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 Vol.28  2000年2月号

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 ちょっとだけ"ジャンヌ・ダルク"特集


JOLLYBOYのワインハウス

6.ワインの長~い歴史

 酒の中でも最古の歴史を誇るワイン。有史以前から、人類は発酵した葡萄果汁を偶然飲んだことが度々あったと思われますが、醸造方法が確立したのが、8千年前から一万年前ぐらいのシュメール人の地において、と言われています。その後、遺跡や歴史文章にワインが登場することとなります。エジプトの遺跡や、ギルガメッシュ叙事詩、旧約聖書など。その頃にはワインはかなりの地域に広がっていたと思われます。しかし、まだまだ素朴で、濁りが多く、苦いワインだったと思われます。ワインはその後、オリエントからギリシャへ広がり発展します。ギリシャが滅びても、ワインの技術はしっかりとローマ人へと受け継がれました。そして、ワイン醸造は飛躍的な進歩を遂げ、洗練されたワインが歴史に登場することとなります。

ブドウ

 ローマ帝国の領土の拡大と共に、葡萄の栽培とワイン醸造も領土内へ伝播されていきます。フランスやオランダ、スペインなどへ。またワインの伝播は、キリスト教の拡大とも密接な関係を持っています。聖書にも度々登場するワインですが、キリストが赤ワインの盃を取り「これは、罪が赦されるように、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である。」と述べ、ワインはキリスト教(当時はカトリック教会)のミサに必要不可欠なものとなり、カトリック教会の拡大と共に、葡萄栽培とワイン醸造も拡大していきました。

ミサ

 ところが時代が中世へ移ると、ワインの暗黒時代とも呼べる時世になります。まずはフン族に追われるようにして、ゲルマン民族の大移動が始まります。彼らは放耕民族だったため、次から次へと広範な土地を移り変わり、大地は荒れ果てていきました。葡萄畑も例外ではなく、葡萄山は次々と消えて行きました。続いて8世紀の初頭、ジブラルタル海峡を超えてイスラムの勢力が侵入してきます。厳しい禁酒の教えを奉ずるイスラムにより、ワイン造りも減退していきます。この中世の時代を通じて、僅かに地方の豪族や僧院、教会の周辺で、細々とワイン文化が保存され続けました。
 その後、カール大帝によって、「ワイン文化のルネッサンス」とも言えるワイン造りの改革が始まります。ワインの生産量だけでなく、その品質の改良にも力を入れていきます。ローマ人の醸造技術を守り通してきた教会の僧職関係者、なかでも実際に農業に従事していた修道僧たちを主体として、葡萄山の拡大とワインの品質改良を推し進めました。ノルマン民族の侵入や、ジャンヌ・ダルクの登場する英仏百年戦争、致命的なペストの流行など、様々な逆風が吹きますが、新ワイン時代の進捗は留まることを知りませんでした。

ボトル

 文芸復興(ルネッサンス)以降は、量から質の時代へと以降していきます。そして大航海時代を迎えると、西ヨーロッパ諸国は新大陸へと船出し、植民地化が始まります。ワインに慣れ親しんだヨーロッパ人が、新地での葡萄造り・ワイン造りを始めるのは時間の問題でした。アメリカ、メキシコ、チリ、オーストラリアと、次々にワイン造りの場所が広がって行きました。新地でのワイン造りでも、やはり僧職関係者の活躍は大きいものでした。

船

 近代に入ると急速に科学が発展し、ワインの発酵に関する様々なことが明らかにされてきて、19世紀にはワイン醸造方法がほぼ完璧にまとめられました。害虫や菌による被害も、科学の力でなんとか乗り越え、今こうして私達が手にしているような素晴らしいワインの時代が到来したのです。今や、人間の力でどうにもならないのは、葡萄を育てる天候だけだとさえ言われています。そしてこれからも、ワイン造りは行われていきますが、21世紀にはどんなワインを手にすることができるでしょう。


