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3.運転時のサバイバル術 (2001年7月21日記載)
三回目となったこのコーナーですが、サバイバルの基本についてここで確認したい。サバイバルに必要なのは、シュワちゃんやスタローンのようなマッスルボディでもなければ、ブルース・リーのような熟達したカンフーの技でもない。もちろん在れば在ったに越したことはないが、サバイバルに必要なのは、「1.普段からの準備と心構え」、「2.非常時の冷静な判断と行動」、「3.運」…この3つである。この中では、"運"だけはどうにもならないが、"準備と心構え(訓練と言っても良い)"を日頃から怠り無くしておけば、非常時に落ち着いて行動できるし、助かる確率も高くなる(運も向いてくるという事)。これは、我々のような一般人から前線の兵士に至るまで変わらない原則である。「日々の準備と心構え」…言い換えれば、用具や行動方法のチェックと怠り無い訓練である。そして最も大切なのが、「4.絶対助かる、成功するという確固たる信念」。これがあるとないとでは、助かる確率はまったく違ってくるのだ。
さて、今回の本題に戻りましょう。運転時のサバイバル術。ジャンボジェット機が一機落ちれば一度に五百名もの尊い命が失われ、マスコミが大騒ぎするのに、年間に一万人も亡くなる交通事故については、あまり騒がれない。これはどうしたものか…。あまりに日常的になりすぎた交通事故。私たちはこの危険に、どう対処すれば良いのか?
教習所や教本で書かれていることをここでもう一度書くのでは意味がないので(それは教本を読んでくださいね)、実際に我々が路上で遭遇しそうな事例について考えたい。
1.運転時の安全確保
高速道路での安全確保…カプセル効果とでも言おうか、人間はいつもと違う場所だといつも違う様相を見せたりします。いつもは静かな人が、車に乗ると突然激しい気性に変わったので驚いた…と言うような経験は誰にでもあると思います。仕事でストレスを溜め込んだり、生活で言いたいことを言えない人が、何か別のものの力を借りて強くなりたいという精神状態です。車は、正にそういう人にうってつけの道具で、硬いボディに守られ、自らの何の努力も無しに大きなパワーを手に入れられるからです。そういう人は、車の力が自分の力であるかのように錯覚しますし、大きくパワーがあり目立つ車を欲しがります。無理な追い越しやとんでもないスピードで爆走する車が、国産の大型高級車やベンツなどの外車、大型4WD車が多いのは、そう言った心理状態と深く関係しています。こちらが法定速度限界で走っていても、後ろからベンツがパッシングして煽ってきた…そう言った嫌な経験は誰にでもあると思います。
今から数年前、中央高速道路で正にそういう事がありました。僕がカプチーノで走ってくると、後ろから猛スピードのステッカーをベタベタ貼ったランド・クルーザーが迫ってきて、パッシングしてきました。若い男女各2名づつ、計4名が乗っていました。少なくとも150km/h以上は出ていたようなので、すぐ避けました。その後、パーキングエリアで休んでから出発すると、またまた先ほどのステッカー・ベタベタ・ランクルが迫ってきました。彼らもパーキングで休んでいたようです。またまた猛スピードでパッシングしてきて、今度も僕は速やかに道を譲りました。その後30分して唖然…なんと前方で、先ほどの暴走ランクルが高速道路上に横転しているではありませんか!幸いにも、男女4名は車から脱出したようで、呆然としていました。
高速道路で、明らかに無謀なスピードで走っていたり割り込みをしてくる車を見かけますが、こちらも一緒になって怒って熱くなってはいけません。さっさと行かせてしまいましょう。危険な車の巻き添えになって、事故を起こすことほど馬鹿らしいことはありません。酒気帯び運転などが社会問題となっていますが、これらも同様です。フラフラしている車、整備不良のような車、無謀な運転の車、暴走族の車両などには、近づかないことです。そして、かっかと熱くならないことです。
