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(2020年12月2日掲載)

87.ワインを贈る時のヒント

 僕は、ワインセラーと冷蔵庫併せて、だいたい10本のワインを常時キープしています。長期保存用はセラーに、日常で飲むワインは冷蔵庫に・・・と言う感じですが、10本備蓄しているのは、突然のお祝い等にもワインは贈り物として優れているからです。
 僕にも好みのワインはいくつかあって、イタリアのバローロもその一つで、だいたいセラーに入れています。バローロは、イタリアにて「ワインの王、王のためのワイン」とも言われるワインで、フランスの1級シャトーほど高くはないし、かと言ってコンビニやスーパーのワインの様に安くも無いので、贈り物にもちょうど良いワインなのではないかと思います。
 先日、相次ぐお祝いで、このバローロを2本ともプレゼントしので我が家のバローロの備蓄がゼロになりました。次のプレゼントの予定があるのですが、バローロが切れたのでまた購入する必要が生じました。

 バローロ

 そこで近所のスーパーにプレゼント用のワインを買いに行ったのですが、スーパーやコンビニにはバローロの様なワインは置いてありません。スーパーやコンビニでは日常使いのテーブルワインの販売がメインで、欲しい銘柄のワインは専門のワインショップへ行くか、ネットでお取り寄せするしかありません。
 代わりにスーパーでは、普段あまり飲んだことのないワインを色々と物色することとなります。次の贈り物のワインは、馬好きな方に贈るワインなので「馬のラベルが良いなぁ~」と思っていたのですが、そうそう臨んだ絵のラベル(※エチケットと言います)のワインが売っているものでもありません。動物のラベルで有名なのは、カンガルーのラベルのオーストラリアの「イエローテイル」とか、アルパカのラベルのチリの「アルパカ」なんてのがありますね。
 馬のラベルも市場で探せば、ある事はあるんです。チリのコノスル社の「ラ・トリア」とか、同じくチリのフィンカの「パタゴニア」とか、フランスやイタリアにも馬のラベルのワインはありますが、いずれもスーパーはもとより近所のお酒専門店さんで入手するのもハードルが高いです。そう言うワインは、ワイン専門店やネット販売で探す必要があります。時間が迫っていたので、今回の贈り物ワインは馬じゃなくてロバや鶏などの絵のラベルのワインにしました。
 ワインを贈り物にするのは素敵だと思うのですが、どのワインを選択したら良いか、悩みますよね?「ワインの味なんてよく分からないし・・・」。そんな悩みの解決方法に、「ワインの物語で贈るワインを決める」何て言うのも有りなんじゃないかと思っています。TPOに合わせてファッションを決めるように、贈る相手のTPOに合わせて「ワインのラベル(※エチケット)」や「ワインが持つストーリー」でワインをチョイスするのもよろしいかと。選択のヒントを数例書きます。

<例1>ネコ好きな方へ:ツェラーシュヴァルツカッツ
ドイツのモーゼル地方の甘~い白ワインですが、どの会社のラベルにも猫がいます。ワイン名は、ツェル村のクロネコと言う意味です。これは、セラー内の樽のワインの香りに誘われて猫がその樽に鎮座していて、その樽のワインがとても良い出来だったと言う伝承に基づいて、猫の絵が使われています。
1,000円前後で気軽に買えるワインなので、猫好きのお友達にさりげない贈り物として。



<例2>引っ越された方や転職や起業された方へ:シャトーヌッフ・デュ・パプ
「法王の新しい城」という意味の、フランスのコート・デュ・ローヌ地方のワインです。14世紀の初め、美男王と呼ばれたフランス王フィリップ4世は、反目しあっていたローマ法王ボニファティウス8世を憤死させ、法王庁をローマからコート・デュ・ローヌ南部のアヴィニョンに移しましたた。この時期に、法王のクレメンス5世はアヴィニヨンからローヌ川を25キロ遡り、別荘を建てました。地元の人々は大歓迎!そして、法王自らが葡萄を育てワインを作ったのです。
飲み心地もよく、健康にも良くなければいけないと考えたこの法王は、様々な品種を混ぜてワインを造り、神のご加護を得るようにと長い熟成期間をおき、素晴らしいワインが誕生したのである。親しい人が引越ししたり、新しい職場などに移る時、このワインを贈ることにしています。新しい地においても負けずにがんばってね、というメッセージをこめて。色々なワインメーカーの物があり高いものだと1万円を超えますが、4,000円台から購入できるものもあります。



<例3>結婚の記念に:シャトー・クレール・ミロン
フランスのボルドー、オー・メドック地区ポイヤック村の第5級格付けシャトーのワイン。このワインのラベルには、「一組のダンスをする若い男女」が描かれています。これは、結婚式を挙げたばかりの二人だと言われていて、フィリップの最初の愛する妻との思い出を描いたものとも言われます。ロートシルト(ロスチャイルドのこと)一族のナサニエル家のひ孫のフィリップがこのシャトーを継いだのですが、ユダヤ人富豪のロートシルト家はナチスにひどい迫害を受け、愛する妻とは二度と会えませんでした。
このワインは、甘くそして悲しい物語を持ったワインです。そんな分けで、僕はこのワインを結婚のお祝いとして贈ることがあります。いつまでも、新婚の時の思いを忘れないようにとの思いをこめて。
ただし、最近はこのワインは以前よりも価格が高騰してしまい、1万円以下では買えなくなってしまったのが惜しい所です。



