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ニュージーランド 2001年9月
今回、6泊8日の新婚旅行で、ニュージーランドへ行った。しかし、初めからニュージーランドに決まっていたわけではなかった。ハワイやサンフランシスコも候補に上がっていたが、二人ともまだ行ったことがなく、かつ自然の雄大な国ということで、ニュージーランドに決定。おりしも私たちの旅行の約二週間前に、あの衝撃的なアメリカのテロ事件があった。結婚式場の人に聞いたのだが、その頃アメリカ方面に新婚旅行を予定していたカップル達は、飛行機が飛ばないので、急遽大坂のユニバーサル・スタジオなどへ行く先が変更されたそうだ。新婚旅行でユニバーサル・スタジオと言われても…。不運としか言いようがない。
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・9月23日…成田も一応の平静さを取り戻しており、私たちは無事出発できた。ニュージーランド航空のジャンボジェットに乗って出発。テロの影響なのか、機内は空いている。さて、驚いたのは、ニュージーランドが意外と遠いことだ。時差が3時間しかないので、けっこう近くに思っていたのだが、ヨーロッパと同じくらいの距離があるのだ。その距離、約9000km。オークランドまで10時間半ほど。そこから国内便に乗り換えて、クライスト・チャーチへ行き、そこでまた国内便に乗り換えてクィーンズ・タウンへ行くと、合計飛行時間は約13時間。機内映画上映も往路・復路で計6本。その内、5本を見てしまった。"ドクター・ドリトル2"(エディー・マーフィー主演)、"すべての美しい馬"(マット・ディロン主演)、"ブリジット・ジョーンズの日記"(レニー・ゼルウィガー主演)、"ハート・ブレイカーズ"(シガニー・ウィーバー主演)、"スパイ・キッズ"(ロドリゲス監督とアントニオ・バンデラスの黄金コンビ)の5本。残りの一本(Someone like you)は、寝てしまったので見なかった。飛行機と言うのは、搭乗時間が片道10時間を超えると本当につらい。僕のように映画好きだとまだ良いが、映画好きでない人、飛行機内で寝られない人、タバコを吸いたくてたまらない人などにとっては、苦痛以外のなにものでもないだろう。
クイーンズタウン空港
ミレニアム・ホテル
・9月24日…国内便を乗り継いで、ようやくクィーンズ・タウンに到着。飛行機を降りて、まずびっくり。飛行場が、雄大な山々に囲まれた素晴らしい景観の中にあるのだ。快晴の青空を背景に、そびえたつ山々。それを見ただけでも、来たかいがあった気さえする。おじさん運転手(※牧場をセミ・リタイアした屈強のでかい体を持つ)に、クィーンズ・タウン市街まで連れて行ってもらう。このおじさん、気温が10度くらいしかないのに半袖シャツ。う~ん、たくましい(一方、我々はと言うとアウトドア・ジャケットに身を包んでいる。寒いからね)。おじさんは途中で車を停めて、丘の上から湖や市街を見させてくれた。とても素晴らしい眺めだ。
ホテルに着いてから、夫婦二人で街中を散策。ニュージーランドは、ちょうど日本と季節が逆で春になったばかり。市内のあちこちに桜が咲いていた。とても小さな街なので、30分ほどでだいたい町の主要ポイントを把握できた。湖に面したその雄大で美しい自然に囲まれた小さな町は、僕が今まで旅した外国の町の中でも、とても気に入った町の一つになりそうだ。
丘の上より
バンジージャンプ
・9月25日…この日は、朝から市内と郊外を見て回る予定。コンダクターの運転するワゴンの客は、私たち二人だけ。車の通りがほとんどなく、信号のない道(一番近い信号まで180km!!)をワゴンは進む。風がなければ、鏡のように山々を反射する湖を見下ろす丘。様々な美しいドライ・フラワーを作り出しているドライ・フラワーショップ。そこで、飼われている羊やポニーへ餌をあげたりする。その後行ったのが、バンジー・ジャンプの名所のカワラウ川。実はこの場所こそ、商業バンジージャンプの世界初の発祥の地なのだ。最初は「そんなもの商売になんかなるか!」と物笑いの種だったそうだが、創業者は現在お金持ち(時代のパイオニアは偉いね)。橋の上から川底を見下ろしてみた。43mの高さがあるが、パラグライダーでもっと上空から怖い目に会っている僕には、ほとんど恐怖というものは感じられなかった。下は、水だし…。バンジー・ジャンプを見た後、砂金でにぎわった町アロー・タウンへ行ってしばしの休憩。
