Vol.43 2001年5月号
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5.ライナスの毛布について
「ライナス」と言えば「毛布」というぐらい、このキャラクターにはなくてはならないアイテムになっている。しかし初めに毛布を抱えていたのは、チャーリー・ブラウンだったという事実を知る人はあまりいない。事実、初期のチャーリー・ブラウンは、きかん坊で今よりずっとわんぱくだったりと、キャラクター設定がまだ確定していなくて、今のような「失敗ばかりだが分別のある少年」とは違っていた。チャーリー・ブラウンは、バイオレットに対し「これは安心と幸福の毛布だよ」とはっきり言っている(実はシュローダーさえも、毛布を隠し持っていたことがばれる)。
安心毛布 「マイ・ピーナッツ・ノートブック」より
しかしながら、その後"毛布"はライナスの専売特許となる。野球しながらでさえ、毛布を手放さない。ライナスにとって毛布とは、チャーリー・ブラウンが言うように「安心と幸福の素」なのである。では何故ライナスは、毛布をいつも抱えねばならないほどの不安にかられているのだろうか。それを探るには、彼の家庭環境を見なければならない。
ライナスは、両親と姉ルーシーとの四人暮らし(後に弟のリランが加わって5人となる)。父の話題が登場することは希で、家庭では母が教育の実権を握っているようである。実は、この母がかなりのガミガミ屋で、始終ルーシーを叱っている(祖母も同様の性格なので、これは家系か?)。さて、いつもガミガミ言われてフラストレーションの溜まったルーシーの欲求不満の捌け口が、無力な弟ライナスなのである。標的にされた哀れなライナスは、潜在的に逃避場所を求め、それが毛布なのだ。フカフカの毛布に包み込まれると、安心感が与えられたに違いない。酒やドラッグと同じ一過性の幸福感なのだが、ライナスにはなくてはならない。そう、ライナスは毛布依存症なのである。毛布がないと、頭がくらくらし、手が震えてしまうのだ。
しかし、ライナスもただ逃避しているばかりではない。自ら武装して、ルーシーに立ち向かうことがある。腕力ではかなわない彼は、"知識"で対抗する。哲学や聖書に関する知識は大人顔負けのもので、それがまたルーシーには面白くないらしくイライラを募らせる要因になっている。どっちにしろ、ライナスはまたそのイライラの矛先になるわけだ。
これは私の予想だが、ルーシーが母親似なら、ライナスは父親似に違いない。ライナス同様、父親も家庭の中では静かにひっそりと暮らす、知的な男に違いない…などと、思うのである。
ピーナッツ・グッズ 5 "ピーナッツ関連本"
ピーナッツには、その内容と関連したもしくは引用した本がとても多い。他の漫画と違う大きな点は、性格分析や心理学、カウンセリングといった内容に関連した本が圧倒的に多く、その道の専門家が大人向けに書いた本が多いこと。牧師が書いた"スヌーピーたちの聖書のはなし"という福音に関する本さえある。僕も、出るたびに次々と買ってしまうのだが、心を病む人や悩める人が増大する一方の現代、これからもどんどんこのようなピーナッツ本の出版が増えると思う。
ピーナッツ関連本
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新装版 スヌーピーたちの聖書のはなし (講談社の実用BOOK)
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映画"この一本!"19 「ウェスト・ワールド」
さてこのコーナーでは、隠れた名作映画を毎月一本づつ紹介していきます。賞を取ったのに興行成績が惨敗だった映画とか、一般には知られていないがカルト的に人気のある映画とか、海外では大ヒットしたのに日本でこけてしまった映画とか-いま一つ日の目を見ない不運な映画を取り上げていきます。
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ジェラシック・パークなど、数々の大ベストセラーの原作者"マイケル・クライトン"。彼や彼の作品は、多くの人がご存知のことと思う。では、彼が今から28年も前の1973年に映画を作ったのは、ご存知だろうか? その名は、"ウェスト・ワールド"。とても初監督作とは思えないほど、なかなかの出来。
