JOLLYBOY'S NEWS JOLLYBOY TIMES
 Vol.37 2000年11月号

入口 >トップメニュー >NEWS >現ページ


JOLLYBOYのワインハウス

15.ぶどうの栽培方式

 さて、前回"勝沼"でも触れましたが、日本の葡萄畑の多くが棚つくりという方法です。皆さんもご覧になったことがあると思いますが、藤棚のように葡萄の蔓を上から吊るす方法です。これは世界でも希な栽培方法ですが、日本ではこれが主流です。何故、日本は棚つくりなのでしょう?
 そもそも日本は高温多湿なため、世界でも有数のカビの宝庫です。その数と種類はアメリカやオーストラリア等の乾燥地帯はもとより、欧州もはるかに及びません。日本の葡萄は、常にありとあらゆるカビによる病気の危険にさらされています。そして高温多湿なため、そのカビの増殖が速いと言う二重の悪環境にあります。一般的にワイン用葡萄では、欧米のような垣根式栽培法による方が良い果実を収穫できることが分かっていますが、日本の風土では合いませんので(※乾燥地帯を原産地とする欧州系品種ぶどうは、カビや高温多湿の日本にそもそも合っていません)、風通しの良い棚つくり栽培となっています。また山梨で古くから栽培されている甲州種葡萄が垣根式栽培に合わないことと、狭い畑の日本では面積辺りの収穫量の高い棚式栽培方法が常識になっているようです。ちなみにこの棚作り方式を考案したのは、かの湿布薬トクホンの商品名の由来となった"永田徳本"先生だと言われます(注:まったく余談ですが、株式会社トクホンの前身の鈴木日本堂は明治34年に鈴木由太郎によって設立され、トクホンは昭和8年に鈴木日本堂から発売されました)。


主な葡萄栽培法 主な葡萄栽培法 (JOLLYBOY'Sワインノートより)

 さて、欧米ではどうかというと、やはり垣根つくりが主流です。杭と杭の間に針金を通して、そこに蔓を巻きつけます(上の図参照)。ドイツなどの寒冷な地では、暖かい川面の急斜面に葡萄を植えるため、斜面に棒を挿して葡萄を植える棒つくり栽培が用いられます。葡萄栽培は、品種、気候、土壌、地形などに合わせて、様々な工夫をした栽培方法が採られているのです。


ボージョレ・ヴィラージュ ボージョレ・ヴィラージュ

 毎年11月の第三木曜日、ボージョレの新酒(ヌーボー)が解禁となる。ボージョレのぶどう品種"ガメイ"は他の地区では人気が無い"質より量"の品種で、このブルゴーニュ地方のボージョレ地区においてのみ唯一その力を発揮するが、基本的に軽いフレッシュなワインができる。そもそも赤ワインは、濃厚で力強く年月を経て熟成を重ねたもののみが価値あるとされてきたので、ボージョレのワインは長年人気がなかった。
 しかし、そこを逆手に取ったのが、ボージョレ・ヌーボーなのだ!出来立てホヤホヤのワイン!フレッシュでフルーティー、早く飲まないと美味しくない!そして、これが世界的な大ヒットとなった。ボージョレ・ヌーボーは早飲みタイプのワインなので、パスタや軽食のパーティーを開いてなるべく年内に飲んでしまおう!
 ちなみに、上の写真のボージョレ・ヴィラージュは、単なるボージョレより格上で品質が高い。更にその上に、村名を名乗れる十の優れた銘柄ワインがある。機会があれば、ご紹介したいと思う。

参考データ:ぶどう品種/ガメイ種  価格/1997年 2,500円

【ルイ・ジャド】ボージョレ・ヴィラージュ コンボー・ジャック

価格:2,041円
(2014/11/19 11:27時点)
感想(2件)






映画"この一本!"13

「わが谷は緑なりき」

 さてこのコーナーでは、隠れた名作映画を毎月一本づつ紹介していきます。賞を取ったのに興行成績が惨敗だった映画とか、一般には知られていないがカルト的に人気のある映画とか、海外では大ヒットしたのに日本でこけてしまった映画とか-いま一つ日の目を見ない不運な映画を取り上げていきます。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *


わが谷は緑なりき [DVD]

新品価格
¥1,071から
(2014/11/14 21:33時点)



 晩秋にふさわしい映画を考えていた。あんまり知られてなくて、それでも良い映画。そしたら、自然とこの映画が浮かんできた。これは決してマイナーな作品ではなくて、ある世代以上には良く知られた作品だと思うけれど、僕の世代以降は知らない作品だと思う…。なんせ、1941年の作品だから。