ところで、ニュージーランドはやはり羊の国。人口の13倍もの羊がいるだけあって、羊だらけ。バスの移動の間、始終羊が見れる。ニューベイビーのシーズンということもあって、かわいい子羊たちがあちこちで跳ねている。羊以外に、時折牛や鹿も見られた。&ポッサムの死骸は、道路のあちこちに転がっている。4000万匹以上に増えてしまったポッサムは、今や害獣だそうでみんな競ってポッサムを車ではねてしまうそうな。
クィーンズタウン市街
アーロスロー号
その後市街に戻って、スカイ・ゴンドラに乗ってボブズ・ヒルに昇り、スカイ・レストランにて食事。そこのスタッフが、最も眺めの良い特上席を用意してくれた。市街が箱庭のように小さく見える。そして広がるワカティプ湖や、その向こうのリマーカブルの雄大な山々が見える。食事と眺めを満喫した後、ホテルへ一度戻ってから再び市内を散策。ワカティプ湖には、蒸気船アーン・スロー号が就航している。この船、なんとタイタニックと同じくらい歴史があると言う(就航は1912年!)。市内は、散歩しているだけで楽しい。クィーンズ・タウン・ガーデンなどを散歩したり、買い物を楽しんだ後、ホテルへ戻った。
フェリー
ミルフォードサウンド
・9月26日…この日は、今回の旅行の最大のイベントの一つである"ミルフォード・サウンド"への一日旅行。朝早く高速バスに乗って、一路ミルフォード・サウンドへ向かう。途中、テ・アナウ湖を初め、いくつかの観光名所による。ミルフォード・サウンドに近づくにつれて、雨が強くなっていく。なんと一年の2/3が雨で、年間降雨量は5000ミリに達するらしい!周囲の標高1000m級の高さの岩山からは、雨水が地下に沁みこまないため、岩の表面を大量の雨が千条もの滝となって流れ落ちてくる。その眺望は圧巻である。
さて遊覧船乗り場でフェリーに乗り、いよいよミルフォード・サウンド・クルーズに出発。船内で昼食を取りながら、フィヨルドで形成された山々を見る。あまりに雄大なので、目のスケール観が狂っている。なぜなら、海面からいきなり1000メートル以上の山々が絶壁となってそびえているのだ。最大のマイター・ピークで1,692m(海面から突き出た山では世界最大)。埼玉の長瀞渓谷のスケールを何十倍にもした感じというか…、とにかく雄大。高さ146mのステアリング滝の真下まで船が近づいた時も圧巻。今まで、そんな高いところから流れる滝なんて見たことないし、落ちてくる水量が凄いのだ(ちなみに日本一位の那智滝でさえ130m。日光の華厳の滝は98.7m)。こうして感動のうちに、1時間40分のクルーズは終了。
ミルフォード・サウンドからの帰り道、ツーリスト一同はみんな爆睡(バスの移動距離が片道約300km、時間にして片道4時間もあるのだ)。夜になってクィーンズ・タウンに到着。市街で買い物をしてから、ホテルに戻った。
モール
アンダーウォーターワールド
・9月27日…この日のメイン観光は、午後からのワイナリー巡り。午前中は、のんびりと市内のメイン・ストリートであるモールを歩いたり、ワカティプ湖桟橋にあるアンダーウォーター・ワールドで魚に餌をあげたりした。午後からは、ワイン・トレイルのバス・ツアーに参加。詳しくは、下をクリック。クィーンズ・タウン、最期の一日でした。
ワイナリー・ツアーを見る
マウント・イーデン
デヴォンポート
・9月28日…いよいよ旅も後半に突入(旅の後半って、いつも少し悲しい)。雲が低くて飛行機の離発着ができず、クィーンズ・タウン空港を遅れて出発。クライスト・チャーチ空港では、ニュージーランド航空便に間に合わず、カンタス航空便に振り替え輸送でオークランドへ。オークランドは、さすがに都会。小さなクィーンズ・タウンとは、違い人も多い。ニュージーランド全体で、385万人ほどの人口(日本の3/4の国土に日本の1/30ほどの人口しかいない)のうち、1/3がオークランドとその周辺に住んでいるのだ。
