vol.55 2003年冬号
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25.ワインの雑学Ⅲ
気が向いた時だけ取り上げるワインの雑学知識も、これで三回目となりました。新しい年を迎えたので、めでたい話題をお送りしましょう。
ノーベル賞とワイン
昨年は、2名も日本人のノーベル賞受賞者が出ました。その内一人はサラリーマンと言うことで、この不況下とても明るい気持ちにさせられました。さて、スウェーデンでは毎年12月10日をはさむ一週間は、ノーベル週間と呼ばれています。この週間には、ノーベル賞受賞者の講演、受賞者夫妻と受賞者を出した国の大使夫妻を加えてのレセプション、そして10日にはスウェーデン国王の手による授賞式がコンサートホールで催されます。
で、ノーベル賞の授賞式や晩餐会で使われるシャンパンなのですが、フルーリィ・ペール・エ・フィスという無農薬・有機農法栽培のぶどうで造られたシャンパンのみが唯一公式で認められています。他の有名・大手シャンパンメーカーがどんなに頼んでも(…お金を積んでも?)これは絶対変えられないことで、地球に優しいフルーリィのシャンパンだけしか使わないそうです。百年もの歴史のあるノーベル賞と同様、使われるワインにも歴史があるようです。
文豪に愛されたワイン達
世界で名を馳せた文豪たちには、酒好きな人達が数多くいたようです。人生の深みを知ることと、酒を愛飲(もしくは痛飲?)することには、何らかの相関関係でもあるのでしょうか…何故か物書きと酒の取り合わせは、「絵」になる気がします。ここでは、文豪が好きになったワインを取り上げてみましょう。
ノーベル文学賞受賞者のアーネスト・ヘミングウェイは、ボルドーのシャトー・マルゴーが大好きだったと言います。シャトーを見学に行ったばかりでなく、数日間滞在してヴィンテージ物のマルゴーを、毎日何本も空にしました。彼のマルゴー好きは半端でなく、孫娘にマルゴー(英語読みでマーゴ)という名を付けてしまったほどです。そう、往年の映画ファンなら御存知かと思いますが、「リップスティック」に主演したマーゴ・ヘミングウェイです(残念ながらもう故人です)。
さて、フランスのもう一方のワイン名醸地ブルゴーニュでは、モンラッシュ村のワインが文豪達に人気があったようです。フランス人作家のラブレーは、モンラッシュを「神業のワイン」と称えました。三銃士などの名作の著者であるA・デュマは、「モンラッシュは帽子を手に、ひざまづいて飲むべし」と言う最大の賛辞を贈っています。
日本でも、ワイン好きの物書きの方はいます。ちょっと特異な例ですが、エッセイストの玉村豊男氏はワインが好きなだけでなく、長野県に移住して実際にブドウ畑を作ってオリジナルワインを作っています(これはもう、ワイン好きだとかそういう範疇を超えている気が…)。
もちろん、ここで挙げた以外にも多くのワイン好きの文筆家達がいます。ワインが、何故文筆家に愛されるのか…おそらく香りや味が素晴らしいのはもちろんとして、ワインが長い歴史や文化、言い換えれば「物語」を持っているからではないでしょうか。そんなことを思ってしまいました。
映画"この一本!"31 「シティ・スリッカーズ」
さてこのコーナーでは、隠れた名作映画を毎月一本づつ紹介していきます。賞を取ったのに興行成績が惨敗だった映画とか、一般には知られていないがカルト的に人気のある映画とか、海外では大ヒットしたのに日本でこけてしまった映画とか-いま一つ日の目を見ない不運な映画を取り上げていきます。
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今回取り上げる映画"シティ・スリッカーズ"は、"羊たちの沈黙"や"ダンス・ウィズ・ウルブス"と言った超大作を抑え、1991年の全米興行成績の3位を記録する大ヒットとなった。ところがである。「全米○位」と言うフレーズに弱い日本の映画ファンだが、日本では興行成績のベスト10にも入らない予想外の惨敗となった。今回は、この映画をご紹介。
