Vol.26 1999年12月号
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4.ワインを飲むのに適した温度
さて、年末ともなると、飲む機会が増えるというもの。忘年会では、ビールや、水割り、日本酒が主流でしょうが、食事会となれば、ワインが登場することもあるでしょう。さてそこで今回は、ワインを飲むのに適した温度のお話しです。どんな食べ物、飲み物にもおいしい温度があるように、ワインにもおいしいと感じる温度があります(味噌汁を10℃で飲んでもおいしくないように、ワインを40℃でのんでもあんまりおいしくありません)。
ボトル内に落ちないワイン用温度計
「赤ワインは室温で、白は冷やして」ってよく聞くと思いますが、この室温が曲者。一口に室温って言っても、日本では夏なら30度近くなってしまうし、冬なら10度くらいのこともありますよね。この室温は、フランスなどの欧州の室温が基準に考えられているので、日本の室温を考えると混乱してしまいます。欧州は、地中海近辺をのぞいてけっこう北の国なんです。フランスもドイツもイギリスも、北海道よりずっと北だったりします。これらの地方では、夏でも温度が低くてその辺りの室温が基準のようです。だいたい、20℃以下。それが赤ワインを飲むのに適した温度。しかし、同じ赤ワインでも、適する温度の範囲が変わってきます。ボルドーの赤なら16℃から18℃。ブルゴーニュやコート・デュ・ローヌの赤なら14℃から16℃といったところ。ボージョレのようなフレッシュな軽い赤ワインなら、10℃から13℃ぐらいが良いとされます(ジュースを飲む感覚に近いですね)。
白は、上質のコクのある白は10℃から13℃(やや高め)、辛口の白ワイン(ロゼ)は7℃から10℃くらい。フレッシュな甘口白は2℃から6℃ぐらいにグッと冷やして。シャンパンも4℃から8℃ぐらいに、よく冷やして。でも、あんまり目くじらをたててぴったりな温度にしようとすると疲れるからほどほどに。あくまで目安ですから。それと、家でお客さんにワインを出す時は、温度計は必ずボトルをお客さんに出す前に抜いてね。興ざめしちゃうから。
ちなみに。ワインの供出温度を、図に分かり易くまとめたのが下記の図です。参考にしてくださいませ。
ワインの供出温度(JOLLYBOY'Sワインノートより抜粋)
ラクリマ・クリスティ・デル・ヴェズーヴィオ
さて今回は、クリスマスにちなんで「ヴェズーヴィオ火山の村のキリストの涙」というワインをご紹介します。このワインには、赤と白があります。イタリアは、カンパーニャ州のワインでござい。
このワインの名前の由来は、色々あります。「ナポリではありとあらゆる悪徳が横行していて、ヴェズヴィオ火山の中腹にたったキリストが悲しみの涙を流し、そこから葡萄の木が生えワインが作られた」という伝説。「ヴェズーヴィオ火山の噴火で消滅したポンペイを思ってキリストが涙し、涙が落ちた場所から葡萄の木が生えてそこからワインを作った」という伝説。「ヴェズーヴィオ山でワイン作りをし、旅人の疲れをワインで癒す聖人が住んでいた。悪魔が彼をだまそうとしたが、雨が降ってきて悪魔の化けの皮が剥がれて悪魔は逃げ出し、雨で薄まったワインが飲みやすくなった。」という伝説。「行き倒れの聖人が農民に介抱され、ワインをふるまわれてキリストの涙のような美しい涙を流した」という伝説。と、次々と歴史の中で逸話が考え出されたわけです。まあ、面白半分で聞いておけばいいお話しでしょう。ラベルには、ヴェズーヴィオ山をモチーフにしたもの、ポンペイ遺跡から発掘された壁画を用いたものなどがある。私は、買い置きしてあるやつを、話しのネタにクリスマスに飲んでみようかなどと考えている。
このワインは、赤は、調和のとれたしっかりとした辛口で、3~6年の熟成に耐える。熟成するとガーネット色を帯びてくる。白は、わずかに酸味を含んだフルーティーな香りのワイン。
参考データ:ぶどう品種/(赤)アリアーニコ種、ピェーディ・ロッソ種等
(白)コーダ・ディ・ヴォルベ種等 参考価格/2,000円ぐらいから。
ラクリマ・クリスティ・デル・ヴェズーヴィオロッソ750mlカンパーニア
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映画"この一本!"2
「ナザレのイエス」
さてこのコーナーでは、隠れた名作映画を毎月一本づつ紹介していきます。賞を取ったのに興行成績が惨敗だった映画とか、一般には知られていないがカルト的に人気のある映画とか、海外では大ヒットしたのに日本でこけてしまった映画とか-いま一つ日の目を見ない不運な映画を取り上げていきます。
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クリスマスにちなんで、今回は隠れた名作「ナザレのイエス」(1976年作品)を取り上げてみます。なぜ、わざわざ「隠れた」などという前置詞を付けたかと言うと、日本人のほとんどはこの作品をまったく知らないからです。短館ものの悲しいところです。
Imaged by JOLLYBOY
