JOLLYBOY'S NEWS JOLLYBOY TIMES
 Vol.47  2001年9月号

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JOLLYBOYのワインハウス

久しぶりに、ワイン・ハウスが新装開店しました(新装?どこが?)。またまたよろしく。

17.ワインの王様はどのワイン?

 さて、久々のワイン・ハウスの復活です。今回は、あんまり難(かた)くない話を一つ。ワイン愛好家の間で、時々話題となる永遠のテーマの一つ。「ナンバー・ワンのワインとは何か?」今回は、遊びの気楽な気持ちでワインの王様について考えてみましょう。
 ○○の王様を選ぶというのは、どんな分野でも楽しいもの。車だっら、ポルシェ○○だろうとか、いやフェラーリ○○が一番だろうとか、人の評価とはまったく違うけど…僕だったらやっぱりカプチーノでしょ…とか、人によってそれぞれ。ワインもおんなじ。
 よくワインの価値を決めるのに引き合いに出されるのが、その高~い価格。銘柄とヴィンテージによっては、百万円以上するものもある。その高いワインの代表選手が、フランスのブルゴーニュ地方のコート・ドール地区のヴォーヌ・ロマネ村で作られる"ロマネ・コンティ"。ワインの中のワイン、偉大なワイン等と言われ、「語る者多くして、飲む者まれなり」とさえ言われる。こう言う僕も、まだ飲んだことがない。何故って、どこの店で調べても一本35万円や50万円もするし、古いヴィンテージではとんでもない値がついている。なんというか、もう古美術品の感覚である。普通の生活の中で、飲める分けがないのだ。なんでこんなに高いのか。そう、いくら品質が良いからと言って、出荷当初からこんなに高価な分けはない。原因は、その作られる本数にある。なんと7000本しか作られないのだ!例えば、100国に出荷されたら、一国辺り70本ずつにしかならない。日本の都道府県だけで47もある。ワインマニア全員に行き渡る数には到底たりない。それで、価格がどんどん上がっていく。ワインは飲み物だから、減ることはあっても増えることはない。いつしか、○十万円になってしまうのである。
 ブルゴーニュ地方のワインに対抗して、ワインの女王と言われるのが同じくフランスのボルドー地方はメドック地区ポイヤック村の一級ワイン"シャトー・ラフィット・ロートシルト"(むかしこの地方はイギリスの支配下にあり、イギリスが女王治下のため"女王の"という形容詞が付く)。このワインは、このワイン・ハウスでも以前紹介したが、「ボルドーで最も絢爛たるワイン」「神に選ばれた比類なき味わい」と言われる。ヴェルサイユ宮殿で王の寵愛を受けていたポンパドゥール夫人が、ロマネ・コンティの畑とワインを手に入れられずにいた時に、紹介されたワインがこのラフィット・ロートシルトだった。夫人は、このワインの繊細で華やか、格調高くエレガントな味わいを理解し、王家御用達ワインとなっていったのである。このワイン、一本の木からわずかワイングラス一杯のワインしか採れないほど、吟味して剪定している。値段は、ロマネコンティほどではないにせよ、新しいヴィンテージでも数万円。古い優ヴィンテージものだと、○十万円。僕は、記念に若いヴィンテージ(97年)のを一本買ったが、熟成するまで飲まないつもり(あと20年ぐらいか?)。
 さて何も優れたワインは、フランスだけにあるのではない。イタリアはピエモンテ州の"バローロ"というワインも、「ワインの王であり、王のためのワイン」と言われる。古代ローマの政治家シーザーが、このワインを愛したという伝説は有名。天下の美女クレオ・パトラと共に、このバローロを酌み交わしと言われる。バローロのメーカーは多いのだが、とても品質の良いものでも5,000円くらいから買え、この辺が高いフランスワインより良いところ。おかげで僕も、数回飲んでいる。初めて飲んだのは1999年(その時の僕の記述のメモによると、とても美味しかったらしい)。好きなワインの一本である。
 今ワインのトップに昇りつつあるのが、実はヨーロッパのワインでなく、新世界のワインであるという評価も一方にはある。アメリカや、チリ、オーストラリア、南アフリカと言った国のワインの評価が高まっている。"経験と伝統"のヨーロッパに対し、アメリカは"科学と最新技術"で勝負。そう、大学などの研究機関で、徹底的に美味しいワインの造り方を研究したのだ。長年の研究・苦労と、カリフォルニオの素晴らしい気候・風土がミックスして、素晴らしい葡萄とワインを作り上げたのだ。どの位素晴らしいワインかと言うと、ブランドを隠してフランス産の数万円の一流ワインとアメリカ産の二千円ほどのワインを専門家にテイスティングさせたところ、多くの専門家が安いアメリカ産のワインに軍配を上げたのである。安いのに、その実力はとても高いのだ。フランスのブランドワインは、本数が元々少ないので高くなりがち。もしワインの実力が同等なら、かなり安い分アメリカワインの勝ちである。これは、チリなどの新世界のワインにも言える。
 さて、何がワインの王様か?伝統ある王家ということならブルゴーニュのロマネ・コンティー。女王様なら、ボルドーのラフィット・ロートシルト。庶民にも親しめる王様ならイタリアのバローロ、新興貴族ということならアメリカのオーパス・ワン…等々。もちろん、今回取り上げたのは、優れたワインの数例でしかない。輝きを放つワインは、まだまだある。
 僕は密かにイタリアのヴェネト州のヴァルポリチェッラが好き。このワインは、「ヴェローナの王子」と言われる。1,500円でこれだけ美味しいのなら、王様にしてあげていいよぉ…と思う(ああ、俺って庶民だなぁ)。皆さんも、自分だけのワインの王様を見つけてはいかが?