シティ・スリッカーズは、直訳すれば「都会の口達者な奴ら」で、"都会育ちの青っ白いボンボン"みたいな意味合いが込められているのだと思う。ニューヨークに住む3人の中年男(それぞれビリー・クリスタル、ダニエル・スターン、ブルーノ・カービーが演じる)が、ニューメキシコのカウボーイ体験ツアーに参加する。仕事に意欲を失っているミッチは、仲間のフィルとエドとカウボーイ体験ツアーに参加。250頭の牛を連れての、本格的な大移動の旅だ。彼らを率いるのは、ベテランの老カウボーイのカーリー。都会の中年男たちは、旅での様々な経験を通じて心を通わせながら、新しい自分を発見していく。ところが、旅の途中で、彼らを率いるカーリーが突然死んでしまう。残された都会育ちの頼りない中年男たちは、果たして牛の大群を率いて旅を終わらせることができるか!?…と言う物語。
Imaged by JOLLYBOY
ちなみにこの映画で老カウボーイを好演したジャック・パランスは、アカデミー賞の助演男優賞を獲得した。老カウボーイは寡黙な男で、都会流のジョークや社交術・処世術とは無縁の男。しかし、荒々しい大自然の中で生きる智恵と経験を持ち、人生を豊かに生きる術を心得ている。都会で疲れた者達が、カーリーを通じて新たな自分を見出していくドラマは、この大不況でリストラやハードな仕事で疲れたサラリーマン達に見て欲しい一本である。
ビークル&アウトドアー&エトセトラ "富士山を観察する"
2002年の1月から12月までの一年間、家から富士山が「見えるか、否か」を観察し続けた。何故そんなことを始めたかと言うと、ある本で「かつて江戸からは、富士山を年間100日以上見ることができた」という記事を目にしたからだ。それが何の雑誌だったかは覚えていないのだが、妙に気になっていた。僕の家の3階の寝室からは、富士山が見える。「自分の家から、1年のうち何日富士山が見えるだろう?」という、単純な疑問が頭をよぎった。だったら、観測してみるか…そんな軽い動機で始めた富士山観測である(けっこうたいへんだったので、もう二度とやらない)。
富士山と僕の家の距離は、約100km(ちなみに富士山が見える最高距離のカメラ実写記録は、和歌山県妙法山322.9kmだそうだ)。お江戸日本橋とは10km少々しか離れていないので、江戸時代と現代の天候や大気の汚れの比較をする良い材料になるだろう。ただし、日中から夜にかけては東京の事務所で働いているので、富士山観測は朝8時のみ。早朝の5時には見えたとか、朝見えなくとも夕方4時頃になら見えたとか言うことはあったかもしれないが、今回は朝8時限定の観測です。
家から見た2002年の初富士(1月3日)
2002年の富士山観測記録
観測日数362日中富士山が見えた日数:56日
最も富士山が見えた月:1月と11月(共に12日ずつ)
最も富士山が見えなかった月:9月(0日)
連続して富士山が見えた日数:5日間(11月2日~6日)
連続して富士山が見えなかった日数:51日間(8月12日~10月1日)
★詳しい観測日記は、ここをクリック!!
今月号の引用・参考文献:
ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート教本
(日本ソムリエ協会)
基礎ワイン教本/WSET編 (柴 田 書 店)
田辺由美のワインブック (飛 鳥 出 版)
田辺由美のワインノート (飛 鳥 出 版)
ワインの科学/清水 健一 著 (講 談 社)
ヒュー・ジョンソンの楽しいワイン (文 春 文 庫)
ワインベストセレクション260/浅田勝美監修 (日 本 文 芸 社)
世界ワイン大全 (日経BPムック)
ワインの世界史 (中 公 新 書)
ワイン・カタログ/ナヴィ・インターナショナル編 (西 東 社)
ソムリエを楽しむ/田崎真也 (講 談 社)
ワインものがたり/鎌田 健一 著 (大 泉 書 店)
今日からちょっとワイン通/山田 健 著 (草 思 社)
私のワイン畑/玉村 豊男 著 (扶 桑 社)
夢 ワ イ ン/江川 卓 著 (講 談 社)
永井美奈子のベランダでワイン (主婦と生活社)
ワイン この一本/戸部民夫・清水靖子編著 (毎 日 新 聞 社)
ワイン用葡萄ガイド/ジャンシス・ロビンソン (WANDS)
ワインの教室 (イカロス 出 版)
ワインついしゃべりたくなる博学知識 (河出書房新社)
オーケストラワインショップWeb配信ニュース
フライヤー No.17 (アウトフィールド)
ザ・ムービー No.74 (ディアゴスチーニ)
聖書の言葉
「しかし、わたしの言葉を聞いているあなたがたに言っておく。敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい。」 (ルカによる福音書6章27節)