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第一部:第五章 盗賊討伐

38.春の到来近し

冬営の軍団の日々は刻々と過ぎていき、極寒の2ヶ月が過ぎ軍神マルスの月、マルティウス月となった。その月も、既に後半の第20日になっていた。
要塞司令部に、上級士官達が集まる。彼らを前にして、総司令官が述べた。
「諸君!いよいよ明日、我が第Ⅳ軍団が、山賊の討幕に出立する日が来た!山の頂にはまだ雪は積もっているが、行軍が開始できる季節となった。この冬の間に、斥候が敵陣までの道を調べ尽くし、綿密に作戦は練った。作戦に抜かりはない。我らがローマの軍神マルスは、必ずや我々に味方してくれるであろう!
そして来月初めには彼らの本拠地に到着し、一斉に攻撃を開始する。アプリーリス月の女神ウェヌスは、我らに勝利の微笑みを向けてくれるに違いない!第Ⅳ軍団とアウグストゥスに、栄光とローマの神々のご加護があらんことを!」
司令官の言葉に、士官たちは次の言葉で呼応した。
「我らが第Ⅳ軍団と総司令官ダマスクス、そしてアウグストゥスに、栄光あれ!」


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