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 vol.61 2004年夏号

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JOLLYBOYのワインハウス

31.ワイン偉人伝3:フニペロ・セラ

 フランスワインの偉人達から離れて、今度はアメリカのカリフォルニアワインに関わった偉人の話しをしましょう。
 今回は、フニペロ・セラと言う神父さん。フニペロ・セラ神父は、カリフォルニアワインのルーツと呼ばれています。彼は、いかなる人物だったのでしょうか。
 彼の元の名は、ミゲル・ホセ・セラ。1713年、スペインのマヨルカ島のペトラにて生まれました。16歳の時に、マヨルカの首都パルマに渡り、ローマ・カトリック教会のフランシスコ会で、新しい名前"フニペロ"を与えられました。彼は、パルマのルリアナ大学で哲学を修め、その後パルマの聖フランシスコ修道院で教えました。
 1750年に、フニペロ・セラは新世界への伝道に発つ決心をします。スペインを出発し、メキシコへ向います。セラ神父36歳の事です。彼はメキシコの地で、17間伝道の働きをしました。その後、セラ神父はカリフォルニアへ向かいます。
 1769年8月2日午後、フニペロ・セラ神父はガスパル・デ・ポルトラ率いるスペインの探検隊と共に、現在のエルシアン公園の付近に到着しました。セラ神父、56歳の事です。セラ神父とポルトラ(※下カリフォルニア知事となる)は、要砦と伝道所(ミッション)を築きます。彼等の目的は、サンディエゴからサンフランシスコを結ぶ宣教活動でした。そして、このカリフォルニア最初の伝道所であるサンディエゴ伝道所の周りに、セラ神父はヨーロッパ種の葡萄を植え、葡萄栽培とワイン産業をカリフォルニアに持ち込みました(現在、このカリフォルニア最初のサンディエゴの伝道所は、セラ・ミュージアムとなっています)。


JUNIPERO SERRA像 JUNIPERO SERRA像(JOLLYBOY'Sワインノートより)

 
セラ神父は、サンディエゴから北に向かって宣教活動を続け、伝道所も築いていきます。かつてヨーロッパのイタリアのカトリック修道士達が(聖餐式の必需品であったワインを作るため)、フランスやドイツへ宣教活動と共に葡萄栽培とワイン造りをも伝えたように、セラ神父も新しい伝道所で葡萄栽培とワイン造りを行いました。セラ神父は、サンフランシスコへと北上を続け、最終的に21もの伝道所を開き、葡萄栽培とワイン造りも北方へと広げました。これがフニペロ・セラ神父が、カリフォルニア・ワインのルーツと言われる所以です。セラ神父は、1784年8月28日70歳の時に聖カルロス・ボロメオ伝道所にて死亡、埋葬されました。
 ちなみにロサンゼルスの地名は、彼の言葉に起源があると言われます。セラ神父は、その地を"El Pueblo de Nuestra Senora la Reinade Los Angeles(天使の女王の町)"と呼び、それが短縮されて"Los Angeles"となったそうです。
 カリフォルニアワインのルーツと言われるセラ神父ではありますが、残念ながら、"カリフォルニアワインの父"とは呼ばれていません。なぜかと言うと、彼が持ち込んだ葡萄品種と、現在カリフォルニアで栽培されている主流の葡萄品種との間には関連が無く、つまりセラ神父の作ったワインと現代のカリフォルニアワインは別種のものであり、直接的なつながりが希薄だからだと言われます。いずれにせよセラ神父の栽培した葡萄品種の流れを組むワインを飲むのは、現在難しいでしょう。
 そんなわけで、次回はカリフォルニアワインの父と呼ばれる"アゴストン・ハラジー"について取り上げます。



ウッド・ブリッジ・シャルドネ ウッド・ブリッジ・シャルドネ(ロバート・モンダヴィ)

