犯罪的傾向のある宗教および反社会的な宗教

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3.統一教会(世界基督教統一神霊協会)

 マスコミで、一般に統一教会ないし統一原理教会と言われる宗教団体は、1963年に世界基督教統一神霊協会の名称で宗教法人になった団体の事である(※本国韓国での発足は1954年。以後、統一協会と略す)。伝統的、正統的なキリスト教の教えから離れた異端と言われるキリスト教と言うのは、3大異端と言われる統一教会、モルモン教、エホバの証人を初め、カルト的宗教も含めると数多く存在する。しかし民主主義の世界では、各人が何を信じようがその思想・信教の自由は保障されているので、他人がその信ずる教義の内容についてとやかく言う事はできない。
 しかし、それが人の財産や命に対して損害・損傷を与えるとなると、話は別である。日本の憲法も、他人に損害を与える行為までは保障しない。3大キリスト教異端と言われる宗教団体の中でも、特に統一協会が何故にこれほどまでにマスコミに登場して批判されるのかと言うと、その特出した反社会性が挙げられる。統一協会の活動は、宗教活動の枠を大きく逸脱していると考えて間違いないだろう。この統一協会がいかなる団体なのかについて、考察していきたい。

教祖・文鮮明の略歴

 統一教会の教祖は、文鮮明(むん そんみょん)である。彼の生い立ちを簡潔に追ってみよう。本名は、文龍明。1920年2月25日(陰暦では1月6日)に、朝鮮半島の平安北道定州郡(現在の北朝鮮)で誕生する。1931年、12歳の時に聖書に初めて触れたと言う。文鮮明曰く、1935年、16歳の時に「メシアとして果たせなかった使命を果たしてほしい」との啓示をキリストから受けたと自称している。また自称では、日本の某高等学校へ通学したと言う。また、若き日に、韓国で李龍道と言う青年教祖の率いるイエス教会と言う新興宗教に参加し、代表祈祷をするほどの立場だったと言う。文鮮明の教義は、こう言う韓国での新興宗教「血分け運動」、「混淫派」、「霊体派」等の影響を受け継いでいると言われる。
 第二次大戦が終結し、朝鮮開放後、文鮮明は平壌で宗教活動を行う。既成キリスト教会からは異端視され、また社会主義化した北朝鮮当局に捕らえられて、厳しい獄中生活を送った。この時の苦難・苦渋の経験、怨嗟が、後の反共産主義活動への強力な行動エネルギーの源泉となったようだ。1950年に朝鮮戦争で国連軍によって解放されると、彼は統一協会の設立にとりかかる。すべての宗教と科学が、一つの原理によって統一された理想の統一世界を目指す。彼は釜山に移動し、道中に多くの弟子を持つようになる。1951年に、原理原本を書き始め、翌年には執筆を完了する。
 そして1954年5月1日に、統一協会を設立する。その後、180ヵ国以上で宣教を行う。日本やアメリカも、その中に含まれる。しかしアメリカで脱税のため実刑判決を受け、1984年7月20日から約一年間ダンベリー刑務所に入獄した(当然、教団側は無実の罪を主張している)。日本では、教団への勧誘方法や入信後の奉仕(霊感商法等)、献金強要等が社会問題となっており、統一協会を巡る争いは耐えない。現在、全国規模の被害者連絡会が組織されている。
 現在、文鮮明は妻韓鶴子との間に十数人の子供を持っている(韓鶴子は3人目の妻と言われる)。統一協会教団の青年団体の会長を務める三男の文顯進(ヒョンジュン)は、コロンビア大学でMBAを取得後に教団系の神学校で神学博士号を取得し、高齢の文鮮明の後継者・教団指導者の世襲候補者として将来を嘱望されている。