<例4>仕事をリタイアされた方に:シャトー・ベイシュヴェル
フランスのボルドーはメドック地区サン・ジュリアン村の「シャトー・ベイシュベル」。そのワインのラベルには、帆を下ろす船の絵が画いてあります。
このシャトーは、16世紀にデ・ペルノン公爵という人が所有していました。彼は、フランス海軍提督でもありました。ジロンド川には、耐えず帆船が行き交い、上流に建材を運び、帰りにワインを満載して帰ってくる。そしてサン・ジュリアン村に来ると、デ・ペルノン公爵に敬意をあらわすため、帆を下げて通過していった。船乗りたちは、船上で「ベッセ・ヴワール!(帆を下げろ!)」と叫び、それがしだいに訛って、「ベイシュヴェル」となったと伝えられています。
退職する人などがいたら、その人の人生に敬意を込めて「帆をおろせ!」と心の中で叫びながら、このワインを贈ってはいかがでしょうか。決して安いワインではなく1~2万円はしますが、何十年も働かれて退職された方に敬意を払う対価としては高くないと思います。



以上4例ほど書きましたが、ワインのラベルにはまだまだ色んなものがありますし、これ以外にも面白い物語を持つワインがたくさんあります。そう言うものをヒントに、贈るワインを選んでも楽しいのではないかと思います♪
贈る相手が余程ワインの味や銘柄にこだわる方でないなら、ワインに込めた思いをカードにしたためて、ワインと共に贈れば喜ばれるのではないかと思いますよ。


パラヒメネス・カベルネソーヴィニヨン

 ドン・キホーテでも知られる、スペインのラ・マンチャ地方のワイン。ラベル(※エチケットと言います)に、ロバ、犬、鶏などのの絵が描いてありますが、これは有機農法を現しています。殺虫剤、除草剤、化学肥料は使わず、有機農法で栽培した葡萄でワインを作っているのです。
化学肥料を使わないと言う事は、つまり動物達の力を借りて、自然のサイクルで育まれていると言うことです(笑)。190ヘクタール全ての畑と醸造所が、有機栽培と醸造の認証を受けている家族経営のワイナリーです。
オーガニックワインなので、ビーガンの方でも飲めます。 右の青い方のラベルは、樽熟成されたもので、白いラベルより値段が3割ほど高いです。
牛肉の赤ワイン煮や焼き肉にあいます。


参考データ:
葡萄品種 カベルネ・ソーヴィニヨン種
産地:スペイン/ラ・マンチャ地方
価格:750ml/1,000円前後/樽熟成は1,300円前後


引用・参考文献:
ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート教本
                        (日本ソムリエ協会)
日本ソムリエ協会 教本/2003年度版     (日本ソムリエ協会)
基礎ワイン教本/WSET編            (柴 田 書 店)
田辺由美のワインブック              (飛 鳥 出 版)
田辺由美のワインノート              (飛 鳥 出 版)
ワインの科学          清水 健一 著   (講  談  社)
ヒュー・ジョンソンの楽しいワイン         (文 春 文 庫)
ワインベストセレクション260 浅田 勝美 監修 (日 本 文 芸 社)
ワインのたのしみ方       皆川 達夫 著   (主婦と生活社)
世界ワイン大全                  (日経BPムック)
ワインの世界史                  (中 公 新 書)
ワイン・カタログ/ナヴィ・インターナショナル編   (西  東  社)
ボルドー/ワインの宝庫を訪ねて            (日経BP社)
ブルゴーニュ/ワインとグルメの歴史にひたる       (日経BP社)
シャンパーニュ/金色に輝くシャンパンの故郷へ     (日経BP社)
トスカーナ・ワイン紀行                 (日経BP社)
ソムリエを楽しむ        田崎 真也 著   (講  談  社)
ワインものがたり        鎌田 健一 著     (大泉書店)
今日からちょっとワイン通     山田 健 著   (草  思  社)
私のワイン畑          玉村 豊男 著   (扶  桑  社)
夢ワイン             江川 卓 著   (講  談  社)
永井美奈子のベランダでワイン            (主婦と生活社)
ワイン この一本    戸部民夫・清水靖子編著  (毎 日 新 聞 社)
ワインデイズ      マーク・ピーターセン著 (文春文庫PLUS)
ワイン用葡萄ガイド   ジャンシス・ロビンソン    (WANDS)
ワインの教室                   (イカロス 出 版)
ワインついしゃべりたくなる博学知識         (河出書房新社)
カクテル123                  (日 本 文 芸 社)
男と女のワイン術              (日経プレミアシリーズ)
サッポロHP  など