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「アイアムアヒーロー」
                      (2018年6月27日記載)

アイアムアヒーロー Blu-ray通常版 [ 大泉洋 ]

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感想(3件)


 今年(2018年)のゴールデンウィークね、酷い風邪をひいちゃったんです。喉が痛くて、もう声も出ない。仕方ないのでGW後半の3日間は、登山も行かず、予定のサイクリングも行かず、ずっとベッドでおとなしく寝ていました。
 3日間寝るだけで、何もやることないので(できないので)、PCでずっとオンデマンド配信のドラマ&映画視聴。アメリカのドラマとか、映画とか山ほど見ました。その中で日本の漫画原作の3つのSF映画を観たんですよ、SF好きなもんで。
 1本が「進撃の巨人」、1本が「テラフォーマーズ」、1本が「アイアムアヒーロー」…この3本。この中で漫画原作を読んでいないのは、テラフォーマーズのみ。

 最初に「進撃の巨人」を見たんだけど、まあひどい。最近の邦画は、以前よりも"ハズレ"が減ってきたと思うんだけど、まあこれは明らかに完全なるハズレ!映画館で見たかった作品だったんだけど、映画館に行かなくて良かった。オンデマンド上の評価も僕と同じようで、★5点満点中、ギリギリ★2点台。これ以下の★1点台のような作品はそもそもオンデマンド配信に載らないし、★1点台で載っているのは半世紀以上も前のアメリカのモノクロドラマぐらい。そのくらい僕の評価も世間の方々の評価も一致している稀有なひどさ。僕が近年見た日本のSF映画では、キャシャーンに匹敵するひどさ。
 百歩譲って、登場キャラクターやストーリーが原作と違うことを容認しても、この脚本と演出の稚拙さは何なんだろう。ただ辻褄があうように話を並べただけで、間延びした物語進行と何一つリアル感も共鳴感もない薄っぺらな台詞のオンパレード。漫才で言う所の「間」、小説で言う所の「余白」みたいのもなく、何なのこの脚本?演じる役者も、これじゃたまったもんじゃないよね。出演している役者が全員"下手くそ"にしか見えないけど、ほぼ脚本や演出のせいなんだから、いいとばっちりだと思う。
 これならストーリーなんか要らないから、ロールプレイングゲームのオープニングムービーのように、進撃の巨人のCGや特撮部分だけつないで15分ぐらいの短編で見せてもらった方がいいと思う、マジに。
 ちなみに後で2作目も見たんだけど、1作目と同様にひどい。「きっと1作目で敢えて溜めておいて、2作目でブレークするのか?」等と淡い期待を抱いて見たのだが、やはりひどい出来だった。キャシャーンのCGや特殊効果同様、表に出ないスタッフは偉くがんばったろうに…悲しいほど残念!(涙)。普段、映画の感想でここまでひどいこと書かないんだけど(極力、映画の良い面を見ようとしているんだけど)、本当にひどいから仕方ないよね。見た人は、この感想を理解してくれると思う。

 さて、気持ちを切り替えて次に見た作品が「テラフォーマーズ」。これも、"そこそこ"ひどい!ただし、「進撃の巨人」を見た後だったのでそれなりに見れてしまって、★3点台と勘違いしそうになったが、やはり★2点台の映画。
 空想物語とは言え、SFにはSFなりの約束事や決まり事、つまり制約があって、そこすごく大事なところで、それは破ってはいけない。優れたSF映画は、決してその一線を超えない。だがこの映画は一線を超え、荒唐無稽物語化。この映画にはリアリティが決定的に欠如しているので、登場人物への感情移入が不可能。進撃の巨人よりは見られたが、残念な一本。

 その次に見たのが「アイアムアヒーロー」。実は、この作品が最も期待していなかった映画で、3本の中で一番後回しの視聴になってしまった。だが、なんとこれは"アタリ"だった。3本とも"ハズレ"だったら、もう風邪に輪をかけて辛い状態になるところだったのだが、これは良かった!
 僕は、所謂「ゾンビもの」が昔からけっこう好きで、ゾンビ映画は究極的には人間の怖さを表現している事が肝心で、ゾンビが登場せずとも成立するぐらいの脚本と演出力と演技力がなければいけないと思っているのだけど、これはそれを分かっている映画。そもそも「日本でゾンビって無理あるだろ!」と言う高いハードルを超えて、その世界をギリ成立させた。登場人物にも、そこそこ共感できる。SF映画の制約(決まり事)も守っている。何よりテンポや「間」が良いので見られる。進撃の巨人のあのひどい「間」とは雲泥の差がある。ストーリー自体はいたってシンプルで予想通りの(予定調和の)展開だが、それで良しと言う映画。敢えて★の数にするなら、★3.5から★4つ着けます。
 
 今回、漫画原作のSF映画を3作見たけど、日本て昔からSF映画作りが下手だよね。特にSF大作と言われる作品は、昔から酷かった。「宇宙からのメッセージ」、リアルタイムで映画館で見たけど、まあひどかった。2001年宇宙の旅とかに感化されていた頃だったので中学生心に、「日本ってこんな低いレベルなんだ~」とがっかりした。スターウオーズでも、CG映像はまだ局所しか使用されていなかったが、コンピューター制御のモーションコントロールカメラ使って多重露光を可能にしているのに、日本のSF映画は未だピアノ線で宇宙船を吊って撮影していた。「さよならジュピター」も、悲しいくらいひどかったなぁ~。「木星のCGに予算注ぎ込みましたんで…」みたいな映画で、ドラマぼろぼろ。同じ小松左京原作SFならば、「日本沈没」の方がずっと良かった。
 大作とは言えないかもしれないけど、「太陽を盗んだ男」とかは良かったなぁ~。あれこれ揚げると切りがないので止めますが、日本のSF映画の今後をあれこれ思う。アメリカは、映画だけじゃなくて、テレビドラマでもSFをオンエアーするんだよね。色んな名作SFドラマがある、。そう言う土壌が、アメリカには普通にある。でも日本では、ゴールデンタイムでも、朝ドラでも、どこを見回しても、SFドラマなんてやってない。アニメではがんばるんだけど、実写の特撮ドラマになると、たいていヒーロー物(戦隊ヒーロー物含む)になっちゃう。以前、「スターウルフ」と言う本格SFドラマがゴールデンタイム枠で放映されたことがあったけど、結局低迷のまま予定を切り上げて打ち切り…(僕は見てたよ!w)。SFドラマは誰も見ないから視聴率低くて、SFをやろうという企画が出ない。そう言う土壌が平素からないと、当然良いSF映画も生まれないよね。

 今回の映画の感想を書くにあたり、監督名や脚本家名や役者名は敢えて書きませんでした。監督や脚本家や役者個人をこき下ろすのが目的ではなく、純粋にそのSF映画が「面白いか」「面白くないか」についてのみ述べたかったので。今後の日本のSF映画の発展を機体しつつ。