ヴォーヌ・ロマネ・プルミェクリュ ヴォーヌ・ロマネ・プルミェクリュ(レ・ボー・モン)

 さて、上でロマネ・コンティを取り上げたが、ボーヌ・ロマネ村には五つのグラン・クリュ(特級畑)がある。ロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、リシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァ、ラ・ロマネの五つ。いずれも高いので、通常まず飲む機会はない。そもそも、ヴォーヌ・ロマネ村は、ワインの名産地コート・ドール地区にあっても、特別な宝石のような村で、その中でもこの五つの特級畑はダイヤモンド級なのだ。特級畑の下にプルミェ・クリュ(一級畑)があるが、他の地区ならこれらの畑でも十分に特級の実力があったりするのだ。しかも一万円くらいから買えるものもある。一級畑は八つ。特に、レ・シュショやレ・マルコンソールなどは秀逸で、特級畑にも引けを取らないと言う。特級でも一級でもない、単に「ヴォーヌ・ロマネ」とだけ書かれた村名ワインも秀逸。特級や一級は気軽に飲める値段ではないが、この村名ワインなら一級なみの実力があるので味わってみて損はない。
 僕は、1999年4月に"ボーヌ・ロマネ"の一級畑(プリミェ・クリュ)のワイン、ボー・モンを飲んだが、その時の記述メモには「果実味と僅かな樽香。まろやかさの中に、わずかな酸味を感じる」とある。…どうやら美味しかったようだ。


参考データ:ぶどう品種/ピノ・ノワール種  価格/1994年 10,000円

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感想(2件)






映画"この一本!"23 「ゾンビ」

 さてこのコーナーでは、隠れた名作映画を毎月一本づつ紹介していきます。賞を取ったのに興行成績が惨敗だった映画とか、一般には知られていないがカルト的に人気のある映画とか、海外では大ヒットしたのに日本でこけてしまった映画とか-いま一つ日の目を見ない不運な映画を取り上げていきます。

