Vol.24 1999年10月号
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2.ワインって何?
今月も"JOLLYBOY'S ワイン・ハウス"へようこそ。さて、ワインって何でしょう。そう、お酒です。それもブドウから作ったぶどう酒です。実は、果物や穀物などの中で、最もお酒になりやすいのが、ぶどうなんです。ふつう麦でも、米でも、自然にお酒にはなりません。ビールやウィスキーや日本酒は、人間が手間をかけてお酒にするのです。しかし、ぶどうは違うのです。果皮に酵母が付いていて、放っておいてもお酒になりやすいのです(もちろん現代のワインは、品質の向上と安定を目指し、かなりの手間がかかっています)。そして、ぶどう酒は水を加えたりしませんから、まさしく飲む生鮮果実とでも言えましょう。
古代の人が、ぶどうを土器などに保存しておいて、後日食べようとしてフタを空けたら発酵していて、飲んでみたら不思議な飲み物になっていた-おそらくそれがぶどう酒の起源だろう、と言われています。そんな分けですから、お酒の中で最も歴史が古く、エジプトの遺跡の壁画や、ギルガメッシュ叙事詩などにも早々と登場しているのです。旧約聖書の創世記にも出ていて、箱舟を作ったノアがブドウ畑を耕しぶどう酒を作り飲んでいた記述があります。
とまあ、固い話はここまで。今月から、有名なワインのお話を一つずつご紹介していきましょう。今週は、フランスはボルドーのワイン、"シャトー・クレール・ミロン"の物語!
シャトー・クレール・ミロン
フランスのボルドー、オー・メドック地区ポイヤック村の第5級格付けシャトーのワイン。
さて、このワインのラベルには、「一組のダンスをする若い男女」が描かれています。これは、結婚式を挙げたばかりの二人だと言われています。
ロートシルト(*英語読みでロスチャイルドのこと。世界の大富豪一族)家のナサニエル家が所有していたこのシャトーは、曾孫のフィリップが20歳で後を継いだ。しかし、第二次大戦が勃発すると、ユダヤ人であり富豪であるロートシルト家は、ひどい迫害を受けたのである。シャトーはナチスが占領、愛妻のリリーはゲシュタポに捕らえられ、娘のフィリピーノはかろうじて脱出し、フィリップもあやういところを逃れた。終戦後、フィリップは愛娘フィリピーノと再会したが、愛する妻とは二度と会えなかった。悲惨な最後を遂げていたのである。
このワインのラベルは、フィリップの最初の愛する妻との思い出を描いたものとも言われます。このワインは、"デリケートな香り"と"落ちついた味わい"と"甘くそして悲しい物語"を持ったワインです。そんな分けで、僕はこのワインを結婚のお祝いとして贈ることがあります。いつまでも、新婚の時の思いを忘れないようにとの思いをこめて。
参考データ:ぶどう品種/カベルネ・ソーヴィニョン 70% メルロー 20% カベルネ・フラン 10%
参考価格/1994年もので7,500円だった。
【自社直輸入品】[2010] シャトー・クレール・ミロン/ ポイヤック フランス ボルドー / 750ml / 赤【楽ギフ_包装】
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感想(1件)
JOLLYBOYの本当にあった話・第十二話(最終回)
「火の玉」
さてさて、もう秋だというのに、真夏の怪談をさせていただこう。しかも、僕が実際に体験した話である。
幼稚園の頃の話である。とある夏の夜のこと。僕は、家族と一緒に家の前の道路で、花火をしていた。道路といっても、滅多に車の通らない、舗装もされていない砂利道である。そして、家のすぐ裏には、昼間よく木登りをしたりして遊んでいるお寺があった。そんな田舎っぽい地域である。花火が終わって、僕は両親に花火の片付けを命じられた。終わった花火を、一本ずつ水の入ったバケツの中に入れて行くのである。父と母は、すぐに家の中へ入ってしまった。
バケツに花火を突っ込みながら、ふと顔を上げると、3メートルぐらい向こうに"火の玉"が浮いている。歩いていって、手を伸ばせば捕まえられそうな近さである。浮いているというより、きれいな円形を描きながら、くるくると回転している。何回も、何回も。砂利道の上を、くるくると。僕は、黙ってそれをポカンとして見ている。全然怖くない。何故なら、僕はまだ幼稚園児で、怪談なんて聞いたこともなかったし、ましてや"人魂(ひとだま)"なんて知る由もない。そう、火の玉に、まったく先入観がなかったのだ。その火の玉があまりにきれいで面白いので、僕は家に駆け込み、ワクワクしながら両親に報告した。「ねえ、火の玉がくるくる回ってるよ。」すると、両親は次のようなことを言った。「遠くの塔の回転している灯りが、地面に映ってるんでしょ。」とか何とか…。まあ、大人である両親が、火の玉など信ずるわけがなく、表には出て来なかった。そこで、もう一度僕は表に出て、火の玉を見に行ったが、すでに砂利道の上から消えていた。