オークランドへ着くと、まずバスで市内観光。市内で最も高いマウント・イーデン(196m)に昇り、市内を眺める。山はかつての噴火後で、今は死火山。山には牛が放牧されているが、昔は羊が放牧されていたらしい。ところがどんどん数が減っていって、車で盗まれているのだということが分かり、牛に変更されたらしい。さすがに牛なら盗まれないだろうと。山を降りてから、市内の観光名所をあちこち回った。博物館やパーネルストリート、そしてハーバーブリッジを越えて、ノースショアの町デヴォンポートへ行った。町のメインストリートには、アール・デコ調の建物が並ぶ。僕らは、フェリー乗り場近くの公園でのんびり過ごす。春先だと言うのに、公園内にある砂浜で肌を焼く家族や、海に入って遊ぶ子供たちが大勢いた。
オークランド市街を望む
その後フェリーに乗ってデヴォン・ポートを離れ、オークランドへ戻った。夕方、ホテルへ行ってチェック・イン。スタンフォード・プラザと言うホテルは、一人旅の海外旅行では絶対泊らないような贅沢な高級ホテル。部屋も豪華。ロビーでは、生のジャズ演奏やピアノ演奏をしている。夜、僕らは海に面する有名なレストランへ行って、シーフード料理を食べた。そうこうしているうちに、オークランドの一日目は暮れたのでした。
ワイトモ洞窟
アンゴラの毛刈り
・9月29日…ニュージーランド旅行での、2つ目のメイン・イベント(2番目だからセカンド・イベント?)。ワゴンに日本観光客5人+ガイドさん・運転手さんの計7名が乗って、ワイトモ観光へ出発。2時間ほどワゴンに揺られ、ワイトモ洞窟へ到着。大きな鍾乳洞を地下へ下っていくと、地下に湖(川?)が広がっている。そこで船に乗船。真っ暗な洞窟の天井には、青い光が一面に光っている。それが有名な"土ボタル"。蛍と言っても、蚊の一種。幼虫時代に、餌の昆虫をおびき寄せるため光を発するそうだ。
ワイトモ洞窟の後は、アンゴラ用品の店へ。フサフサ毛のアンゴラウサギの毛刈りを見せてくれた(アンゴラは3ヶ月で毛が伸びて、そのまま放っておくと体温が上昇して死んでしまうらしい)。毛刈りの後、ショップの御婦人がポッサムを抱えて連れてきてくれた。とてもかわいい動きをするので写真に撮らせてもらった(下の写真を見よ)ら、突然襲い掛かってきた!あっ!と思ったら、手を入れて動かす人形だった。やられた…(店内笑い)。
ポッサム
キーウィハウス
その後、バーベキュー・ハウスへ行って昼食。敷地内には、鹿や牛がいっぱい。お昼後、キーウィー・ハウスへ行く。様々な鳥やキーウィがいる。キーウィは夜光性で、飛べない。目が見えなく、耳もよく聞こえないらしい。くちばしでミミズなどを探すのだ。天敵がいない時はそれでも生きていられたが、外来の肉食獣が増えた現在、絶滅の危機に瀕しているのだ。それはともかく、キーウィの動きはとてもかわいい。その後、私たちはオークランドへ戻った。
オークランドの反戦デモ
オークランドへ戻ってから、僕ら二人は市内を散歩した。すると、なんと大反戦デモが始まるところだった。アメリカでのあのテロ事件を受けて、西側諸国が反テロで結束。「アメリカはアフガニスタンへ空爆&地上軍投入か?」と言われていた時期で、ニュージーランドも特殊部隊投入か…と言われていたらしいが、それに対する反戦デモ。「ノー・モア・ベトナム」や「帝国主義に加担するな!」と言ったプラカードを掲げて、パトカーと消防車(消防車は民間人の所有らしくて、デモ用に改造されていた)に先導され大人数のデモ隊が大通りのクィーン・ストリートを練り歩いていた。大自然に囲まれ、多くの動物達とわずか385万人ほどしか住んでいないこの小さな国にも、戦争の影が押し寄せているのかと思うと悲しい。アルバート公園で一休みした後、私たちはホテルへ戻った。
・9月30日…今日で、ニュージーランドとサヨナラ。朝早く起きて、オークランド空港へ。ニュージーランド航空のジャンボに乗って日本へ向かう。ところで、ニュージーランド航空は経営の危機にあるそうだ。吸収合併した企業が多額の債務を抱えていたせいで、十数兆円もの負債を抱えることに。しかし、人口400万人にも満たないこの国で、この金額は国家予算並みの金額。国にもいかんともし難く、当然一航空会社にもどうしようもない金額。またニュージーランド自体も世界の情勢とは無縁では有り得ず、深刻な不況にあえいでいるらしい。こんな平和に見える国でも、色々と問題は山積みなのだ。それでも、僕はやっぱりニュージーランドの人も自然も(ワインも)大好きになってしまい、この国に住みたいとさえ思うのである。
11時間ほどかかって、無事成田に到着。いつかまたニュージーランドに戻りたいと思いつつ、家路に着いた。