  カリフォルニアでワイン造りの基礎を築いたフニペロ・セラ神父ですが、残念ながらセラ神父に縁のあるワイナリーは現在見つけるのは難しいですし、日本でそれらのワインを手に入れるのはもっと困難なようです(…色々と調べたのですが、一件も見つかりませんでした)。そこで今回は、"近代カリフォルニアワインの父"とも言えるロバート・モンダヴィのワインをご紹介します。
 まず、モンダヴィについて軽くご紹介。モンダヴィ家は1943年にチャールズ・クルーグ・ワイナリーを購入し、ロバートも同ワイナリーで20年に渡りワイン造りにあたります。そして1966年に独立。長男のマイケルと共に、オークヴィルにワイナリーを興し、世界市場で通用する高級カリフォルニアワインを目指したのです。カベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネが70年代に認められ、その後フュメ・ブランやピノ・ノワールもラインナップに加えました。フランスのシャトー・ムートン・ロートシルトと共同で、あの世界的な評価を得た"オーパス・ワン"を作ったことでも有名です。ロバート・モンダヴィは、現在年間700万ケースもの生産量を誇るカリフォルニア随一の大ワイナリーになっています。
 今回ご紹介するウッドブリッジ・シリーズは、手ごろな価格なのに高品質と評判の高いワインです(…この辺がカリフォルニアワインの魅力の一つです!)。そのシリーズの中のシャルドネは、リンゴやトロピカルフルーツを思わせる香りと、ほどよい樽の香りがミックスされた果実味豊かな白ワインです。シーフードはもとより、鳥肉やチーズと一緒に飲んでも楽しめます。


参考データ:生産地/アメリカ合衆国カリフォルニア州・ノース・コースト地方
      ぶどう品種・シャルドネ種 価格 1,300円(2002年もの)


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感想(8件)






映画"この一本!"37 「マックイーンの絶対の危機」

 さてこのコーナーでは、隠れた名作映画を毎月一本づつ紹介していきます。賞を取ったのに興行成績が惨敗だった映画とか、一般には知られていないがカルト的に人気のある映画とか、海外では大ヒットしたのに日本でこけてしまった映画とか-いま一つ日の目を見ない不運な映画を取り上げていきます。

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 夏到来と言う事で、ちょっと怖いSF怪物映画を取り上げます。若かりし頃のスティーブ・マックイーンが主演した"絶対の危機"(原題:THE BLOB)と言う映画です(僕は最近まで、この映画のタイトルを"人食いアメーバの恐怖"だと思っていました…苦笑)。1958年の映画ですから、今から46年も前の映画です。僕もまだ生まれていなかったので、この映画はテレビで見ました。小学生高学年から中学生の頃、僕はテレビで放映されるB級SF映画にはまっていました。たいていはH.G.ウェルズの"宇宙戦争"のように、宇宙から宇宙人や怪物が飛来して地球を襲うと言う映画です。この"絶対の危機"も、宇宙から隕石と共に飛来した怪物の話です。内容自体はとても単純で、アメーバ状の生命体が人や街を飲み込んでどんどんと大きくなっていき、マックイーン扮する街の青年がアメーバの弱点を見つけて退治すると言うお話です。イチゴ・ジャムみたいなアメーバが所狭しと暴れまわり(?)、遂には映画館いっぱいになるところのクライマックスの見せ場は最高で、子供心にワクワクしました。

