Vol.27 2000年1月号
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2000年"新千年紀"特集!!
5.パーティーとワイン(新年を祝おう!)
2000年と言うことで、様々なパーティーや新年会があるのではないでしょうか。特別な年なので、シャンパンやワインも登場する回数も多いかもしれませんね。そこで前回のワインの供出温度に引き続き、今回はワインの供出順序について。
食事で、ご飯の前にデザートを出す人はいませんよね。サラダやスープの前に、メインデッシュが来るのも変ですよね。同じようにワインの出し方にも、それなりの順序があります。参考程度に、頭の片隅に入れておくと便利かも。白ワインから赤ワインへ。
・辛口ワインから甘口ワインへ。
・軽いワインから重いワインへ。
・若いワインから熟成ワインへ。
・並のワインから上質ワインへ。
これらをうまく組み合わせ、料理に会わせたりしながら出すのですね。料理は、基本的にその土地の料理とその土地のワインが合います(これは日本酒と和食の関係と似ていますよね。郷土料理と地酒)。必ずしも肉だから赤、魚だから白と決め付けることもないんですよ。色々と試してみるのも面白い…。僕は、チーカマやソーセージ、ポテトチップスなどとあうワインを探すために、色々試しています。
それとは別に、食前酒(アペリティフ)、食後酒(ディジェスティフ)と言うのがあります。食前酒は、食欲がわくような口当たりの良いワイン(甘味を抑え、苦味・酸味があり、アルコール度は低い)、食後酒はデザートワイン(消化を助け、甘味があり、アルコール度数は若干高め)が向いているようです。
自宅での初のワイン・パーティー
僕も昨年の秋、初めて自宅でワイン・パーティーを開きました。狭い部屋に12名が集まり、各自が一品づつ料理を持ち寄りました。食前酒にシャンパン(ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン)、食事に赤ワイン(シャトー・カロン・セギュール、ジュブレシャンベルタン等)、白ワイン(シャブリ、エスト・エスト・エスト・モンテフィアスコーネ等)、食後種に白ワイン(ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ等)を初め計10本のワインを空にし、とても楽しい一時を過ごしました。日頃自分一人の時は、なかなかもったいなくて飲めない高価なワインも、大勢のパーティーだと飲めてしまうのも良いところ。ぜひ皆さんもワインを堅苦しく考えず、気軽にワイワイと飲んでみましょう!
メモリアル・タイユヴァンと
フレシネ・メモリアルグラス
ミレニアム・メモリアル・ワイン
の新年は、どんなワインを紹介しようかと迷いましたが、やはり2000年1月と言うことで、ミレニアム・メモリアル・ワインの紹介をすることにしました。
新千年紀を迎えるに当たり、各ワインメーカーが様々な"2000年メモリアルワイン"を発売しました。年末に、酒屋の店頭で見られた方も多いと思います。そんな中、恐らく歴史上最も贅沢で高価なメモリアルワインが作られました。モエ・エ・シャンドン社のメモリアル・ワイン「ESPRIT DU SIECLE」です。
モエ・エ・シャンドン社と言えば、ドン・ペリニヨンでも知られる通り、最高峰のシャンパンメーカー。そのモエ・エ・シャンドン社が、今世紀を代表する11のリザーブワインをアサンブラージュしてメモリアル・シャンパンを作り上げました。1900年代の各10年間の中から、最も素晴らしいヴィンテージのみを選出しました。1900年、1914年、1921年、1934年、1943年、1952年、1962年、1976年、1983年、1985年(1980年代のみ2つのヴィンテージ)、1995年のヴィンテージ。全世界でたった323本の、マグナムボトル(1500ml)のみの生産。世界へ配られるのは、そのうち100本だけ。日本に届くのは、さらに僅かに8本(いったい誰が飲むのでしょうね…)。もちろん、値段など付けられません。残りは、今世紀の様々なイベントのため熟成の途につくそうです。まさに、世紀の夢のシャンパンです。
で、当然そんなワインを僕らが買えるはずも、飲めるはずもない(恐らく見ることさえできない)。で、僕は新しい千年紀を祝うワインを何にしようかと考え、結局シャンパンを買いました。フランスは、シャンパーニュ地方ランス地区のシャンパン"タイユヴァン"。その他にも、いくつかメモリアルワインを買いましたが、メインはやはりこのシャンパンで祝いたい。また、ラッキーにも懸賞で、スペインのフレシネ社のメモリアルのスパークリングワインと、メモリアルグラスが当たりました。この記念グラスで、祝いのシャンパンを飲もうと思う。
参考データ:ぶどう品種/ピノ・ノワール種、ピノ・ムニエ種 参考価格/4,000円
映画"この一本!"3 「スヌーピーとチャーリー」
