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セブン セブン セブン アンヌ再び・・・
ひし美ゆり子著/小学館文庫 (2021年3月14日記載)
日曜の午後、仕事のZoom会議を終え、その後新しいプリンターのセッティングを終え、ようやく夕方5時からフリータイム。
ここぞと言う時の僕の余暇時間の使い方は、なかなか激しい(笑)。
3日前にようやく「ウルトラセブンが『音楽』を教えてくれた/青山通著/新潮文庫」を終えたばかりだが、2日前のランチタイムで読み始めて100ページまで読み進めた本、残り150ページを一気に読破しました。その本は「セブン セブン セブン アンヌ再び・・・/ひし美ゆり子著/小学館文庫」です。今月のセブン本2冊目。
蔵のあるお店・恵登屋での午後のティータイム
僕は小学生時代に、なけなしのお小遣いを握り締めておもちゃ屋に行き、プラモデルを買っては作っていました。ラッカーや筆も買って、チマチマと細かく塗装もしました。よく作っていたのはスーパーカーや、戦場のジオラマ。戦車や車だけを作るだけでは飽き足らず、背景の瓦礫の建物、戦場を駆け抜ける兵士や倒れる兵士を何十体と作り、顔、衣服、軍服、靴など細かく塗り分けていました。連合軍兵士とドイツ兵の塗り分け、階級ごとの塗り分け。ドイツ軍のタイガー戦車やシュビムワーゲン、アメリカのシャーマン戦車やジープ他、数多くのメカを塗りました。鼻をつくラッカーの刺激臭・・・窓は開けて換気しないとね!
タンクや車のウェザリングの技術も子どもながら上達し、プラモデルのモデルガンなども作っていたので、金属の損耗によるかすれや汚しのテクニックも獲得しました。スイーツデコとか画が得意な娘を見ていると、血筋かなぁ~と思ったりします(笑)。
そう言うプラモデル大好き時代に作ったのが、サンダーバードのプラモです。もう2号なんか大好きで、そこから繰り出されるメカなんかたまりませんでした。サンダーバード基地のプラモデルは、お正月のお年玉を注ぎ込んで買いました(後年、もう少し大きくなってから、もう一回買いました。どちらか一つでも残しておきたかったプラモデル)。
で、サンダーバードと人気を二分して、ワクワクして買ったのがウルトラ警備隊メカのプラモデルですよ~。ウルトラホーク1号を筆頭に3号やマグマライザー、ハイドランジャーを作りました(2号は作った記憶がない)。
そしてなんと言っても、ポインター号!他のメカは空想上のもので模型だった訳ですが、ポインターは実車が存在する本物だったので別格です。当時のプラモデルは一つも残っていませんが(貴重なスーパーカーミニカーコレクションすらも、中学生になって母親に全部捨てられていて学校から戻ったら1台も無かった・・・涙)、大人になってからのミニカーコレクション500台には、もちろんポインター号(そしてマットビハイクル)も入っています。
またまた前置きが長くなりましたが、子どもの頃のウルトラセブンの記憶は、視覚や聴覚だけでなく、プラモデル作りと言う嗅覚や触覚を通じても刻まれているのです。
そんな時代に見た、ひし美ゆり子(芸名は菱見地谷子→菱見百合子→ひし美ゆり子と変遷)さん演じるアンヌ隊員は、やはり別格な存在だったのです。多くのセブンファンの同世代がそうなんじゃないかなぁ~。小学生低学年の頃、特にアイドルの歌手なんていなかったけど、アンヌは特別だったよね?(誰に呼びかけてる?w)
この本は、そんなアンヌこと、ひし美ゆり子さんが初めて書いたエッセイ本なのです。この本が最初に出版されたのは1997年2月なので、もう24年も前の本なのですが、今読んでも十分に面白い。もっと前に読んでおけば良かったと思う一冊。
ひし美さんが女優になるきっかけとか、セブンにでる経緯とか、セブンの後に出た映画のこととか、よくたむろっていたバーの若いバーテンが松田優作さんだった話しとか(いつのまにかデビューしていて太陽に吠えろで再開したとか)、面白い話がいっぱいです。
そして、セブンで共演した役者の話し、監督や脚本家やスタッフとの話し。ロケ先での宴会の話しとか、みかんを投げてある物を壊してこっぴどく怒られて弁償する破目になった話とか。
時代が異なるので無理なんだけど、CGの無い当時、僕が20過ぎの大人だったら、円谷プロで働いてみんなと一緒に青春時代を過ごしたかったなぁ~、と夢想したりもします(爆)。
当時と今では、特撮技術も脚本作りも演出方法もだいぶ変わっています。特撮だけに限っても、昔はピアノ線で戦闘機を吊って操演していた時代。噴き出す炎の大きさも、いかにも模型大の大きさの炎。
翻って、テアトル東京で初めて2001年宇宙の旅を見た時は、宇宙船をピアノ線で吊っていないどころか「宇宙船の中で本物の人が動いているし!」と、度肝を抜かれたことを覚えています。1990年代からはCG技術が発達して、実写の記録映像かCG映像か区別がつかないほどになります。
だからと言って、当時の特撮が霞むと言う訳ではないのです。
当時は当時で、最先端でがんばっていて、子どもたちはワクワクして見ていたのです。
漫画で言えば、ときわ荘で過ごした巨匠たちの漫画は当時は凄かったと思います。誰もが思いつかないようなキャラクターと物語を紡ぎ出していました。漫画のテクニックや物語の構成技術で言えば、現代の漫画家の方がもっと凄いでしょう。でも当時の巨匠漫画家達が、霞むことはありません。
ダンもアンヌもキリヤマもフルハシもソガもアマギも、当時の僕らをワクワク、ドキドキ、ハラハラさせたのです。そう言う風に、制作人が一丸となって努力していたのです。
そして最終回にそれらがすべて集約されていき、感動的なラストへと昇華していくのです。
アンヌの存在は、ウルトラセブンの制作を大きな意味で支えていたのかもしれません。
あとがきで、音楽を担当した冬木透さんが、市川森一さん(脚本家)がインタビューで「『アンヌ隊員に憧れていた』とか『初恋の人』と書いているそうだが、これは『抜け駆け』である(赦せない!)」と書いている(笑)。
アンヌ(ひし美ゆり子さん)自身は、自分ではこの作品では「おミソ」的存在だったと書いているが、市川さんの言う「『(アンヌは)私の青春だった』は、ウルトラセブン制作に関わった者全員の気持ちを代表してくれたのだ、と思うようになっていた」と冬木さんは書いている。なんか、良いなぁ、そう言うのって。
この本で、色んなセブン制作の背景や裏話を知ることができたので、次のDVD全集を見るのが更に楽しみになってきました(^^)。
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