スズキ・セルボ&マイティボーイ

(2007年12月23日記載)

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 前回の三菱iに引き続き、今回も日本の軽自動車を取り上げる。その名も、スズキのセルボ。

 軽自動車と言うのは、たくさん荷物を積めて経済的でとにかく安い・・・と言うイメージが長年あったし、今でもやはりややチープなイメージが付きまとっている。
 高度成長期以前、車が高嶺の花だった頃は、軽自動車が庶民にとって現実的な選択肢だった(・・・それでも高価だったのだが)。人々の願望は「いつかはクラウン」であり、軽自動車は通過地点の車と言うイメージが常に付きまとっていた。しかし、そんなイメージを払拭すべく、様々なスペシャリティな軽自動車が生まれてきたのもまた事実である。
 今回取り上げるスズキの"セルボ"もそんな一台である。セルボの源流は、フロンテクーペ(⇒フロンテについてはこちらをご覧ください)。フロントクーペは、パーソナルユースに対応すべく2シーターとして1971年に追加されたモデルであり、国産車随一のスペシャリティカーで、軽規格ながら本格的なGTカーだった。フロンテクーペは、特別な存在感を誇っていた。

 そして1977年、550ccの新軽規格に適合したモデルとして誕生したのが、セルボである。エンジンは2ストロークの3気筒で28psと非力ではあったが、4速マニュアルミッションとの組み合わせで動力性能はそこそこだった。初代セルボはリアエンジン・リア駆動のRRカーで、2シーターだった。他の軽自動車が低価格や経済性を売りにする一方で、セルボは2人乗りに割り切ったスポーティでスペシャリティやお洒落感を全面に押し出した車だったのである。

  
2代目セルボ(近所にて)

 1982年には、セルボは2代目にフルモデルチェンジ。初代はRR車だったが、2代目はフロントエンジン・フロント駆動のFF車になった。エンジンも初代が2サイクルだったのに対し、2代目は4サイクルのSOHC3気筒エンジンになっている。メカニズムは、基本的にフロンテのコンポーネンツを流用している。セルボにおいて特筆すべきは、1983年に追加されたターボモデル(スズキ初の4輪車ターボ!)である。パワーは、ベースの29psから40psにアップして、ボンネットのエアスクープは、その後のスポーティ軽に多大な影響を与える。

 マイティボーイ(秋葉原にて)

 後方から見たマイティボーイ・・・かっこ良すぎる(地元市内にて)


 もう一つの特筆事項は、セルボの兄弟車的に登場した"マイティ・ボーイ"である。ルックスはほぼセルボと同じだが、ピックアップ風のデザインにした後部の荷台が特徴的。この荷台は、 ソフトトップが装着可能となっている。たった一代で消えてしまったが、今でも人気がありそれなりの高値で売買されている。

 1988年には、セルボは3代目へと移行した。3代目は、太いCピラーを持つ個性的なエクステリアデザインだった。しかも屋根の前半分は、グラスルーフになっていた。メカニズムも先進的なものが採用され、3気筒エンジンには1カム12バルブヘッドが与えられた。また世界初の電動パワーステアリングが採用されたのも、この3代目セルボである。3代目セルボも、特別な車である事を強くアピールしていた。

 セルボ・モード(近隣市内にて)

 1990年には、軽自動車規格改定に伴い、新規格に合わせた"セルボ・モード"が誕生した。その一方で、旧規格のセルボも継続販売された。4代目となった"セルボ・モード"には、軽自動車初の4気筒のツインカムターボエンジンが搭載された(※後に自然吸気版も追加される)。後には、これも軽自動車初となる4輪ABSが設定された。セルボに"初"の搭載技術が多いことから、スズキがセルボに対する思いが伝わってくる。


2011年9月8日追記:ミフィールの車検の代車が4代目のセルボ・モードC(クラシック)でした。インテリアの出来は良く、エクステリアも通常のセルボモードよりも印象が強いです。運転して感じたのは、ハンドリングの軽さです。

 インテリアやシートも、これまでの軽とは一線を隔すレベルになった。エクステリア・デザインは3代目と比べるとかなり常識的なデザインに落ち着いたが、クオリティの高さは一目でわかるものだった。セルボ・モードは、桁外れにレベルの高い軽自動車となっていた。4代目登場から6年後、1996年に追加されたのがレトロ調の"セルボC(クラシック)"である。セルボCは、レトロ調軽カーの中で抜群の完成度を誇った。
 しかし、時代は室内容量確保のためのハイトワゴン系が全盛となり、セルボのようなスペシャリティ・モデルは、スポーツカーのカプチーノと同様に、新車市場から一時消えざるを得なかった。"セルボ"の文字は、ラインナップから消えた。

 ニュー・セルボ(地元市内にて)

 しかし2006年11月、スズキ・セルボは戻ってきた。5代目セルボの登場である。スズキのスペシャリティカーが帰ってきた。30年ほど前に登場した初代セルボと比較すると、様々な点で隔世の観がある。技術、パッケージング、安全性、すべてが当時とは比較にならぬほど進化・向上しているのは、言うまでも無い。
 エンジンは直列3気筒DOHCエンジンで、自然吸気の54ps版とターボ版の60psの二種類。エンジンは、優れた低燃費を発揮する。もちろん4WD設定車もある。また、マニュアルモード付き4ATでマニュアル感覚も味わえる。足回りは、専用にチューニングされている。一部のグレードを除き、ブレーキアシストやEBD付ABSも搭載。ボディは、軽量衝撃吸収ボディ。全長は3,395mm(全長1,475mm×全幅1,535mm)で、車重は810kg。
 エクステリアの出来も、なかなか美しい。レイアウトは従来のFFなのでiのような斬新で大胆なデザインはのぞめないが、全体的なかたまり感があり、かつ面の処理も美しい。いま市販されている軽カーデザインの、上位に入るのは間違いない。
 インテリアに目を向けよう。独特のS字カーブを描いたインパネは、ドライバーを包んだ感じになる。パネル表面には、凝ったシボ。室内の静粛性を徹底的に追求(※そもそも騒音や振動を発生しないよう基本構造から配慮)。嫌な匂いも、吸着・分解。シートはセパレートタイプで、シートリフターでポジション調整可能。ブルートゥース対応のハンズフリーシステムやipod対応オーディオの用意もある。

 後方から見たニュー・セルボ(地元市内にて)

 ニューセルボは、パーソナルな雰囲気を重視したスペシャリティカーではあるが、ボックスやドリンクホルダー等の収納等使い勝手はさすが軽カーNo.1のスズキである・・・実用性も、抜かりは無い。価格は、グレードにより103~138万円ほどの価格帯。
 上質感、安心感、存在感、5代目のニュー・セルボは、そんなオーラをまとっている。いや、マジに良い出来だと思うよ、ホント。













参考・引用文献
セルボ・スタイル     (Kカースペシャル別冊)
スズキ・セルボ・カタログ
The絶版車File 1970~1979   (インフォレスト)
The絶版車File 1980~1989   (インフォレスト)
国産・輸入車全モデル購入ガイド   (JAF出版)


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