さてこのコーナーでは、隠れた名作映画を毎月一本づつ紹介していきます。賞を取ったのに興行成績が惨敗だった映画とか、一般には知られていないがカルト的に人気のある映画とか、海外では大ヒットしたのに日本でこけてしまった映画とか-いま一つ日の目を見ない不運な映画を取り上げていきます。
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さて2000年が始まったばかりなのに、僕にはとても悲しいニュースがある。ピーナツシリーズを描き続けてきたチャールズ・M・シュルツが引退を表明したのだ。"ピーナッツ"と言ってピンとこない人も、スヌーピーと言えばご存知でしょう。1950年10月2日に新聞の連載をはじめて以来、ちょうど50年。1999年中にすべての原稿を描き終え、2000年1月4日の新聞掲載が最終回。僕がこのピーナッツシリーズを初めて読んだのが、小学校2年の時。今から27年も前。その頃でさえ、連載から23年も経っていたのである。以来、鶴書房時代の第1巻からニュー角川版の21巻までの百冊以上を読み続け、未だにその百冊以上のピーナツコミックスを時おり読み返している。僕はピーナツに関してはややカルト的なファンで、知識だけでなくグッズも揃えている。ワークシャツ、灰皿、コップ、エプロン、ゴルフボールを初め色々と…。朝食のシリアルも、ケロッグではなく絶対ブラウン・シュガーと決めている。また、僕がイラストを書くとき、自然とピーナツをお手本にしてしまう。
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そんな訳で、2000年最初に取り上げる映画は"スヌーピーとチャーリー"("スヌーピーの大冒険"も良いのだが、より素朴な味わいのある"スヌーピーとチャーリー"を取り上げたい)。「えっ、スヌーピーの映画なんてあったの?」と首を傾げる方も多いと思う。そのぐらい日本ではマイナーな映画で、ディズニーとは対照的な存在である。この映画の凄いところは、実はその地味さにある。ディズニーアニメの様な高度な技術を使っているわけでも、派手な見せ場があるわけでも、ジャパニメーションの様な物凄い動きがあるわけでもなく、淡々とストーリーが進行していく。日本では、企画段階で消えてしまうような内容だ。子供向けというより、本来は大人向けの要素の強い世界なので、スヌーピーのかわいらしさで子供にターゲットを絞った日本の戦略は裏目にでたと思う。しかしこうしたピーナッツの住人たちは欧米ではとても愛されていて、ビジネスマンの会話にも時おり登場し、なんと登場人物の名前が宇宙船の名前になってしまうことさえあった。
ピーナッツには子供しか登場しないが、その世界は大人の世界の縮図として描かれている。登場人物は、超わがままだったり、何気ない会話の中で哲学を語ってみたりと、一筋縄ではいかない連中なのだ。犬のスヌーピーでさえ(見た目のかわいさと裏腹に)、たいへんな皮肉屋なのだ。ピーナッツの世界はみんなが主人公だが、中でも主人公格と言えるのは"チャーリー・ブラウン"。彼は、作者チャールズ・シュルツの分身である。チャーリー(ペパーミント・パティ達が時折チャールズと呼ぶ)という名前はもとより、何をやっても失敗、赤毛の女の子に気づいてももらえない、というのは作者の人生経験の投影であることが知られている。
この映画でも、チャーリー・ブラウンの駄目ぶりが、冒頭から徹底的に描かれる。凧上げでは失敗し、野球では負けてしまう。いつもの通り、落ち込むチャーリー。そんな彼が、一念発起してクラスのスペリング・コンテストに出る。みんなに「俺はできるぞ!」と思わせたいのだ。誰でも人生の中で、そんな経験があるはず。好きな女の子に、少しでもかっこいいところを見せたいとか…。チャーリーも、がんばるのだ。そしてクラスで優勝!すると、なんと全校のコンテストに出場することに。みんなはチャーリーが失敗すると思っているが、スヌーピーやライナスの応援もあって懸命に勉強し優勝してしまう!喜んでいるチャーリーだったが、今度は学校の代表として全国大会出場する羽目に!ルーシーやバイオレットたちが、必要以上にプレッシャーをかける。もう、かっこいいところは充分見せたはずなのに、とんだことになってしまったぞ…と思うチャーリー。大勢に見送られて、本意ではないのに全国大会へ出発するチャーリー。
彼は、コンテスト会場のホテルでもフラフラになって勉強を続ける。しかし、ここでライナスから預かった大切な毛布を無くしてしまう(チャーリーが成功や名声と引き換えに、友達との絆を軽んじてしまったことが何気なく描かれている)。チャーリーは、決勝まで行くが大事なところで失敗して負けてしまう。テレビの前で泣きわめくルーシーたち。負けたチャーリーに対して、町ではみんなの出迎えすらない。そして家で落ち込むチャーリーを、ライナスが励ます。ライナスに励まされようやく外へ出たチャーリーに、ルーシーがいたずらを仕掛けチャーリーは転んでしまう。そしてルーシーは言う。「お帰りなさい。チャーリー・ブラウン」。たったこの一言が、さりげない感動を与える。説教くささは微塵もなく、「大切なもの」の意味ををさりげなくそっと差し出してくれるのだ。