で、内容はというと、ジェラシック・パークのエッセンスが丸ごとつまったストーリー。恐竜をロボットに置き換えただけとさえ言ってよい。大砂漠に、大規模なレジャーランドが作られる。その名は"デロス"ランド。いくつかのテーマ・パークに分かれていて、西部開拓時代、ローマ時代など、いくつかのテーマが選べる。いずれも、精巧に作られたロボット達により、エンターテイメント化されていて、実弾を使った本物の決闘すらできる。
ところが、ここで問題が発生。ジェラシック・パークでも顔を覗かせていた"フラクタル理論"。複雑かつ高度に構成されたシステムは、やがて崩壊していく…のである。ロボット達が、恐竜同様に、人間を襲っていく。そのロボット役を、あの荒野の七人のユル・ブリナー(故人)がやるのだから、面白くないわけが無いのだ。その執拗さは、まさにターミネーターを彷彿とさせる。いや、こっちの方がずっと先に作られた作品なんだけどね。ちなみに、続編にピーター・フォンダ主演の"未来世界"というがあって、ロードショーで見たんだけど、こっちはあんまり…。
Imaged by JOLLYBOY
ビークル&アウトドアー&エトセトラ
"心の中のヒーロー・その5 "仮面ライダー"
ヒーローシリーズは、取り上げたらきりが無いので、今回が取り敢えず最終回。で、やっぱりこれは外せない。"仮面ライダー"。僕らの世代前後だったら、必ず集めたライダーカード。そして憧れたライダーベルトとマフラー。仮面ライダーは、子供の生活の一部となっていた。今では量産され複雑化するライダー・キャラクターだが、昔はライダーの腕と脚の線の数が、1号が無くて、2号が一本で、新1号が二本で・・・とか、そんな些細なことが僕らには重要だった。そして、何より原作の仮面ライダーは、時代の陰というものを色濃く反映していた。特に、背景にあった公害問題というものを真正面にとらえていた。それが、ぼくらには、仮面ライダーがちょっと陰のある特別なヒーローとして新鮮に映っていたのである。
現在の商品を売らんがための各種キャラクター量産とは違い、あの当時生み出されたヒーロー達は、暗く重い時代背景の中、何か高尚な目的や夢を子供に伝えようとしていたと思えるのである。原作者の漫画家や映像作家たちにも、そういう使命のようなものが確かにあったと思う。ここでは、書ききれなかったが、子供の頃には、ルパン三世、あしたのジョー、宇宙戦艦ヤマトなどなど、数多くのヒーロー達の物語が、きら星のごとく輝いていたと思う。
仮面ライダーのフィギュア
毎回書いているが、私はフィギュア・コレクターではない。上の仮面ライダーは、たまたま目にとまって買ったもの。とは言ううものの、これだけ色々買っていれば、もはやコレクターなのだろうか?。
引用・参考文献:
ピーナッツ・シリーズ旧刊/1~35,37~39,42~48,51,52,54,55,72
(ツルコミック&角川)
ピーナッツ・シリーズ新刊全26巻 (角 川 書 店)
スヌーピーと生きる/チャールズ・M・シュルツ伝
リタ・グリムズリー・ジョンスン著 (朝 日 新 聞 社)
スヌーピーと仲間たちの心の時代/広淵 升彦 著 (講 談 社)
スヌーピーたちの性格心理分析/A.J.ツワルスキー著 (講 談 社)
知ってるつもり・チャールズ・M・シュルツ (日 本 テ レ ビ)
朝日新聞・チャールズ・M・シュルツ死亡記事
映画・スヌーピーとチャーリー/スヌーピーの大冒険
ピーナッツTVシリーズ・ビデオ
OH! GOOD GRIEF!/VINCE GUARALDI (ワーナー・ブラザース)
A Charlie Brown Christmas/Vince Guaraldi Trio (スター・バックス)
LINUS & LUCY/THE MUSIC OF VINCE GUARALDI/George Winston
(Fun House)
ウェスト・ワールド(DVD) (ワーナー・ホーム・ビデオ)
聖書の言葉
「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える」。(コリントの信徒への手紙第一 13章4~7節)