峠道での安全確保…さて、峠道は一般道路と違う危険があります。道が曲がりくねっているのが危険なのはもちろんですが、ローリング族やドリフト族が走っている場合も多々あるからです。彼らは、鼠取りが出没せず、通行量も少ない深夜や早朝に走行します。技術レベルの高い走り屋はともかく、初心者レベルの走り屋もいるわけですから要注意です。その時間帯にどうしても峠を越える必要があったら、自分は走り屋でないことを自覚して、安全運転を心がけること。走り屋レベルのスピードに着いて行くのは、自殺行為です(彼らは峠のコースを熟知し、日々練習した上で、そのスピードでコーナーを駆け巡っているのです)。特に気をつけたいのは、センターラインを超えないこと。それと、後ろからパッシングする車両がいたら、見通しのいい直線でさっさと先に行かせること。初心者レベルの車が、ガードレールに突っ込んでいたりして停車している可能性もあるので、車間距離とスピードには気をつけましょう。
20歳前後の数年間、僕もバイクで峠を攻めるのにはまっていたことがあった。走るのは、いつも土曜の早朝。そこに辿りつくのに3~4時間かかるので、相当の早起きして峠に通っていた。ある土曜日いつものように峠を走っていると、後ろから一台のバイクが迫って来たので技術の差を見せ付けてやろうと、120km/hの速度からブレーキングで減速しハングオンでコーナーを回ろうと思ったのだが、クリッピングポイントに達する前にハイサイドでの最悪の転倒。骨折で、病院直行。教訓…運転中は熱くなってはいけない、特に峠道では。
2.路上犯罪への対処
当たり屋集団への対応…車に乗っていて犯罪に巻き込まれることがある。代表例が、当たり屋。やり口は色々とあるのだが、典型的な当たり屋の方法をお知らせしておく。高速道路を走行中、あなたの車の前に高級車が割り込んでくる。しばらくして横にも車がぴたりと付いて来る。次には、すぐ後ろにもう一台ぴたりと着いて来る。後ろの車がぴったり着いてあおって来るので、追い越し車線に出たいのだが横には車がいるので出れない。後ろにあおられるまま、スピードを上げて前の車との車間距離を詰める。次の瞬間、前の車がブレーキをかけてスピードを落とし、それを避けられずあなたは衝突…。
3台はすべて仲間で、路側帯に停められた車から怖い顔をしたお兄さんがゾロゾロ出てくる。あなたは警察に連絡したいが、怖いお兄さんたちは、「怪我も車たいしたことないから、一応連絡先教えてくれ」というようなことを言い、示談になる。その場はそれで済んだ気がしてホッとするが、大きな間違い。後日、「あの車な、高級車でな。意外と修理費かかって○百万円かかってん。」とか、「あの後、鞭打ちになってな、けっこう治療費かかってな、○百万ほどやけどな」となる寸法なのだ。
注意したいのは、運転中後ろからあおられても、決して熱くならずに前方車両との車間距離を詰めないこと。仮に衝突してしまった場合は、絶対に絶対にその場で示談せず、警察に連絡し、保険会社にも知らせること。彼らも身に過去のある身、それを最も嫌う。事故の時は、例外なく必ず警察を呼ぶことである。
ピッキング泥棒への対処…さて、最近被害が多いのが車両ピッキング強盗。これらは、家屋のピッキング強盗と同様、バブル後"しのぎ(稼ぎ)"の減った暴力団が背景にいると言われているが、犯行を実際に行うのは車泥棒のプロ。携帯電話などで盗む車両が指定され、現場の犯行グループ(もしくは個人)が盗む。彼らは日頃から下見をしていて、犯行場所や時刻を練って速やかに実行する。一旦盗まれたら、まず戻ってこない。数週間後には、アジアやロシア、中東などで見ず知らずの人があなたの愛車を乗り回していることでしょう。高級車や人気車に乗っているあなたは、特に要注意だ。
プロにかかっら、鍵の掛かった車も数十秒でドロン。盗まれやすい保管場所は、通りから離れた人目につきにくい奥まった駐車場や地下駐車場など。車の盗難が心配だったら、(鍵をかけるのは当然として)駐車場の場所も考慮しなければならない。自宅に駐車場がなく、他に借りるなら、明るくて、人通りの多い通りに面した駐車場が良い。不安だったら、アラームやハンドル・ロックなど、盗難防止グッズも売っているので利用してもよいでしょう。あなたの車がもの凄い高級車や思い入れの強い車で、とても心配だったら、警備会社の車両位置検知システムや車両の盗難保険に入った方がよいでしょう。
さて、盗難は車の保管場所だけで起きるのではありません。買い物でコンビニに寄った、たった3分の間に盗まれることも実はたいへん多いのです。買い物は1~2分ですむからと、車に鍵を付けたままにしておいたり、エンジンをかけたままにしておくと、戻ってきた時には車はもうそこにはない…。鍵は、忘れずに。
家の次に大きな買い物と言われる、車。盗まれたくなかったら、それ相応の努力が必要な世の中のようです。
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