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 まだ多少の暑さの残るこの9月、怖い映画を取り上げましょう。タイトルは「ゾンビ」。"怖い映画"と言う言い方をしたけれど、オカルト映画とも違うし、単なるモンスター映画とも違う。ジャンルとしてはSFに近いと思うのだが、一般にはスプラッター・ムービー(※血飛沫の飛ぶ残酷映画のこと)に分類されているようだ。いずれにせよ、B級映画の扱いの域をでない。
 B級評価…実は、僕はこれが気に入らない。どう引っくり返しても、B級映画から抜け出せない映画。監督であるジョージ・A・ロメロは、過小評価されているような気がしてならない。このゾンビシリーズは、3部作である。一作目は"NIGHT OF THE LIVING DEAD(直訳すれば、生ける死人の夜)"、二作目が本作"ゾンビ"(原題:DAWN OF THE DEAD/直訳すれば、死人の夜明け)"、そして三作目が"死霊のえじき"(原題:DAY OF THE DEAD/直訳すれば、死人の日)。題名からも分かる通り、ビジョンを持った3部作である。わずかなゾンビたちが、次第に勢力を増して、やがては地上の支配者(最もゾンビ自体は支配しようなどとは考えていない。脳が腐っているのだから…)となっていく過程を、全3作で描いている。いずれの作品も秀作で、本作はその真ん中に当る。いずれも時代の背景は同じだが、登場人物などに関連はない。
 で、このゾンビはどんな映画かと言うと、国中で死人が"ゾンビ"として生き返っている。テレビなどのマスコミも、上へ下への大騒ぎ。ゾンビ発生は、この世の終わりの前兆だとか、宇宙からの光線で死人が生き返ったのだとか、討論のぶつかり合いだけで何の対策もない。その間にも人々はゾンビに襲われ、ゾンビの数を増やしている。現場でゾンビを目の当たりにしたSWAT隊員2名は、テレビ局の友人たちを連れてヘリコプターで街を脱出する。
 そして、物資の豊富な広大なショッピングセンターに立てこもる。しかし、周囲には青い顔をした腐りかけたゾンビ達の群れが取り囲む。果たして、彼らはどうなる…と言うストーリー。出ている俳優は、この映画以外では見たことのないような人ばかり。はっきり言って、どんな経歴の俳優なのか全然分からん。しかし、ロメロがうまく見せるのだ。

ゾンビImaged by JOLLYBOY

 この映画は、最初は人間がゾンビを恐れて逃げ惑うのだが、次第に群れのなって徘徊するゾンビが哀れに見えてくる。何でも揃っている衣食住の保証された空間で、ただ一つ"自由"だけのない人間の生活と、ただ生きている人間を求めて彷徨う活ける屍"ゾンビ"の対比が、コミカルな感じに見えてくる。この映画、単に現代文明に対する批評だけでなく、生きるとはどういうことかという問い掛けをしながらも、超エンターテイメントに仕上がっている類希なる作品だと思う。(スプラッターな残虐場面がなくても成立する映画だと思うのだが)このアナーキーな残酷なストレート描写が、この映画のカルト的な人気を保っているとも言える一方、このスプラッター場面がなかったらB級映画以上の評価を得ていたかもしれない。いずれにせよ、僕自身のなかではこの作品とロメロ監督は、A級評価なのだ。



ビークル&アウトドアー&エトセトラ

"ゴアテックス神話"