では、マイナーな作品なのかと言うととんでもない!「ロミオとジュリエット」や「ブラザー・サン・シスター・ムーン」の巨匠、あのフランコ・ゼッフィレッリ監督の作品なのです。辺境の地での撮影にも関わらず、世界のトップ俳優達が出演を二つ返事で返したのです。その顔ぶれ、驚くなかれ!名優ローレンス・オリビエ(ハムレット、レベッカ)、ロッド・スタイガー(史上最大の作戦、夜の大捜査線)、オリビア・ハッシー(ロミオとジュリエット)、アンソニー・クイン(道、アラビアのロレンス)、アン・バンクロフト(卒業、愛と喝采の日々)、アーネスト・ボーグナイン(ワイルド・バンチ、ポセイドン・アドベンチャー)、フェルナンド・レイ(フレンチ・コネクション)、ジェームズ・アール・ジョーンズ(博士の異常な愛情)、ピーター・ユスチノフ(スパルタカス)、ドナルド・プレザンス(大脱走)、イアン・ホルム(ロビンとマリアン、エイリアン)、マイケル・ヨーク(ロミオとジュリエット、三銃士)、イエス役のロバート・パウエル(トミー)を初め、ものすごいメンバー達が続々結集した。一本の映画にこれだけの名優が揃うのは、今世紀中にはもうないだろう。ハリウッド大作でもおそらく不可能で、これはゼッフィレッリという絶大なる信頼を得ている名匠だからこそ可能だった作品である。
過去欧米において、キリスト伝を取り扱った映画は、凡作名作含めて無数に作られてきた。フランスの名匠ジュリアン・ディヴィヴィエ監督の「ゴルゴダの丘」、イタリアの奇才パゾリーニ監督の「奇跡の丘」、ジョージ・スティーブンス監督の「偉大なる生涯の物語」などは名作と言われるが、この「ナザレのイエス」はそれらと一線を画し、一際光り輝いている。聖書の記述や時代考証は元より、そこに描かれた人間性のリアリズムと、映像の美しさは、ゼッフィレッリならではのもの。そこに前出の名優陣による類稀なる演技。音楽は「アラビアのロレンス」のモーリス・ジャール。素晴らしくないわけがないのだ。ぜひ、一度見てもらいたい映画。
しかしながら、ここは日本。キリスト教映画が、全国拡大ロードショーされることはなかっのだ。そして未だに、ビデオ発売もされる予定すらないのが現状。悲しい。そこで、僕は知人にアメリカからビデオの「ナザレのイエス」を取り寄せてもらい、私訳をしてパソコンで字幕を入れたビデオを作ったのである(けっこうたいへんだった)。
ビークル&アウトドアー1
"スーパー・カプチーノ"
エバ・カプチーノ
先月、AJCA(全国的なカプチーノのファン組織)のI原さんより、エバ・カプチーノの写真とビデオを送っていただいた。このカプチーノ、実は数年前とある雑誌で見て以来、大ファンだったのだ。僕のカプチーノは、このエバ・カプチーノを目指していると言っても過言ではない。ルノー・サンクターボを彷彿とさせる後姿(左右に突き出たフェンダー)、カレラタイプのリアウィング、スーバーチューンされたエンジン等etc.どこをとってもかっこいい。当然、軽の枠には収まらず、白ナンバーである。しかも、今回のこのエバ・カプはボールテックで足回りを固めてある。う~ん、グレート!
今月の200文字コラム
「日本の金融問題」
さてこのコーナーは、社会で起こっている様々な問題をたった200文字以内で論評しようという無謀なコーナー。
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銀行は、本来家を建てる人や真面目な事業者らに金を貸す所。私が銀行員になった時、時代はバブル全盛期-既に美風はなく、まずノルマ在りきだった。私は銀行を辞めた。そして今や、銀行は金を貸すどころか弱者からの回収に遁走し、手を汚すことなく楽に稼げる商工ローン等の業界へ融資を率先する。使命に仕えず金のみ仕える、おぞましい姿がその本質。そしてそこへ群がる政治家と闇の社会が、その姿をより一層おぞましくしている。 …(今月は200文字ちょうどコラムでした)
引用・参考文献:
ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート教本
(日本ソムリエ協会)
基礎ワイン教本WSET編 (柴 田 書 店)
田辺由美のワインブック (飛 鳥 出 版)
ワインの科学 清水 健一 著 (講 談 社)
ヒュー・ジョンソンの楽しいワイン (文 春 文 庫)
ワインベストセレクション260 浅田 勝美 監修 (日 本 文 芸 社)
世界ワイン大全 (日経BPムック)
ワインの世界史 (中 公 新 書)
ワイン・カタログナヴィ・インターナショナル編 (西 東 社)
ソムリエを楽しむ田崎真也 (講 談 社)
ワインものがたり 鎌田 健一 著 (大 泉 書 店)
今日からちょっとワイン通 山田 健 著 (草 思 社)
私のワイン畑 玉村 豊男 著 (扶 桑 社)
夢ワイン 江川 卓 著 (講 談 社)
永井美奈子のベランダでワイン (主婦と生活社)
ワイン この一本 戸部民夫・清水靖子編著 (毎 日 新 聞 社)
ワイン用葡萄ガイド ジャンシス・ロビンソン (WANDS)
ワインの教室 (イカロス 出 版)
聖書の言葉
「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵と真理とに満ちていた」。(ヨハネによる福音書 1章14節)