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第一部:第五章 盗賊討伐
36.作戦会議
デケンブル月も終わりに近づいた第25日、司令官と軍団長以下の上級士官全員が要塞司令部に集まっていた。部屋の中には、密偵として派遣した12名の兵士も全員揃っている。密偵を代表して、1人のベテラン特殊工作兵が発言した。
「山賊の頭領は、自らをヴィリアトゥスと名乗る事にしたようです。本名は、未だに分かっていません。その一味の人数は、既に千人近くに達しています。もはや盗賊一味ではなく、反乱軍規模です。」
司令官が問う。
「やつらの根城は?」
ベテラン軍団兵が、ヒスパニアの地図を指さしながら答える。
「この村です。自らの名を冠して、ヴィリアトゥス村と呼んでいます。厄介なのは、彼らの村が山々に囲まれた盆地にあると言う事です。彼らの村に向かうには、せいぜい1人か2人分の幅しかない谷間の道を通らねばなりません。密集隊形では進めず、ゲリラ戦ではかっこうの標的になってしまいます。」
「うむ。偵察任務ご苦労であった。ローマ軍団が、最も苦手とする戦い方を強いられるな。この状況を、我々に有利な展開になるように計画を練ろう。この冬の間に完全に準備を整え、春になり次第、盗賊の討伐に向かう。」
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