 8月に台風が日本に上陸、しかも東京も直撃と言うので、僕は完全防水体勢で出勤した。吹き付ける雨も何のその、上から下までビショビショになっているサラリーマンを横目に、快適に会社までたどり着いたのでした。通常、真夏のナイロン系のレインコートは暑くて蒸れたり、肌にくっ付いたり、気持ち悪いことこの上ない。しかし、僕はまったくそういうことなく通勤できた。そう、"GORE-TEX(ゴアテックス)"製品に身を包んでいたからである(下の写真です)。登山や、ハイキング、今回のような荒天時には、欠かせない一品である。
 時々、目や耳にすることがあると思いますが、このゴア・テックスについてちょっと書いてみます。ゴアテックスは、雨のような大粒の水滴は通さず、汗のような水蒸気は放出すると言う特徴を持っています。どういうことかというと、特許の特殊な多孔質層を持ち、一平方センチ辺り14億個もの微細な孔(あな/0.2ミクロン)を持っていて、この一つの孔は水滴の二万分の一、水蒸気分子の約700倍…なのです。他にも機能はありますが、ゴア・テックスの最大の特徴は、やはりこの点でしょう。着ていてもジャージ並みに蒸れない快適性を持っているのに、高度な防水性・防風性を持っていて、しかも耐久性が高いのです。ゴア・テックスは、アウト・フィールドにおいて絶大な信頼をもたれていて、ゴアテックス神話なるものが誕生しました。
 今まで、様々なメーカーが似たような素材を開発・販売しましたが、 ゴア・テックスの性能を超える物はでてきません。以前、ゴア・テックスより安い防水・高透湿の素材のウェアを買って、それでスキーをしました。が、結果は散々で溶けた雪がトレーナーの下までしみてきて、ビショビショになりました。なんと言うか、正に「安物買いの銭失い」の典型でした。また、かつてバイクに乗っていた時、ナイロンやビニール系の安いレインウェアを着ていましたが、すぐ破けてしまったりして、結局何度も買い換えました。その反省を踏まえて、登山や荒天時用に、ゴアテックス製品を少しづつ揃えました(ちなみにゴア・テックスは繊維の名前なので、ウェアや靴などの製品自体は色々なメーカーから出ています)。唯一無二の製品のため、はっきり言って値段は高い…。しかし、洗濯もでき耐久性も高いので、長い目で見るとけっして高くないと思う。僕の例(下写真)では、帽子3,800円(モンベル製)、レイン・ウェア上下が25,000円、グローブが5,800円、シューズが12,800円(GTホーキンス製)で、計47,400円。これが高いかどうかは、実際使ってみればよく分かる。特に、アウトドアの好きな人なら、一セット持っていても損はないと思う。
 ちなみに、台風の日は朝はゴアテックス武装がたいへん良かったが、その日の夜はすっかり晴れてしまって、帰りの電車の中でこの完全武装の格好はとても浮いてしまった…。TPOをわきまえない格好は、とても怪しい…。

ゴアテックス
 頭の天辺から足の先までゴアテックス



引用・参考文献:
ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート教本
                        (日本ソムリエ協会)
基礎ワイン教本WSET編             (柴 田 書 店)
田辺由美のワインブック              (飛 鳥 出 版)
ワインの科学           清水 健一 著  (講  談  社)
ヒュー・ジョンソンの楽しいワイン         (文 春 文 庫)
ワインベストセレクション260 浅田 勝美 監修 (日 本 文 芸 社)
世界ワイン大全                  (日経BPムック)
ワインの世界史                  (中 公 新 書)
ワイン・カタログナヴィ・インターナショナル編    (西  東  社)
ソムリエを楽しむ田崎真也              (講  談  社)
ワインものがたり         鎌田 健一 著 (大 泉 書 店)
今日からちょっとワイン通      山田 健 著  (草  思  社)
私のワイン畑           玉村 豊男 著  (扶  桑  社)
夢ワイン              江川 卓 著  (講  談  社)
永井美奈子のベランダでワイン            (主婦と生活社)
ワイン この一本     戸部民夫・清水靖子編著 (毎 日 新 聞 社)
ワイン用葡萄ガイド    ジャンシス・ロビンソン   (WANDS)
ワインの教室                   (イカロス 出 版)
戦後生まれが選ぶ洋画ベスト100         (文 春 文 庫)
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聖書の言葉

「この世の国は、我らの主と、そのメシアのものとなった。主は世々限りなく統治される」。
                            (ヨハネの黙示録 11 章15節)