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序 文
★1987年1月論文の内容
6歳の頃より住むわが町草加は、かつて宿場町として栄え、日光街道松並木と草加煎餅で知られる町である。しかしながら、この町も周辺の町々と同様、環境の問題を抱えている。
長年に渡って生き長らえ続けてきた松並木も、脇(ほぼ真下)を通る車群の大量の排気ガスには勝てず、枯れ始めていて、何本かはその命を閉じた。町中を流れる川々の底は見えず、側を通るとその川の放つ悪臭に鼻もつままんばかりである。朝起きると、太陽の光の中に所狭しとばかりに埃が舞っている。
何もこのようなことは、この草加に限ったことではなく、他の町にも言える事である。広く言えば、この日本全体に、否、世界全体に言えることではないか?
誰の目から見ても、世界の環境破壊は確実に進んでいる。特にこの二十世紀に入ってからの破壊は、凄まじいものである。誰でも、空気の汚れには気がついているだろうし、川の水が濁っているのにも気がついているであろう。しかし、それが実際にどの程度のものなのか、何が原因となっているのか、今後どうなるのかと言う点については、多くの人は考えたことがないか、考えたとしても正確にとらえていないか、真剣に心配してはいないだろう。
けれども、現在進みつつある環境の破壊が、自然を消滅させると同時に、人間存在をも脅かすものであると言う事実を、今こそ一人一人が認識する必要があると、私は思う。
この論文では、世界に急速に進んでいる環境破壊…取り分け自然環境の破壊…に関する現状と原因と影響などを集めた資料を基に考察し、その場合に経済がそれにどのように関わっているかを考える事を主眼としている。
添付及び挿入資料
・日光街道松並木の略史
草加松並木は(一説によると)、天和三(1683)年に行われた綾瀬川の改修工事の際に植えられたと伝えられる。樹種は黒松と、少数の赤松で、樹数は778本であったと言う(東川岸に390本、西川岸388本)。
しかし、戦争とその後の経済成長の過程で、樹数は年々減少し、昭和47(1972)年には、わずか147本となってしまった。その後、昭和50年に埼玉県による若木の補植が行われ、続いて草加市民によって補植された。
・草加の下水道普及率比較グラフ
汚濁し悪臭を放つ綾瀬川(1986年撮影)
・日光街道松並木の写真(1979年撮影)/省略
・汚濁した伝右川の写真(1986年撮影)/省略
・枯れかかった松の写真(1986年撮影)/省略
★2004年1月現在の最新情報
草加の松並木の下を通っていた道路は現在整備されて、自動車道は松並木から離されている。若い松の木も植えられて、元気な松も増えた。また、現在松並木の下は遊歩道となっていて、市民の散歩道となっている。排ガスが直接かからないため松が枯れにくくなり、松並木はみよがえりつつある。
草加を流れる綾瀬川は、毎年大阪と奈良を流れる大和川とワースト一位、二位を争っていた。(国土交通省による調査で、水質調査地点が2カ所以上ある166河川について、生物化学的酸素要求量(BOD)の昨年の平均値によりランクづけした/朝日新聞記事より)。2003年度綾瀬川はワースト3で、順位的には僅かに向上したものの、汚さはあまり変わっていない。現在、綾瀬川をきれいにする市民活動などがあるが、根本的な清浄化には、下水道普及率の向上や、上流の町々の協力と努力が絶対に必要である。ちなみに、同じく草加市内を流れる中川は、2003年度はワースト5だった。ワースト5に、草加の河川が2つもランクインしてしまうとは不名誉なことである。
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