統一協会の経典と教理

 統一協会の教理解説書(実質的な経典)は、「原理講論」(著者は初代協会長、劉孝元)。旧約・新約聖書を原理講論に従って解釈し、旧約・新約の後に成就したと言う意味で「成約聖書」とも呼ばれる。原理講論の特徴は、世界を二極にとらえる。陽イオン陰イオン、雄しべ雌しべ、男女、東西等、二性性相でとらえ、神も二性性相でとらえる。聖書の神を、被造世界を必要としながら存在せざるを得ない相対的存在とする。またこの理論は当時、東(共産国家)と西(民主国家)に分かれていた世界情勢の中で、共産主義への勝利を唱える勝共理論となっている。
 原理講論の(原罪の原点である)堕落論は、聖書に説かれていない「天使とエバの淫行」を教義とする。エバが善悪の実を食べた事を、エバがサタンと不倫な血縁関係を結んだ事とし、ひのエバがアダムと関係を結んだためにアダムも堕落したとする。罪の起源を、聖書には書かれていない性欲的な事件と結びつける。こうした罪の起源に対する創作による性的解釈が、思春期の悩む若者をひきつける要素の一つではないかとも言われる。
 また原理講論は、イエス・キリストは救いに失敗したと結論付ける。イエスは十字架に付けられるはずでなかったのに十字架に付けられて殺されて、彼の肉身はサタンの侵入を受けた。だから十字架の贖いは不完全で、彼を信ずる信徒の肉身もサタンの進入を受けているとする。結論として言いたいのは、その救いを完成させるのが文鮮明だと言う事である。対外的には「文鮮明先生は、ご自身で私は再臨主だとは一度も言っていない」と発表している。しかし、原理講論の中では、再臨主が現れる場所は「東の国」の、「民主(神側)」の「共産(サタン側)」の衝突する一線の、「太平洋の半島」でなければならないとする。文鮮明が再臨主だと言わんが為に、このように回りくどい事を言っているのである。元統一協会の信者達は、「結局、文鮮明から祝福を受けなければ救われないと言う教義」であると一致して証言している。
 統一協会の経典「原理講論」は、近年では「天聖経」に移行しつつあると言う。天聖経は、文鮮明の発言録であり、新たに神を中心として出発する地上天国における「天の聖書」とした経典である。これにより、文鮮明の思想が最優位であるとの立場を堅持する事となった。

統一協会の活動方法

 統一協会が、一般市民に宣教を行う時、教団の名前を明かさず、正体を隠して勧誘活動を行う。段階的な活動の最後で、統一協会である事を明かす。こうした活動をしているのは、統一協会自身が社会的な悪評がたっているのを知っているからだ。統一協会へ体を張って潜入したジャーナリストによると、何時間ものぶっ通しの講義の末、その教えを肯定する発言をしなければならないような雰囲気、状況になっていくと言う。
 勧誘活動には様々な形態があるようだが、その実態がすべて明らかになっている訳ではない。自己啓発のビデオセンターを初め、数々の勧誘形態がある。研究施設などで行われる合宿形式の修練会で、初めて統一協会や文鮮明の名が明かされる。修練会期間中は、スタッフや参加者同士との会話以外、外部との連絡が基本的に不可能。短期間の集中的な缶詰合宿で、マインドコントロールに類する効果で教義を詰め込んでいく。
 霊的・神秘時な効果のある商品を売りつける霊感商法活動も、表立ったやり方はさすがに減ってきたようだが、手相占いを装って一般市民に近づくような方法も指摘されている。売りつけられる商品は、印鑑、壺、絵画、宝石、水晶、数珠等様々。商品には、(笑えない話だが)仏壇や仏像まである。手相を見て運勢を論じ、これらの商品の購入を迫る。この時点では統一協会である事をあかさず、商品を買った人間を段階的に勧誘していく。もちろん壺や宝石が数珠が、運勢を改善する事は科学的に証明されていないし、今後も証明されないだろう。バカバカしくて書くのもためらわれるが、聖書も、壺や印鑑や数珠によって運勢が良くなるとか、救われる等とは、もちろん書かれていない…念のため。「霊感商法」は「悪質な商売」のための詐欺活動だと、100%断言しておく。
 正体を隠して様々な勧誘活動をしているので、現在どのような勧誘活動、商活動をしているのか私も分からない。今後、新たな活動方法がマスコミに登場する可能性があるかもしれない。


統一協会が関連する団体や関連のある人々


 統一協会には、関連組織・団体や企業が数多く存在する。その代表的なものが国際勝共連合である。先に見た通り、文鮮明の共産主義国家に対する恨みは根深い。共産主義を滅ぼすべきサタンと見る教義により、勝共理論によって徹底的な撲滅を目指す。
 国際勝共連合は、表向きは統一協会の友好団体だが、実態は統一協会の政治活動部と言ったところ。国際勝共連合の活動は、既存の右翼政治団体も唖然とするほどの極度な共産主義排斥運動を展開。激烈な反共宣伝、強引な署名カンパ、選挙妨害等を展開した。右翼の大物、故・笹川良一氏が名誉会長を務めた事もあり、同じく右翼のフィクサー、故・児玉誉士夫氏との結びつきも知られていた。自民党の岸信介氏、福田赳夫氏とも親密な関係を持っていた。統一協会の関連団体(※統一協会のダミー組織)は他にも数多くあり、とてもこのコーナーですべて説明する事はできない。全国霊感商法対策弁護士連絡会のホームページ等をご参照下さい。(また統一協会系の企業も多数存在するが、企業活動の実態についての情報が無いのでここでは省略します)。
 1974年5月7日、東京の帝国ホテルで同ホテル始まって以来の大晩餐会が開かれた。内容の実態は、文鮮明の講演会である。出席者は、当時大蔵大臣だった福田赳夫氏や農林大臣だつた倉石忠雄氏ら閣僚や国会議員、県議、市議等の政治家、大学教授、法律家、実業家、韓国大使、韓国国会議員、宗教関係者等1,700人。主催者は、岸信介元首相を名誉委員長とする「希望の日」実行委員会。文鮮明の来日の目的は、各界にシンパを生み出して統一協会の市民権を得るためであったと考えられる。