わが谷は緑なりき Imaged by JOLLYBOY

 この作品の監督は、なんとあの"駅馬車"のジョン・フォードなんです。西部活劇ばかり撮っていたわけではないんですね。緑豊かなウェールズの谷間の炭坑町を舞台にしたヒューマン・ドラマなんです。主人公の子供が牧師に励まされて歩けるようになったり、教わったボクシングでいじめっ子を打ちのめしたり、炭坑の落盤事故から瀕死の父が運び出されたり…と、次々にドラマが展開していきます。最後に、言うに止まれぬ状況で許されない恋におちた女性に対して、町の人々が陰で悪口を言う…その愛の無さに対して、怒った牧師が説教台から町の人々に「主の愛とは何か」を説くシーンでは、胸に迫るものがあります。緑豊かだった町が、煤煙で少しづつ黒くなって行く。町の人々の心の豊かさも、物質の豊かさと次第に反比例してくすんでいく…。これは、正にこの2000年の我々のことを言っている気さえするのです。
 黒澤明監督は、ジョン・フォードの"駅馬車"を愛して止まなかったと言いますが、僕はこの"わが谷は緑なりき"も大好きです。ぜひ、一度レンタルしてでもご覧下さい。




ビークル&アウトドアー

"MP3プレーヤー"

 最近、外出する時に必ず身につけていくグッズがある。10月にようやく買った、念願のMP3プレーヤーだ。下の写真を見ても分かる様に、マッチ箱ぐらいの大きさしかなく、手の中にスッポリと収まる。しかしこの中に、最高20曲程度の曲が入る(64MB)。カセット・テープのウォークマン、CDウォークマンと、順々にステップアップして買い続けてきた僕にとって、「ついに来るところまで来たか」の感がある。

MP3プレーヤー MP3プレーヤー "HYPER HYDE"

 何が凄いかと言うと、とにかく小さくて軽い。そして単四電池一本で、7時間も聴ける。今までのカセットにせよ、CDにせよ、MDにせよ、ウォークマンはすべてモーター駆動だった。しかし、MP3プレーヤーはフラッシュ・ロムからデータを直接取り出すのでモーターがない。つまり、消費電力が小さくて済むのだ。モーターやローラーなどの摩擦部分もないので、耐久性も高い。
 一方、欠点もある。MP3データを使うので、基本的にデータのコンバージョンやダウンロードにパソコンが必要(僕の買ったプレーヤーのソフトは、なんとパソコンのBIOSの設定まで換える必要があった。パソコンの素人だったら無理だろ、そんなの…)。MP3プレーヤーは、ある程度パソコンのことが分かっていないと辛いかもしれない。それと、もう一つ。あまりに小さいので、落としても気が付かないかも…。




今月の200文字コラム

「許認可&検定を考える」

 さてこのコーナーは、社会で起こっている様々な問題をたった200文字以内で論評しようという無謀なコーナー。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


 新職種が増える度、許認可や検定が増えていく。その仕事の一定水準のレベルの確保という大義名分は、一応理解できる。しかし、一方で関係省庁の天下り先を増やしている感も拭えない。私の周りの人は、CGを生業としている人が多いが、誰一人CG検定を受験していない。例えば、芸術家に"さあ、あなたのレベルを知りたいので、油絵検定を受けて下さい"と言う人がいるだろうか?日本は、自由化の道に逆らってはいまいか。 (今月は198文字コラムでした)。



引用・参考文献:
ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート教本
                        (日本ソムリエ協会)
基礎ワイン教本WSET編             (柴 田 書 店)
田辺由美のワインブック              (飛 鳥 出 版)
ワインの科学           清水 健一 著  (講  談  社)
ヒュー・ジョンソンの楽しいワイン         (文 春 文 庫)
ワインベストセレクション260 浅田 勝美 監修 (日 本 文 芸 社)
世界ワイン大全                  (日経BPムック)
ワインの世界史                  (中 公 新 書)
ワイン・カタログナヴィ・インターナショナル編    (西  東  社)
ソムリエを楽しむ田崎真也              (講  談  社)
ワインものがたり         鎌田 健一 著 (大 泉 書 店)
今日からちょっとワイン通      山田 健 著  (草  思  社)
私のワイン畑           玉村 豊男 著  (扶  桑  社)
夢ワイン              江川 卓 著  (講  談  社)
永井美奈子のベランダでワイン            (主婦と生活社)
ワイン この一本     戸部民夫・清水靖子編著 (毎 日 新 聞 社)
ワイン用葡萄ガイド    ジャンシス・ロビンソン   (WANDS)
ワインの教室                   (イカロス 出 版)
洋画ベスト150                  (文 春 文 庫)



聖書の言葉

「万軍の主よ、あなたのいますところは、どれほど愛されていることでしょう。主の庭を慕って、わたしの魂は絶え入りそうです。命の神に向かって、わたしの身も心も叫びます。」(詩編84編2,3節)