マツダ・ロードスター

(2006年1月8日記載)

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 マツダ・ロードスター。登場した1989年当時はマツダのユーノス・ブランドで、ユーノス・ロードスター(MX-5)と言う名前だった。アメリカでは、ミアータと呼ばれる。それが発表された時の、衝撃と言うか、驚きは今でも鮮明に覚えている。自動車雑誌を買ってきてページを開くと、「もう青い鳥は追わない」…確かそんなコピーがロードスターの写真と共に掲載されていた。二人乗りのライトウェイト・オープンは、外車であれ国産車であれ旧車からチョイスしながら"治し治し""騙し騙し"乗らなければならなかった当時の状況で、ユーノス・ロードスターの出現は車好きの心をおおいに躍らせた。そればかりか、ロードスターの出現とその大ヒットは、世界中の自動車メーカーにも多大な影響を与えた。その辺の事は、おいおい見ていこう。
 その後、名前はユーノス・ロードスターからマツダ・ロードスターに変わった。見分け方は簡単。下の画像を見ても分かるように、エンブレムがまったく違う。

 ユーノスのエンブレム

 マツダのエンブレム


 ユーノス・ロードスターは、ライトウェイト・オープンスポーツの王道を行く車。絶対的なパワー・絶対速度に頼らず、ハンドリングによってコントロールを楽しみ、人馬一体となって走行を楽しむ、これがロードスターの本質である。
 初代登場時のロードスターは、全長が3,970mm(車幅1,675mm、全高1,235mm)、重量は940kgと言う、正にライトウェイト・スポーツである。搭載されたエンジンは、ファミリア用をベースに新開発した1.6リッター四気筒DOHC16バルブエンジンで、120psを発揮した(トルクは14.0kg-m)。トランスミッションは、当初は5速MTのみ。2名乗車時の前後重量配分は、50:50と言う理想的なもの。サスペンションは、四輪ダブル・ウィッシュボーンとコイルスプリングと言う構成で、前後ともスタビライザーが組み合わせられる。価格は、ベースモデルが170万円だった。
 軽量化を目指し、ソフトトップは手動開閉式。Cd値は、オープン時で0.44、クローズ時で0.38と、80年代のスポーツカーとしては良好なエアロダイナミクス性能を持っていた。

 初代ロードスター(千代田区市ヶ谷近辺にて)

 ソフトトップ以外にも、デタッチャブル式のハードトップも用意されていた。ガラス製のリアウィンドーを持つしっかりしたものだが、約20kgと軽量に作られていた。
 初代モデルは日本・北米・欧州で、高い評価を得て、数多くの賞を獲得し、予想を上回る勢いで売れていった。幅広く顧客の要望に応えるべく、新グレードやスペシャル・バージョンのロードスターが登場する。90年に、AT車登場。同年に、ネオグリーンとタンの内装の組み合わせのVスペシャル、92年には足回りを強化したSスペシャルと続々登場。その後も、続々とスペシャルバージョンが生み出されていく。
 93年にはエンジンの排気量が、1,839ccにアップし出力も130ps(トルクは16.0kg-m)にアップした。前後のパフォーマンスロッドや、トルセンLSDも標準装備となった。初代は、全世界で40万台も売れた。

 デタッチャブル・ハードトップタイプ(台東区浅草橋近辺にて)

 1998年1月にフルモデルチェンジを行い、2代目に移行した。基本構成は踏襲したが、丸型2灯のリトラクタブル・ヘッドライトは固定式に変わった。全長は初代より短くなり、3,955mm(幅は5mm広くなった)となったが、重量は1,090kgに増加し、1,000kgを超えた。これは時代の要求、つまり安全基準などがより厳しくなった事もあり、仕方ないところである。

 初代ロードスターの後ろ姿(地元市内にて)

 2代目ロードスターのエンジンは、1.8リッターの145ps(後に160psに)と1.6リッターの125psがラインナップされた。1.8リッターのスポーツグレードには、6段MTが用意された。初代と同様、様々なリミテッドモデルや記念車が生み出されていった。クローズド・ボディの珍しいクーペタイプも、僅か179台ではあるが生産された。
 ロードスターは、1999年秋に累計生産台数が50万台に達し、MGBの生産・販売記録を抜いた。そして、2000年5月に正式にライトウェイト・スポーツカーの世界記録として、ギネス・ワールド・レコード社に認定された。二代目も、初代ほどの販売には及ばなかったものの、30万台を売った。初代と2代目合計約70万台は、世界記録として燦然と輝いている。

2代目ロードスター(秋葉原近辺にて)