シノン シ ノ ン

 さて今回紹介するのは、フランスはロワール地方の"シノン"というワイン。フランスのワインと言うと、ボルドー・メドックのワインや、ブルゴーニュのワインを最初に思い浮かべる方が多いと思いますが、他にも良いワインを産する地域はいくつもあります。ロワール地方もそんな中の一つで、1000kmに及ぶロワール川流域から、主に若飲みの飲みやすいタイプのワインが作られています。
 ロワール地方の中でも、トューレーヌ地区は特に景観の素晴らしい所。「眠れる森の美女」のモデルになったシャトー・ユッセを始め、有名なお城が多い。シノン城もその一つ。シノン城は、ジャンヌ・ダルクと切っても切り離せない深いつながりのあるお城。わずか17歳のジャンヌ・ダルクが、初めてシャルル7世の拝謁をたまわった場所がこのシノン城。そしてこのシノン城のある地域は、ロワールで最高の赤ワインの山地。ロワール川南岸にあるシノン村は、中でもすぐれたワインで有名なのです。
 シノン村の赤ワインは、独特の高貴なバイオレットの香り、それにリキュールのカシスに似た果実香が加わり、エレガントなたたずまいを見せ、味わいもエレガント。

参考データ:ぶどう品種/カベルネ・フラン種 参考価格/2,600円


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映画"この一本!"4

「裁かるるジャンヌ」

さてこのコーナーでは、隠れた名作映画を毎月一本づつ紹介していきます。賞を取ったのに興行成績が惨敗だった映画とか、一般には知られていないがカルト的に人気のある映画とか、海外では大ヒットしたのに日本でこけてしまった映画とか-いま一つ日の目を見ない不運な映画を取り上げていきます。

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 さて、2000年最初に見た映画が、大好きなリュック・ベッソン監督の"ジャンヌ・ダルク"。キリスト教が超少数派の日本ではあまり話題になりませんが、欧米ではジャンヌ・ダルクは、今まで何度もリメイクされてきました。最近では、"美しき諍い女"のジャック・リヴェット監督が撮った"ジャンヌ"があります。戦後世代の人の記憶に残っているのは、イングリッド・バーグマン主演の"ジャンヌ"でしょうか。しかし今回ここでご紹介するのは、1928年製作(日本公開は1929年)のカール・ドライアー監督(デンマーク人)の"裁かるるジャンヌ"です。おそらく今の時代の人は、ほとんど誰も知らない映画でしょうが名作です。

ジャンヌ・ダルク Imaged by JOLLYBOY

 資料によると、"ジャンヌ・ダルク"は、「ドンレミ村の農家の娘。救国の神託を受けたと信じ、シャルル七世に上申していれられ、イギリス軍を破ってオルレアンの包囲を解いた。のち、イギリス軍に捕らえられ、ルーアンで異端として火刑に処せられたが、1920年にローマ教皇庁により聖女に列せられた。オルレアンの乙女。」とあります。この"裁かるるジャンヌ"は、そういう背景の中で彼女の宗教裁判を素材に、法廷での最後の一日のみを描く異色作です。
 ジャンヌ役のルイーズ・ルネ・ファルコネッティをはじめ、登場人物はすべてノーメイク。それをクローズアップの連続で捉えていくという独自のスタイルを貫いています。アップを多用しているのに、その美しさが少しもあせて見えないのが素晴らしい。そしてサイレント映画なのに、出演者はきちんと台詞をしゃべっていて、またトーキー時代が到来しつつあったのに、画面の編集によって音の無い映像の可能性を追求しています。
 内容の方はと言うと、教理問答のような宗教法廷の詰問と応答(氾濫する台詞字幕)。ついに神を裏切れない従順なジャンヌが、切られた乙女の髪に落とす涙…。民衆擾乱場面に繰返される鳥の大群の飛翔…。名場面である。
 現在この作品は、淀川長治名作100選のビデオかDVDで見ることが可能である。ご覧になる機会があったら、フルカラーかつトーキーの超大作のベッソン版"ジャンヌ・ダルク"と比べてみて、72年の時代の隔たりの差を見るのも面白いかも。




ビークル&アウトドアー

"ヘルメットについて考える"