火の玉はこんな風にきれいに回っていた
あのシーンだけは、30年経った今でも忘れられない。僕は、基本的に、マスコミで流される超常現象の9割以上は視聴率稼ぎの作り物・デマだと確信している。しかし、残りの1割に、実際の体験が含まれているかもとも思っている。そして体験したことが真実なのに、信じてもらえない人もいるだろう。僕も、両親には信じてもらえなかったので、気持ちが少し分かる。今、物理学的に、化学的に、精神医学的に、様々な超常現象が解明されつつある。僕の見た火の玉が、単なる燐の燃焼なのか、別の科学的裏付けがあるのか分からないが、あの夏、確かに僕は火の玉を見たのである。
役に立たない雑学シリーズ・12(最終回)
「光の不思議について考える」
光と言うのは、空気よりも身近すぎて実感がない。しかし、考えてみるとすごい。光がこの世になかったら、朝起きると、どこもかしこも、真っ暗なのだ。これだけ何処にでもある光なのに、光を手にとって見た者は、未だかつて一人もいない。光の不思議について考えると、ああ、頭が痛い…。というわけで、頭痛を和らげるために、挿絵を多用してみました。
さて、光の速度はとても速い。1秒に30万キロメートルも進んでしまう。一秒間に、地球を7週半もしてしまう速さなのだ。この光には不思議な法則があるという。例えば、とある乗客が、時速70キロで走っている電車の中を進行方向に時速5キロで歩いたら、それをホームで見た人は、乗客が時速75キロで移動しているように見える。これが普通である。というわけで、同様に走っている電車から進行方向にライトを照らしたら、ホームにいた人には光の速度は「時速30万キロ+電車の速度」に見えるはずなのだが、そうはならない。光の速度は、時速30万キロのままだという。では、電車に乗っている人からは、光の速度は「時速30万キロ-電車の速度」に見えるかと言うと、やはりそうではなく時速30万キロに見えると言う。う~ん、不思議だ。光の速度が絶対変わらなくて、他のものは相対的だという。皆さんご存知の、アインシュタインの「特殊相対性理論」です。
もし私達が光の速度に近いの宇宙船に乗っていたとして、それを宇宙船の外にいる人から見ると、宇宙船の中の時間はゆっくり進んでいるように見えると言う。これも「特殊相対性理論」から導き出される。運動する物体の時間は、その進み方が遅くなり、従って光の速度に近づくほど時間がゆっくり進むように見えるのである。例えば、高速の90%で飛ぶ宇宙船の中では(計算式は省きますが)、そのロケットの外側の世界で1秒進む間に、0.44秒しか進んでいない計算になります。だから、生まれたばかりの双子を地球とその宇宙船とで別々に育てたら、地球の子が10歳になった時、宇宙船内の子はまだ4歳半というわけ。そういったわけで、日本海溝の底と、エベレストの山頂では、それぞれスピードが違う(なぜなら円周の距離が違うので、同じ一日でも山頂の方が海底より長い距離移動する)から、それぞれに時計を置いておけば、時計の針の進み方は微妙に違ってくるはずである。
ではマンガや映画の様に、光速の宇宙船は造れるのだろうか。相対性理論に拠れば(やはり計算式を省くが)、静止していた物体の速度が光速の90%になると、物体の質量は2倍になる。光速の99.5%だと10倍、光速の99.995%だと100倍になってしまう。体重60kgの人なら、6トンになってしまうのだ。もちろん、そうなったらその人はペシャンコ!そして、光速に達すると、その質量は無限大になる。無限大の質量に絶えられる宇宙船や人間など存在しない。つまり、光速の宇宙旅行は不可能ということになる。と言うことは、逆に光の質量は0だということだ。光に、実体はないのだろうか?どんなに小さくても、何らかの粒子なら、質量があると思うのだが…。やはり、僕の頭では理解不能。ほら、頭から煙が出ているじゃないか!「光よ、あれ」と言われて、一番最初に光を創造した神は、それ以上に我々の理解を超えているのだ。ほら、頭の煙が黒煙になってしまったじゃないか!