こういう物語だが、音楽も効果的に使われている。シュローダーがベートーベンのピアノ・ソナタ「悲愴」のアダージョ・カンタビーレ(だと思うのだけど…)を弾くのだが、その時のイメージ映像がシュールでとても素晴らしく感動すら覚える。ストーリーとは何の関係もないし、見ている子供にはまったく意味不明だろうが、素敵なのだ。この映画には、いくつかそういうシーンがある。アニメと言うより、アートに近いのだと思う。スタッフの感性を取り入れてしまうところに、アメリカ映画の懐の深さが感じられる。
音楽全般を担当したのが、テレビ版と同じく"ヴィンス・ガラルディ"である。彼の作った曲はアメリカでは有名で、"ライナス&ルーシー"は多くの人が愛するスタンダード・ナンバーとなっている。しかし、ヴィンスは、1976年に47歳で亡くなってしまった。彼はピーナッツのテレビシリーズ・15本と、この1本の映画の音楽を担当しただけだった。後のテレビアニメの中でルーシーがチャーリー・ブラウンに、歴史上一番好きな曲は何かと尋ねる。するとチャーリーは、「それはヴィンス・ガラルディさ。」と答え、"ライナス&ルーシー"をハミングし始める。これはプロデューサーの粋な演出なのだが、当のプロデューサーはこの場面で泣いてしまったという…。
話題はちょっと映画からそれてしまったが、読者に愛され、視聴者からも愛され、制作スタッフからも愛され、世界中の人々から愛された"ピーナツ"シリーズ。チャールズ・M・シュルツ殿、半世紀の間ご苦労様でした。そしてありがとうございました。
ビークル&アウトドアー
"逞しき雑草魂"
雨樋草(あまどいそう)
この新千年紀の"ビークル&アウトドアー"の最初の記事に、何がふさわしいか考えていたのだが、やはり生命の素晴らしさ、力強さを取り上げてみたいと思う。何故そんな気になったかというと、上の写真がその原因である。これは、花壇でも植木鉢でも何でもない。ただの雨樋(あまどい)である。昨年、一階の屋根の雨樋に種が飛んできたらしい。そこを苗床として、夏ごろに芽が出て葉もでてきた。そしてスクスクと成長していくではないか!僕はそれに気づいたが、珍しいので放っておいた。すると、秋が過ぎ冬になった今、上の写真のような見事な白い花を咲かせたのである。何という草か僕は知らないが、「雨樋草」と名付けてみました。不況が長引いていますが、この雑草魂に負けない様にこの新世紀をがんばって行こう思う。
今月の200文字コラム
「日本の改革」
さてこのコーナーは、社会で起こっている様々な問題をたった200文字以内で論評しようという無謀なコーナー。
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新千年紀を迎えた。しかし、日本は過去のゴミを背負ったまま。「改革」という言葉を何度も連呼するけれども、実際は腐った物に蓋をしてペンキを上から塗っただけ。中身はどんどん腐りつづけ、前より酷くなっているのが現状。政治も行政も企業も、自分の既得権益は失わない様にガードし、目を背けたい負の部分は先送り。改革とは、本来痛みを分かち合わなくてはならない辛いもの。それができなければ、日本の未来はない。 …(今月は199文字コラムでした)
引用・参考文献:
ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート教本
(日本ソムリエ協会)
基礎ワイン教本WSET編 (柴 田 書 店)
田辺由美のワインブック (飛 鳥 出 版)
ワインの科学 清水 健一 著 (講 談 社)
ヒュー・ジョンソンの楽しいワイン (文 春 文 庫)
ワインベストセレクション260 浅田 勝美 監修 (日 本 文 芸 社)
世界ワイン大全 (日経BPムック)
ワインの世界史 (中 公 新 書)
ワイン・カタログナヴィ・インターナショナル編 (西 東 社)
ソムリエを楽しむ田崎真也 (講 談 社)
ワインものがたり 鎌田 健一 著 (大 泉 書 店)
今日からちょっとワイン通 山田 健 著 (草 思 社)
私のワイン畑 玉村 豊男 著 (扶 桑 社)
夢ワイン 江川 卓 著 (講 談 社)
永井美奈子のベランダでワイン (主婦と生活社)
ワイン この一本 戸部民夫・清水靖子編著 (毎 日 新 聞 社)
ワイン用葡萄ガイド ジャンシス・ロビンソン (WANDS)
ワインの教室 (イカロス 出 版)
ソムリエ51号 (日本ソムリエ協会)
聖書の言葉
「新しい歌を主に向かって歌え。全地よ、主に向かって歌え。主に向かって歌い、御名をたたえよ。日から日へ、御救いの良い知らせを告げよ。国々に主の栄光を語り伝えよ。諸国の民にその驚くべき御業を」。(詩篇 96章1~3節)