 華々しいいくつもの賞や、世界記録だけではない。マツダ・ロードスターは、世界の自動車メーカーにも大きな影響を与えた。二人乗りのオープンカー等が売れるわけが無いというのが、1980年後半当時の市場関係者や自動車メーカーの基本的な考えだった。ライトウェイト・オープンスポーツは、絶滅寸前、風前の灯火のカテゴリーだったのだ。ところが、マツダ・ロードスターが世界的なヒットを記録するに及び、その考え方が180度変わった。ベンツのSLK、BMWのZ3等のライトウェイト・オープンカーが続々と登場する事となったのである。ロードスターの衝撃、影響の大きさがよく分かる。
 2代目ロードスターも2005年4月に生産終了した。

 超~珍しいクーペ・タイプも見ました(事務所前にて)

 これまた珍しいカスタムメイドのロードスター(事務所近辺にて)


※上記車の解説…事務所の近くに凄くかっこ良いスポーツカーが停まっていた。たまたまドライバーが戻ってきたので、勇気を出して聞いてみた。「これヨーロッパかどこかのスポーツカーですか?」。返ってきた答えは「いえいえ、マツダのロードスターですよ。アネーロって言います(←僕にはそう聞こえた)」。立ち話を少ししてから、事務所に戻って「アネーロって何だろう…」と思い検索してみる。アネーロ車そのものには行き着かなかったが、"anello(アネーロ)"はイタリア語で「輪っか」を意味するような言葉だと言う事は分かった。このカスタムカー、いったいどこの誰がパーツを出して作っているのだろう。誰か、知ってたら教えて~(アネーロと言う言葉が、聞き間違いでないかどうかも含めて・・・)。

※2009年2月14日追記:B-MAXさんと言う方よりメッセージをいただいて、上記のカスタムロードスターが、「ボディショップ林」という所のフルカスタムカーANHELO(アネーロ)という名前と言うことを知りました。感謝!
で、Anello(輪っか/イタリア語)じゃなくて、Anhelo(憧れ/スペイン語)でした。


 そして2005年8月、再びマツダ・ロードスターが戻ってきた。3代目ロードスターである。初代の志を忘れずに、ライトウェイト・スポーツカーの王道を行く車。全長は、3,955mmと4m以内に抑えている。全幅は、衝突安全の向上、サイドエアバッグ等の容量確保により1,720mmを超えて、初めて3ナンバーとなった。しかし、安全性の向上や性能の向上を果たす一方で、重量の増加を2代目より僅か10kgの増加に抑えているのは賞賛に値する。徹底的な軽量化が図られているのだ。

 3代目ロードスター(地元のマツダディーラーにて)

 後ろから見たところ(地元のマツダディーラーにて)


 エンジンも、初代同様に絶対パワーを重視してはいない。2リッターの水冷直列4気筒DOHC16バルブエンジンは、170ps(MT仕様)を発揮する(ATタイプは166ps)。最大トルクは、19.3kg-m。外国のライバル・オープンカー達のパワーがゆうに200psを超えてしまい、軒並み1.5トン近くに達していて、果たしてそれをライトウェイトスポーツカーと言えるのか?…と言う疑問のある中で、1,100kgで170psと言う車重とパワーはとてもライトウェイト・オープンスポーツカーらしく、特筆に価すると思う。走りも、ハンドリングも、乗り心地も、燃費も、当然向上している。コストパフォーマンスも、ライバルのS2000が350万円以上する事を考えると、基本装備が充実していて220万~260万円の価格設定はうれしい
 エクステリアデザインもインテリアデザインも確実に上質になりつつも、一目でマツダ・ロードスターと分かるフォルム。新型マツダ・ロードスターも、初代と同様、マニア達の心を魅了してやまない事だろう。

2014年4月追記:早朝散歩中、今度は市内にてまたアネーロを見ました。
 


2016年3月5日追記:2015年5月にフルモデルチェンジした、新型のロードスターを撮影しました。



2016年11月15日追記:市内をサイクリング中に、すごいロードスターを見ました。遠目で見て「ん?TVR?トミーカイラ?何?」と思って近づいてみたら、なんとロードスターではないですか!後部を見て、ようやく分かりました。こりゃ、すごいな!
 














 マイコレクションより"初代ロードスター"

 マイコレクションより"初代ロードスター"

 マイコレクションより"二代目ロードスター"

 マイコレクションより"二代目ロードスター"

 マイコレクションより"三代目ロードスター"

参考・引用文献
マ ツ ダ        (デル・プラドジャパン)
新型ロードスターのすべて  (モーターファン別冊)
ロードスターカタログ
最新国産&輸入車・購入ガイド (JAF出版情報局)


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