ヘルメット
 マイ・ヘルメッツ (左からバイク用、パラグライダー用、マウンテン・バイク用)

 さて、ジャンヌ・ダルクの映画でもそうだが、中世までの合戦シーンでは、兵士達が甲冑に身を包んでいる。しかし、近代戦では、機動力の活かせるより軽い戦闘服が求められ、近代史においては甲冑は消えてしまう。しかしそれでも、頭部だけは最も重要な部所であるため、ヘルメットという形で進化していく。現代では、兵士や戦闘機のパイロットだけでなく、モータースポーツやスカイスポーツ、球技など危険の伴うところでは必ずヘルメットが必要となっている。
 ヘルメットは、脳損傷を防ぐため様々な進化を遂げてきた。ヘルメットは、ただ固いだけでは駄目だ。脳の損傷を防ぐために、クラッシュ時の頭の静止を段階的に止める必要がある。そのためには、厚みと固さが充分で、一瞬では潰れない素材が必要だ。そう言った訳で、ヘルメットの内側に発泡スチロールを詰め、内側にスポンジが加えられたりして、ヘルメットは発展してきた。またヘルメットが外れてしまわないように、強度のあるストラップも進化してきた。
さてヘルメットを選ぶにあたり、最低限の注意点がある。

1.ヘルメットは経年劣化するので、古いもの(5年を目安)や一度衝撃を受けたヘルメットは交換すること。
2.シェル(外殻)の強度は重分か。長期の耐久性はあるか。
3.装着性は、しっかりしているか。
4.長時間被るものだから、快適さを確認せよ。
5.高品質・高価格でも迷わず買え。古いヘルメットの交換にも迷うな。脳に値段はつけられないのだ。



今月の200文字コラム

「人権を考える」

 さてこのコーナーは、社会で起こっている様々な問題をたった200文字以内で論評しようという無謀なコーナー。

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 生まれた国や民族や宗教が違うというだけで、差別を受けたり虐待・虐殺されたりする。平和ボケした日本でさえ、未だに様々な差別がある。生まれてくる子供は、国も民族も親も選べないのに、ある一方では恵まれた生活を営み、もう一方では今日を生き抜くことさえ難しい。人権は、いつでもどこでも誰でも平等なら、せめて子供たちの生活と教育は国連や世界各国が協力して力づくでも守ってやらねばならないはずだ。  …(今月は195文字コラムでした)



引用・参考文献:
ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート教本
                        (日本ソムリエ協会)
基礎ワイン教本WSET編             (柴 田 書 店)
田辺由美のワインブック              (飛 鳥 出 版)
ワインの科学           清水 健一 著  (講  談  社)
ヒュー・ジョンソンの楽しいワイン         (文 春 文 庫)
ワインベストセレクション260 浅田 勝美 監修 (日 本 文 芸 社)
世界ワイン大全                  (日経BPムック)
ワインの世界史                  (中 公 新 書)
ワイン・カタログナヴィ・インターナショナル編    (西  東  社)
ソムリエを楽しむ田崎真也              (講  談  社)
ワインものがたり         鎌田 健一 著 (大 泉 書 店)
今日からちょっとワイン通      山田 健 著  (草  思  社)
私のワイン畑           玉村 豊男 著  (扶  桑  社)
夢ワイン              江川 卓 著  (講  談  社)
永井美奈子のベランダでワイン            (主婦と生活社)
ワイン この一本     戸部民夫・清水靖子編著 (毎 日 新 聞 社)
ワイン用葡萄ガイド    ジャンシス・ロビンソン   (WANDS)
ワインの教室                   (イカロス 出 版)
洋画ベスト150                (文 春 文 庫)
ザ・ムービー1990年           (ディアゴスティーニ)
大 辞 泉                     (小 学 館)
クロス・カントリー20 Brain damaged…yet?   (クロス・カントリー)



今月の聖書の言葉

「目を覚ましていなさい。信仰に基づいてしっかり立ちなさい。雄々しく強く生きなさい。何事も愛をもって行いなさい」。(コリントの信徒の手紙Ⅰ 16章13,14節)