現代自然環境破壊学概論

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はじめに
★1987年1月論文の内容

Ⅰ.環境破壊とは何か?

 まず、"環境"とは何を意味するかを考えてみる。広辞苑によれば、-かんきょう[環境]①めぐり囲む区域。②四囲の外界。周囲の事物。特に、人間または生物をとりまき、それと相互作用を及ぼし合うところの外界。自然的環境と社会的環境に分けることができる。-とある。少々言い回しがくどいようだが、要するに地球上のほぼすべてを環境と言うことができ、それは自然的環境と社会的環境に分けられる。尚、付け加えて言うと、"自然"と"社会"のそれぞれの意味は、手元の国語辞典を引くと、前者は、-①人工の加えられない様子。人間の手が加えられてない天然のままのもの。②ひとりでにできた状態。天然。-とあり、後者は-①協同生活をする人々の集まり。②世の中。世間。-となっている。
 続いて、"破壊"とは、同上国語辞典によれば、-こわすこと、またこわれること。-とある。つまり、"環境破壊"とは[人間または生物をとりまき、それと相互作用を及ぼし合うところの外界をこわすこと、またそれがこわれること]と言うことになる。やはり、これも"自然環境の破壊"と"社会環境の破壊"に分けることができる。図A(下記添付・挿入資料参照)は、現在存在する、または予想される環境破壊を、ごくおおまかにまとめたものである。この内、自然環境の破壊は、-大気汚染、森林破壊、表土流出、河川・海洋汚染、生物種の減少など-が挙げられ、一方、社会環境の破壊は、-交通事故、犯罪、騒音、スラム化、テロ、アパルトヘイト、大飢饉など-が挙げられる。実際のところ、両者を分けるのは難しい面もあるのだが(例えば、公害や原子力の事故や戦争などは、自然と社会の両方に甚大な被害、深刻な影響を与える)、大体そう分けられる。この論文においては、"自然環境の破壊"を取り上げる。

Ⅱ.環境危機のメカニズム

 図B(下記添付・挿入資料参照)には、環境危機の大まかなメカニズムが示されている。先述のように、社会環境の破壊と自然環境の破壊は、密接に関わっている。自然環境の破壊を見る時に、その裏にある社会的環境、経済的環境を見過ごしてはならない。それを考慮しないと、自然環境の破壊の本当の原因、問題点を見落としてしまうであろう。

Ⅲ.環境破壊・その根本原因

 環境破壊の根本原因を、最初に示す。図Bに示されたメカニズムは一見複雑だが、3つの根本原因が示されている。第一は、人口の急激な増加であり、第二に資源の有限性であり、そして第三番目に人間(社会)の成長主義、が挙げられる。
 図C(下記添付・挿入資料参照)
のグラフを見ても分かる通り、ここ数世紀の人口増加が急激で、特に二十世紀に入ってからの増加は著しく、1985年の人口は、1900年時点の人口の3倍強に達している。2000年には、64億人に達すると予想される。この急激に増え続けた人口の圧力と、拡大し続ける人間の成長主義と、資源が限られている事が主な環境破壊の根本原因となっている。

添付及び挿入資料

・図A/環境破壊の図示              ・図B/環境危機のメカニズム
 

・図C/人口の変化グラフ


★2004年1月現在の最新情報

1999年の世界の人口
アジアの人口    約34億6,166万人
オセアニアの人口     約3,761万人
ヨーロッパの人口   約5億1,951万人
NIS諸国の人口   約2億8,447万人
アフリカ諸国の人口  約7億5,685万人
北アメリカの人口   約4億6,928万人
南アメリカの人口   約3億2,462万人
   計      約58億5,400万人

 人口は、1985年の時点で、2000年には64億人に達すると予想されていたが、実際は(1999年時点で)約58~59億人だった。人口の統計は、正確な人口調査が可能でない地域が数多くあり、推計によっている所も多くあるので概算である。いずれにせよ、二十世紀末には人口は60億人近くに達していたことになる。人口の多くは、アジアやアフリカの発展途上の貧しい国々の人々が占めている。この状況は、今後の環境問題を考える上で、極めて重要である。

参考資料:世界の国一覧表1999年版(世界の動き社)/21世紀の世界地図(国際地学協会)

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