ビークル&アウトドアー
"ディノ246GTの思い出"
真っ赤なディーノ
スーパーカーブーム真っ最中の小学生の時の、ディノの思い出。当時一番好きなスーパーカーが、ディノ・246GTだった。246GTのプロトタイプ206GTは、180ps/8000rpm出力の総排気量わずか1987cc・V型6気筒エンジンのミッドシップモデル。最高速も、235km/hとこのクラスでは抜群だった。その後、2418ccに増大した246GTが登場し、出力は195ps/7600rpmとなった。ディノは、エンツィオ・フェラーリの息子であったが、白血病により25歳の若さで世を去る。エンツィオは、その名をこのディノシリーズにとどめようとしたのではないだろうか。バリバリのフェラーリのマシンであるにも関わらず、あの"跳ね馬"のエンブレムも付いていなければ、モデルの正式名称にも"フェラーリ"という文字が付いていないのは、エンツィオにとって特別な車だったからに違いない。
さて、この車を僕は身近に写真に撮れる機会があった。小学生の頃、近所のクリーニング屋さんで、真っ赤なボディーの"ディノ246GT"を見た。クリーニング屋の社長の車だろうか。後日カメラを持って、僕は再びそこを訪れた。持ち主を知らないので、「店の人に写してもいいですか?」と尋ねると、「いいよ」の返事。という分けで、ディノの写真を撮らせていただいた。その後、いつからかディノをその店で見なくなった。やっぱり、名車の維持はたいへんなんだろうなぁ…。実は、僕が初めて高校生の時バイトしたのは、そのクリーニング屋さんだった。しかし、小さい頃あの名車を撮りに来たカメラ小僧であった事は恥ずかしくて、誰にも言えずじまいだった。社長さんは、今国産のセダンに乗っている。
真っ赤なカプチーノ
僕が、赤のカプチーノ(今は黒だが…)を買ったのは、このディノの影響が大きい。どことなく愛嬌のあるディノのプロポーションは、カプチーノと相通ずるものがあると感じるのだ。
引用・参考文献:
ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート教本
(日本ソムリエ協会)
基礎ワイン教本WSET編 (柴 田 書 店)
田辺由美のワインブック (飛 鳥 出 版)
ワインの科学 清水 健一 著 (講 談 社)
ヒュー・ジョンソンの楽しいワイン (文 春 文 庫)
ワインベストセレクション260 浅田 勝美 監修 (日 本 文 芸 社)
世界ワイン大全 (日経BPムック)
ワインの世界史 (中 公 新 書)
ワイン・カタログナヴィ・インターナショナル編 (西 東 社)
ソムリエを楽しむ田崎真也 (講 談 社)
ワインものがたり 鎌田 健一 著 (大 泉 書 店)
今日からちょっとワイン通 山田 健 著 (草 思 社)
私のワイン畑 玉村 豊男 著 (扶 桑 社)
夢ワイン 江川 卓 著 (講 談 社)
永井美奈子のベランダでワイン (主婦と生活社)
ワイン この一本 戸部民夫・清水靖子編著 (毎 日 新 聞 社)
ワイン用葡萄ガイド ジャンシス・ロビンソン (WANDS)
ワインの教室 (イカロス 出 版)
現代天文学入門/小平 桂一 著 (中 公 新 書)
宇宙の質問箱/西城 恵一・洞口 俊博 著 (誠文堂新光堂)
超高速粒子タキオン/本間 三郎 著 (ブルーバックス)
聖書の言葉
「百人隊長や一緒にイエスの見張りをしていた人たちは、地震やいろいろの出来事を見て、非常に恐れ、『本当に、この人は神の子だった。』と言った。」(マタイによる福音書 27章54節)