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第二部:第四章 この人を見よ

73.バラバの決起

秋の仮庵祭りが近づくと、遂にバラバ・イエスとシカリ党の仲間は決起した。ペレア領を抜けてヨルダン川を越えユダヤ領に入り、エルサレムへと向かった。

エルサレムではシカリ党の仲間に迎えられて、大勢の仲間の待つ隠れ家に入った。ここエルサレムでも、バラバの名は「ローマ帝国に立ち向かう向かう勇敢な男」として知られるようになっていた。暴動の決行日は決まり、シカリ党の暗殺者達は町の要所で隠れてその時を待つ。

朝、いつものローマ軍エルサレム隊の市内巡回パトロールが始まった。シカリ党の合図のラッパが吹き鳴らされると、暗殺者達は喊声を上げて一気にローマ兵に襲いかかる。ローマ兵も剣を抜いて抵抗した。次々とどこから溢れてくるのか分からない敵に対し、ローマ兵は適切な防御態勢を取れずにいた。
反乱の情報は、直ぐにダビデの3つの塔に駐留するローマ軍司令部に知らされた。ローマ軍も兵士達が短時間で完全武装姿となって、一斉に反撃に出る。エルサレム市内は細い道が多く、ローマ軍の得意な密集陣形隊形での戦闘は不可能で、いきなり白兵戦に突入した。
ローマ兵も暗殺者も、お互い剣によって次々に倒れていく。ゲリラ戦での戦いに慣れたシカリ党側が戦いを有利に進めると思われたが、鍛え抜かれた完全武装のローマ軍の前にジワジワと後退を始める。
体制を立て直したローマ軍の前に、一方的に倒される反乱者の数が増し、じわじわと追い詰められていく。そして生き残った暗殺者達も、何倍もの数のローマ兵に取り囲まれ、遂に抵抗が不可能となり降伏した。
シカリ党とバラバの、完全な敗北だった。


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