入口 >トップメニュー >戦争と平和 >現ページ

番外編3.9月11日の衆院総選挙を終えて
              (2005年9月12日記載)


 2005年9月11日の衆院選挙、自民の圧勝。ここまで勝つとは思わなかった。

 日本のこの閉塞状況下の出口が見えない状況で、強いリーダーシップとカリスマ性を持つ指導者が現れたら、必ず大多数の日本人は熱狂的にそれを支持するだろう、と某心理学者は以前から指摘していた。英雄待望論の一つの形である。それが現実になった形だ。問題は、そのリーダーシップを発揮するべき具体的な政策内容が支持されているかどうかよりも、その未知数のリーダーシップ力とパフォーマンスに力点が置かれて支持されていると言う点だ。

 ナチス政権に至る第一次大戦後の大不況下のドイツでは、民衆はヒトラーの話の内容を理解していたわけではなく、ラジオから流れるヒトラーの声の抑揚を聞いて、圧倒的な権力をナチス・ヒトラーに与えた。今回、小泉政権の政策の中身はほとんど説明されていないし、きちんと理解されていない。「民営化」「改革」と言う"耳障りの良い言葉"、"強く語られる声"だけが踊っていた。今後、勝ち組の論理、強い者だけの論理で政治が進んでいく事が、心から心配だ。今後の政治が戦前の大政翼賛会的になりつつあるのではないか、と心配してしまうのは僕だけではないだろう。

 今回、自・公で2/3以上の議席を確保し、憲法改正も近いうちに必ず政治日程に上ってくると思う。選挙直前に出された自民党の「新憲法条文案」は、一般の人の目に触れる事もなく選挙だけが"大勝"で終わってしまった。新憲法の条文は、"戦争放棄の項目"つまり「戦力の不保持」と「交戦権の否認」 を削除した。また「国民の責務」の項目が設けられ、「個人の自由や権利」に制限が加えられていく。宗教団体への公金の支出(主には神社への玉串料等を念頭 に置いている)も、可能なような条文になっていて、信教の自由が歪められていく。憲法改正の手続きも、現行の各院の総議員数2/3以上から過半数で国会で発議できるようにしている。つまり、政権を取っていれば、いつでも好きな時に憲法改正を発議出来ると言うことだ。気がついたら憲法改正が成っていて、いつの間にか私達の生活から思想や信教の自由が失われている…そんな事にならないよう、今回当選した国会議員の方々には理性ある行動をぜひともお願いしたい。「郵政民営化」で反対した議員は、"反対と"言う主張だけで処分された。憲法改正についても、同様の「有無も言わせない」手法で改正されるとしたら、とても恐ろしい事だ。今、日本の未来に暗雲が垂れ込めていると感じる。

 今年見た映画、スターウォーズ・エピソードⅢのお話し。暗黒の勢力が、民衆受けするプロパガンダと政略と戦争で民衆をまとめ上げて、大軍隊を持った大帝国を築き上げる。帝国の指導者は、平和を維持しようと努めるジェダイの騎士や議員を滅ぼし尽くそうと手を尽くす…これは、あくまで空想の映画のお話です。

 今後の日本が何処へ向かうのか、本当の改革なのか、改悪なのか、しっかり見極めなければならない。


憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本

新品価格
¥1,512から
(2014/11/17 09:12時点)

 

日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門 (朝日新書)

新品価格
¥842から
(2014/11/17 18:07時点)

 

秘密保護法 社会はどう変わるのか (集英社新書)

新品価格
¥756から
(2014/11/17 18:07時点)

 

国家と秘密 隠される公文書 (集英社新書)

新品価格
¥778から
(2014/11/17 18:05時点)