージャー付きエンジンもラインナップに加わった。サスは、前後ともストラット&コイル。ブレーキは、前がベンチレーテッド・ディスクで、後ろがディスク。

 後方から見たMR-2(地元市内にて)

 MR-2は優れたハンドリングマシンだ。ミッドシップのため、重量物が車体の中央寄りに位置して、ヨーイング慣性モーメントが少なく、忠実なハンドリング性能を披露する。優れたドライバーが"絶妙なポイントでアクセルオンすれば、MR-2は自分でも惚れ惚れするような姿勢でコーナーを脱出する…そうだ(自動車評論家じやないので、乗った事が無いもので)。
 MR-2はミッドシップスポーツのため、荷物の積載スペースがない。後部にトランクはあるが、室内には(座席後方にも)ほとんどスペースがない。つまり、日常の実用性があまりないのである。このような生粋の2シータースポーツカーが、日本の市場で生き延びることは難しい。そこで1986年にマイナーチェンジを行い、先述のスーパーチャージャーユニットの追加や、Tバールーフ仕様の追加などを行った。しかし、販売は好転しなかった。

 2代目MR-2(地元市内にて)

 1989年、MR-2はフルモデルチェンジして2代目に進化。ボディは一回り大きくなり、全長4,170mm(全幅1,695mm×全高1,240mm)と全長は20センチ弱も伸びた。エクステリアも、先代に比べて流麗なエアロスタイルとなった。搭載されるエンジンは2リッターの直列4気筒DOHC16バルブエンジンとなり、スーパーチャージャーはターボへと切り替わった。インタークーラー付きツインエントリーセラミックターボを組み合わせた3S-GTE型エンジンの出力は225psに達した。自然吸気の3S-GE型エンジンも、吸気システムやステンレス製エキゾーストなどの採用で高効率化され、165psの出力を発揮する。ミッションは、5速MTと4速ATを用意し、全グレードにTバールーフ仕様がラインナップされた。

 真っ赤なMR-2(地元市内にて)

 このMR-2は、コーナーリング中にコントロール不能でスピンする危険な車と囁かれたことがある。一部は事実で、一部は誤解のようだ。とある自動車評論家は次のように語る…"元々MR-2は、ミッドシップと言うレイアウトと、パワーとシャシーのバランスで成り立っているハンドリングマシン。そこに225psと言うビッグパワーを与え、そのパワーを14インチタイヤ2本で吸収させたため、コントロール不可能の危険性に陥る危険性がある"…と。僕は、そもそもMR-2はサーキットでタイムにしのぎを削るようなマシンではなく、マツダ・ロードスター(→マツダ・ロードスターはこちらをクリック!)のように軽快にドライブして楽しむスポーツカーだと思う。そのような訳で、165psの自然吸気エンジンの方がこのマシンの性格に合っていると思う。
 荷物の積載性能などは先代と大同小異であり、日常の実用性はあまり無い。趣味車である生粋のミッドシップスポーツ。初代は世界最廉価のミッドシップスポーツだったMR-2も(※最廉価版で139.5万円)、2代目のGTタイプは263.8万円となり廉価とは言えなくなってしまった。

 MR-S(東京都港区内にて)

 2代目MR-2は、初代のコンセプトからやや離れ、ハイパワーマシンとなり、しかも高価になってしまった。そして2代目登場から10年後の1999年、MR-2の後継車"MR-S"が登場する。
 コンセプトは、初代に原点回帰したようなコンパクトかつ軽量で、適度なエンジンパワーのスポーツカー。サイズは全長3,885mm(全幅1,695mm×全高1,235mm)と再び4m以内に収まるコンパクトなボディとなり、車重も1トンを切る990kg。搭載されるエンジンは、出力140psの1.8リッター直列4気筒DOHCエンジン。自然吸気版のみで、ターボやスーパーチャージャーの設定は無い。絶対的なパワーではなく、クルマ全体のバランスで走らせると言うコンセプトが、ここに如実に現れている。170万円前後の走りに徹した廉価バージョンもラインナップされた。
 トランスミッションは最初は5速MTでスタートし、2002年のマイナーチェンジで6速MTになった。また、セミオートマであるシーケンシャル・マニュアルも選択できた。このマイナーチェンジの際に、リヤタイヤのサイズ変更や、サスの取り付け剛性のアップもされ、また直進性やハンドリングのシッカリ感を目指してボディの補強も行われ、走りの質も向上した。2005年にも、一部改良が施されている。
 MR-Sのハンドリングはミッドシップマシンらしいキビキビした動きを見せるが、ロングホイールベースにより安定感もある。2代目MR-2に見られたミッド特有の緊張感は、ある程度取り除かれた。

 後方から見たMR-S(東京都港区内て)

 また、MR-Sは、ハードトップやTバールーフではなく、ソフトトップのオープンカーとなった。ドアミラーの形状も積極的に空気をキャビンに取り入れる形状で、サイドウィンドウを下げていると正に自然と一体になった感じを受けることができる。
 しかし、荷物の積載量はやはり少なく、日常の実用性は乏しい。トランク部分にソフトトップが収納されるために、荷物は座席後ろのボックスに収納される程度で、2人が乗るともうほとんど何も乗せられない。
 実用性で言えば、同じオープン・ライトウェイトスポーツのマツダ・ロードスターに分があるが、こう言う車はそもそも実用性で選ぶ車ではない。ミッドシップらしい切れ味の良いハンドリングをもたらしてくれるファン・トゥ・ドライブな世界でも稀有な量産ミッドスポーツ、それがMR-Sなのだ。


 真っ赤なMR-S(秋葉原近辺にて)

 セリカのところでも述べたが、現代は実用車一辺倒の世の中で、RX-7、スープラ、NS-Xなどの往年の国産スポーツカー達が次々とラインナップから消えて行き、そしてこのMR-Sも遂に2007年、ラインナップから消えた。スーパー世代のスポーツカー好きとしては、少々寂しい時代である。













参考・引用文献
国産名車コレクション             (アシェットコレクション)
The絶版車ファイル             (インフォレスト)
昭和の名車                  (JTB・MOOK)
間違いだらけのクルマ選び最終版 徳大寺有恒著 (草 思 社)


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