合同結婚式

 よくマスコミで取り上げられる統一協会主催の"合同結婚式(正式名称は国際合同祝福結婚式)"。信者の間では、"祝福"と呼ばれる事が多い。真の父母である文夫妻と一体になる事で、祝福を得るための儀式である。儀式の中の聖酒式は、(象徴の意味でか実際かは不確かだが)文鮮明の血が入っている事になっている。文鮮明が血統にこだわるのは、文の略歴でも述べたが「血分け運動」等新興宗教の影響を受けているためと思われる。サタンの血を浄めるには、聖霊を受けた人の新しい血を宗教的意識のこもった性交によって受け入れねばならない、と言う教義に起源があると言う。
 1960年に第一回の合同結婚式が行われて以来、参加者は増加している。文鮮明の推薦によって選ばれたカップリングや夫婦が、家庭を築く事を目的としている。最近では、当事者同士が決めた結婚も認められているようだ。
 韓国では、嫁不足の農村部へも日本人女性が嫁いでいくと言う事で、統一協会主催であると言う事実を深く考えずに合同結婚式に参加している韓国人男性も多い。合同結婚式に参加した日本人女性は数万人と言われ、その家族が弁護士に被害を訴える件数も、1987年から1997年までの11年間だけで、18,841件に上ると言う。

統一協会の被害

 マインドコントロール・洗脳の疑義や悪質な霊感商法を初めとする統一協会の被害はあまりに多くて、ここですべてを記す事は困難だ。そこで、約300名の弁護士からなる「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が各省庁に提出した公開申入書を全文記載して、その代わりとさせていただく(同会ホームページでは、統一協会による被害実態や相談、各種判決等を参照できる→見るにはこちらをクリック)。

         公 開 申 入 書

                 全国霊感商法対策弁護士連絡会
                     代表世話人 弁護士 伊藤和夫
                     代表世話人 弁護士 平岩敬一
                     代表世話人 弁護士 廣谷睦男
                     代表世話人 弁護士 馬淵 顕
                     代表世話人 弁護士 芦田禮一

    (連絡先)新宿区新宿一-一-七 コスモ新宿御苑ビル五階
         東京共同法律事務所 TEL 〇三-三三四一-三一三三
                   FAX 〇三-三三五五-〇四四五
                  右連絡会事務局長 弁護士 山口 広

一九九八年四月三日

                    〈申入の趣旨〉

一 当連絡会は、いわゆる霊感商法による被害者の救済と被害の根絶のために一九
 八七年五月に全国の約三〇〇名の弁護士によって結成された連絡会です。
  当連絡会は、右霊感商法を組織的に推進して資金源としている世界基督教統一
 神霊協会(以下「統一教会」)の創始者であり、信者が「真(まこと)のメシア
 」として絶対視している文鮮明が、本年六月に日本に入国するための工作を日本
 人幹部を通してさせているとの情報を得ました。当連絡会は、同人の入国を後記
 理由により許可すべきではないと考えますので申し入れます。
二 また、文鮮明は、統一教会グループの財政的な危機を乗り切るために、これ
 まで以上に高額の献金を文鮮明に提供させようとのねらいで、韓国人信者を日本
 各地に滞在させています。彼らは文鮮明の指示で全国各地の地域や地区の責任者
 として配置され、日本人信者に厳しい資金集めを指示しています。その実態は、
 信者に対し、霊界での恐怖をあおって強いて全財産を統一教会に提供させようと
 するもので、宗教活動としての許容範囲を逸脱した違法なものであると考えられ
 ます。
  よって、このような韓国人信者の入国及び滞在期間延長の許可についても厳重
 な調査の上、安易に許可なさらないよう申し入れます。

