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"環境問題はなぜウソがまかり通るのか"を読む


 「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(武田邦彦著/洋泉社)を読んだ。「不都合な真実」(アル・ゴア著)が"聖戦を戦うための大義名分"の本ならば、本著はさしずめ真の平和を勝ち取るための"レジスタンス活動の啓蒙書"と言ったところか?ちなみに、この本30万部(※2008年1月現在)も売れているらしい。
 著者の武田先生は、現役の大学の工学研究所の教授にして、日本工学アカデミー理事、内閣府原子力安全委員会専門委員、文部科学省技術審議会専門委員と言う偉~い肩書きも持つ人。そんな立場の人なのに、環境問題やリサイクルに関して色んな著作物を出版して発言し、国の環境政策やマスコミの誤った報道をバシバシと切る、切る、切る。「おい、大丈夫か!仕事、干されないか!?」と逆に心配になる。

 それはさて置き、本書の内容は(すべては書けないが)次のような事が書かれている。

・ペットボトル分別回収しているけれど、ほとんどリサイクルされてないし、多額の(※税金などの)リサイクル費用が業者や関係者に渡っているだけだよ~。ペットボトル回収に多額の労力と費用を費やすなら、ほんの少しでも自動車を減らす方がもっと環境のためになるよ。

・ダイオキシンは猛毒ってことになってるけど、実は毒性は強くないし、被害者も報告されてないよ~。最近ダイオキシンに分類された毒性の強いPCBは、そもそもダイオキシンじゃないしね。

・温暖化が騒がれているけれど、南極の気温むしろ下がってるよ~。
(※この本で「北極の氷が溶けて海水面が上昇する」って言うマスコミの話しが載っていたけれど、僕は中学校の科学の時間に「南極の氷が溶けたらたいへんだが、北極の氷が溶けても海水面は上昇しない」と習った。そんな事も知らないマスコミ人って本当にいるの?)

・それから森林は、二酸化炭素吸収しないからね~。

・環境に優しい水素エネルギーって言うけれど、その"水素"を作るのにやっぱり石油を消費して二酸化炭素がたくさん出る。

・京都議定書ぐらいでは、地球温暖化は防げない。

・紙のリサイクルと開発途上国の森林保全は、ほとんど何の関係もない。

・石油は21世紀半ばには枯渇する。それこそ最大の環境問題である!

・そもそも国やマスコミの流す情報、研究・調査報告の真逆の事言ったり、故意に誤った情報流したりするけれど、その情報操作どうなのよ!そのデータに基づいて、多額の税金が誤った環境活動に、湯水のように投入されているのだよ!

・現代の環境問題の多くは、残念ながらウソをついて人の隙を狙うことによって成功すると言うことを認める社会をつくることに役立っている。

等々。

 この本は、科学者の視点で書かれているが、一方で主観的な部分もあり、また推測の部分もあるけれど、これは行政や企業がデータを提供してくれないから仕方の無い部分だろうと思う。

 「不都合な真実」に共感した人は、この本も読んでバランスを取っておいても良いかも。大義名分には、必ず闇や裏があるからね。ところで、この本、パートⅡがあるんだけど、どうしようかな~。

(2008年1月17日記載)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

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2011年7月追記:最近(夫婦で昨年から見ている)「ホンマでっかTV」に武田先生がレギュラー出演していて、武田先生に親近感を感じるようになった(笑)。