絶対の危機
Imaged by JOLLYBOY

 監督は、アーヴィン・S・イーワス・ジュニアと言う人です…B級SF映画ばかり撮っていた人みたいです。1958年には、他にも色々と優れたB級SF映画や怪奇映画がありました。"蝿男の恐怖"(後にザ・フライとしてリメイク)、"吸血鬼ドラキュラ"(あのクリストファー・リーとピーター・カッシングの名コンビのバージョン!)など、本当に感涙ものB級映画がいっぱいあった年でした。
 この"絶対の危機"には、"悪魔のエイリアン"(人食いアメーバの恐怖2)と言う続編があります。前作と同様、あのアメーバが街を襲うのです。これも僕はテレビで見て、確かマックイーンが何らかの形でカメオ出演していたような記憶があります。
 ずっと後になって、1989年には"ブロブ/宇宙からの不明物体"と言うタイトルでリメイクされました。オリジナルの作品のアメーバよりはずっと積極的な奴で、触手を伸ばして獲物を狙ったりしますし、動きもすばしこいです。しかも、女性も子供も関係なく襲っちゃいます(時代が変わったよね~)。ネタばれになるので結末は書きませんが、1958年オリジナルとは違い、生命体の起源も明らかにされます。低予算の割に、SFXとかでけっこうがんばっています。だからと言って、B級SF映画のチープさは外していません(B級SF映画好きの僕としては、チープさは絶対に譲れないところ)。この"ブロブ"の監督のチャック・ラッセルは、後に"マスク"の監督としてブレークします。共同脚本家のフランク・ダラボンも、あの"ショーシャンクの空に"の監督でブレークします。そんな優れた人たちが作った作品なので、B級SF映画ですがそれなりに楽しめます。
 でもやっぱり僕は、半世紀も前のオリジナルのジャムみたいな"素朴な"アメーバの方が好きだったなぁ。




趣味の部屋(ビークル&アウトドアー&エトセトラ)

"再び苺栽培に挑む"

 過去二年間、イチゴ、桃太郎トマト、プチトマト、きゅうり、枝豆と、ことごとくベランダ栽培に失敗してきた。"今年こそ!"はと思ってはいたのだが、果たしてどうしたものだろうか…。今までの過去の失敗を振り返ると(冷夏などの不運はあったものの)、素人なのに種から育てようとしたのがいけなかったかもしれないと反省し、今年はもう葉が出ている鉢植えの苗から栽培してみた。妻のお父さんがこういったことが得意で、イチゴの鉢苗を分けてもらった。

イチゴの実 イチゴの実がなった!

 妻が水をあげていたが、花がいくつか咲き、そして上のようなみごとなイチゴがなったのである!初めてで、かつあまりに見事だったので、取るのにしのびなく、結局その実は枯らしてしまった…何やってんだか。次は、しっかり食べようと思う。



今月号の引用・参考文献:
ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート教本
                        (日本ソムリエ協会)
日本ソムリエ協会 教本/2003年度版     (日本ソムリエ協会)
基礎ワイン教本/WSET編            (柴 田 書 店)
田辺由美のワインブック              (飛 鳥 出 版)
田辺由美のワインノート              (飛 鳥 出 版)
ワインの科学/清水 健一 著            (講  談  社)
ヒュー・ジョンソンの楽しいワイン         (文 春 文 庫)
ワインベストセレクション260/浅田勝美監修   (日 本 文 芸 社)
世界ワイン大全                  (日経BPムック)
ワインの世界史                  (中 公 新 書)
ワイン・カタログ/ナヴィ・インターナショナル編   (西  東  社)
ボルドー/ワインの宝庫を訪ねて        (日 経 B P 社)
ブルゴーニュ/ワインとグルメの歴史にひたる   (日 経 B P 社)
シャンパーニュ/金色に輝くシャンパンの故郷へ (日 経 B P 社)
トスカーナ・ワイン紀行             (日 経 B P 社)
ソムリエを楽しむ/田崎真也             (講  談  社)
ワインものがたり/鎌田 健一 著          (大 泉 書 店)
今日からちょっとワイン通/山田 健 著        (草  思  社)
私のワイン畑/玉村 豊男 著            (扶  桑  社)
夢 ワ イ ン/江川 卓 著              (講  談  社)
永井美奈子のベランダでワイン            (主婦と生活社)
ワイン この一本/戸部民夫・清水靖子編著     (毎 日 新 聞 社)
ワイン用葡萄ガイド/ジャンシス・ロビンソン      (WANDS)
ワインの教室                   (イカロス 出 版)
ワインついしゃべりたくなる博学知識         (河出書房新社)
オーケストラワインショップWeb配信ニュース
San Diego Biographies Web Site
小島速人 Wine & Newlife Web Site
ザ・ムービー 1958年           (ディアゴスティーニ)


聖書の言葉

「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」(ヨハネによる福音書3章16節)