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「モーターサイクル・ダイアリーズ」 (記:2009年7月)

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今年初め、2本の"チェ・ゲバラ"の映画が公開された(①28歳の革命/②39歳 別れの手紙)。僕の大好きな、スティーブン・ソダーバーグの作品。彼は民衆のために闘い、キューバ革命を成功に導き、そして1967年10月9日、ボリビアのアンデス山脈のイゲラ村で、アメリカのCIAの工作によりボリビアの兵士に処刑される。
 でも、今回取り上げるのは、ゲバラが革命戦士になる以前の物語…2003年公開の「モーターサイクル・ダイアリーズ」。ロバートレッドフォードがずっと温めてきた企画で、監督はブラジルのウォルター・サレス。若いゲバラ役の俳優はメキシコのガエル・ガルシア・ベルナルで、友人のアルベルト役は彼のはとこでロドリコ・デ・ラ・セルナ(…僕は3人ともこの映画で初めて知りました)。
 チェ・ゲバラの"チェ"とは名前ではなく、「よぉ」とか「やぁ」みたいな親しみを込めた表現。映画の冒頭でも字幕で紹介されているけれど、チェ・ゲバラの本名は"エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ"…ちょっと長い。そんな訳で、映画の中では「エルネスト」と呼ばれる。
 僕は、以前からチェ・ゲバラと言う事が気にかかっていた。彼を色んな場所で目にしたから。例えば、友人に連れられて浦和レッズの応援に行ったら、イコン化されたチェ・ゲバラの大きな横断幕が掲げられていた。また、マドンナ主演の映画"エビータ"(1996年)を観に行ったら、物語の狂言回し役として(アントニオ・バンデラス演ずる)チェ・ゲバラが登場していた。革命家と言う事は知っているけれど、ゲバラってどんな人なのだろう?そのような純粋な疑問から、彼に関する本を探して買った。「フォトドキュメント・ゲバラ」(アラン・アマー著、廣田明子訳/原書房/2004年刊)と言う本である。その本を通じて、彼の生涯、闘争、革命思想、そして彼の若き日から死ぬまでの容貌を知った。

モーターサイクル・ダイアリーズImaged by JOLLYBOY

 さて映画の内容ですが、医学生のエルネストが、親友のアルベルトと一緒にバイクで南米を旅行するお話し。エルネストは医学生で、ラグビーが好きで、水泳や陸上競技も得意。ただ、喘息で度々苦しい発作に襲われる。そんなエルネストが24歳の時、29歳のアルベルトと南米を廻るバイク旅行に出かける決意をする。1951年の事である。
 アルゼンチンをスタートした二人は、チリ、そして南米の諸国を巡っていく。途中、バイクが故障し、徒歩でヒッチハイク等をしながら旅を続ける。途上、ハンセン氏病の療養施設で活動をする医学生のエルネストと生化学者のアルベルト。そこからは、プレゼントされた筏(イカダ)"マンボ・タンゴ号"でアマゾン川を下る。
 途中、様々な人々と出会いながら、次第に自らの心の変化を感じるエルネスト。大地主に農園から追い出される弱い農民、アメリカの大会社の炭坑で過酷な労働を強いられ搾取される貧しき労働者、病の偏見から一般の社会環境から隔離されて苦しむ人々…エルネストもアルベルトも、現実を知ってしまった以上は、昔のようには生きていく事はできない。エルネストはその旅の終わりで、旅の初めとまったく違ってしまった自分を知るのだった。