千代田区霞ヶ関一-一-一
 法 務 省
  法務大臣 下稲葉耕吉 殿

千代田区霞ヶ関二-二-一
 外 務 省
  外務大臣 小渕 恵三 殿

千代田区霞ヶ関三-二-二
 文 部 省
  文部大臣 町村 信孝 殿

千代田区霞ヶ関一-一-一
 法務省入国管理局(入国在留課)
  局  長 竹中 繁雄 殿

千代田区霞ヶ関二-二-一
 外務省大臣官房領事移住部外国人課
  課  長 小井沼紀芳 殿

千代田区霞ヶ関三-二-二
 文化庁宗務課
  課  長 前川 喜平 殿

          〈文鮮明の入国に反対する理由〉

一 文鮮明は、アメリカで脱税のため実刑判決をうけ、一九八四年七月二〇日から
 約一年ダンベリー刑務所に入獄していた。
二 統一教会は、献金強要事件で再三その法的責任を認める判決をうけている(福
 岡事件では平成九年九月一八日最高裁判所判決。この他、平成八年一二月三日高
 松、平成九年四月一六日奈良、平成九年一〇月二四日東京の各地方裁判所の判決
 )また、同旨の仮差押決定は全国各地において約二〇件に及ぶ。
三 一九九二年、一九九五年、一九九七年に行なわれた文鮮明夫婦が司祭となる合
 同結婚式は、いずれも社会問題になった。文鮮明はさらに九九八年六月一二日に
 も世界各地で合同結婚式をやると宣言している。そのメイン会場を東京にして、
 文鮮明夫妻がその司祭として臨席することを目論んでいる。統一教会は現に都内
 の会場を探している。
  この合同結婚式に参加した信者の相手異性との入籍については、平成八年四月
 二五日の最高裁判所判決を含めて合計約四〇件余りの婚姻無効判決、審判が確定
 している。このような事態は、公正証書原本不実記載罪等の犯罪を組織的に指示
 しているとも言えるものでその反社会性は重大である。
四 文鮮明は、約六〇名の韓国人を日本各地の地域長、地区長、教会長、あるいは
 「国家メシア」などとして日本に入国させて滞在させている。彼らは日本人信者
 に対して厳しい献金指示を各地で行なっている。その節目が六月一二日の文鮮明
 の入国であり、それまでに日本人信者に対し合計四〇〇億円を献金するよう指示
 されて、信者らが奔走させられている。
五 世界平和(統一)家庭連合、世界平和女性連合、真(まこと)の家庭推進委員
 会、韓日人協会、天地正教等様々な統一教会のダミー団体名で合同結婚式参加者
 募集のための街頭署名、戸別訪問での署名等が全国で推進されている。この新た
 な社会問題を指示しているのも文鮮明である。
六 文鮮明が過去に入国した際の実状は次の如きものであった。
 1 一九七八年の入国の際には、来日の目的外活動である合同結婚式を日本国内
  で突然強行するなどしたため、その後の入国を認められなかった。
 2 一九九二年三月末の入国については、金丸信代議士(当時)等の政治的圧力
  により「東北アジアの平和を考える国会議員の会」との意見交換の名目で入国
  が認められたとされている。ところが、韓国統一教会が発行している機関紙「
  史報」によると、三月二五日に入国して四月一日に離日した文鮮明の行動実態
  は次のとおりであった。
   三月二六日 信者の歓迎会出席
   三月二七日 本部教会で一〇〇〇人の信者、四〇〇人の職員らへ講義、三〇
         〇名のアジア平和女性連合の幹部(ダミー団体の信者)に講義
   三月二八日 名古屋で信者に講義
   三月二九日 大阪の宝塚修練所で一〇〇〇人の信者に講義
   三月三〇日 統一教会の傘下企業である株式会社ワコムを視察し、議員との
         夕食会に「参列」
   三月三一日 統一教会の事業部的存在である株式会社ハッピーワールドを視
         察し、中曽根、金丸各議員と順次会談。統一教会傘下の新聞社
         である世界日報を視察
   このような在日中の行動を見れば、国会議員との会議出席は入国の口実にす
  ぎず、日本の統一教会組織のひきしめ、立て直しを目的とした入国であったと
  認められる。
   今回の入国は統一教会が公言している合同結婚式の日程にあわせたものであ
  り、より一層の社会的混乱をもたらすことが必至である。
七 イギリスやドイツ等においても、統一教会の反社会的活動の実態にかんがみて
 、一九九七年に入国を認めなかったと報道されている。
                                   以上
 (※海外で1年以上の刑をうけた者は日本に入国できないことになっている)。


最後に

 統一協会の主目的は宗教ではなく、本質的に悪質な経済活動であると判断されても仕方無い活動をしている。悪質な霊感商法や高額な献金・財産の供出の強要だけでなく、捏造記事報道、政界への献金工作、闇組織との関連も指摘もされている(オウム真理教を追っていたジャーナリストが、取材を進めていく中で背後に統一協会の存在に気がついていった記事については、オウム真理教の章を参照されたし→ここをクリック)。

 統一協会の被害を未然に防ぐ事ができるように、少しでも多くの人にその教団の実態を知ってもらいたいと思い、ここにその一端を記しました。


(記載:2005年11月27日)