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「自転車泥棒」   (記:2008年4月)

自転車泥棒 [DVD]

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 このコーナーでは、今一つ興行成績の伸びなかった映画や正しい評価を得られていない映画を取り上げているのだけれど、今回のこの"自転車泥棒"は超名作なので、このコーナーで取り上げるのは筋違いな気がする。とは言っても、もう60年も昔のイタリア映画(1948年!)で、最近の若者はあんまり見ていないだろうな~と言う事で、あえてこの映画を取り上げてみます。
 この映画は、イタリアン・ネオリアリズムの代表的監督、ヴィットリオ・デ・シーカの作品。主演の失業者アントニオを演ずるのは、ランベルト・マジョラーニ。その息子のブルーノを演ずるのは、エンツィオ・スタイオーラ。撮影にセットは用いず、すべて実景。狭い室内にカメラを持ち込み、貧しい人々の生活をリアルに写す。主人公を演ずるランベルトは、演技経験のまったくない電気工。息子役のエンツィオも、監督が街で探し出した素人子役である。"自転車泥棒"は、イタリアン・ネオリアリズム映画の頂点に位置する映画!

自転車泥棒 Imaged by JOLLYBOY

 第二次大戦後、浮浪者や失業者の溢れるローマ。アントニオも、毎日職を探している一人。そして、ようやく映画のポスター貼りの仕事を得た。条件は、自転車を持っていること。彼は、妻に文句を言われながら自宅のなけなしの家財(シーツ)を質に入れて自転車を受け出した。仕事に回っている間に、その大切な自転車を盗まれてしまう。しかし、あまりに貧しい社会で、その類の事件は日常茶飯事で、警察は自転車盗難にとりあってくれない。
 仕方無しに、アントニオは6歳の息子ブルーノを連れて、中古自転車市場へ行き、自分の盗まれた自転車を探す。
 犯人らしき人物を見つけたが、彼もまた貧しい。確たる証拠も無く、結局犯人に逃げられてしまう。大切な自転車を取り返せず、つまり明日の糧をつなぐ仕事も得られず、呆然と街中を小さな息子と歩くアントニオ。
 そして遂に、アントニオは、他人の自転車に手を出してしまう。彼はすぐに取り押さえられ、警察官に捕まる。群集に取り囲まれて罵倒される中、息子のブルーノが泣いて父にすがりつく。この子どもの涙で放免された父と子が、夕暮れの町を歩いていく。

 この映画は、最初見た時に物凄い衝撃を受けた映画なんです。"ずど~ん"と胸が圧迫されるような重さを持った作品。
 特に2児の父親となった今、この映画に登場する父親の思いが(映画を見た当時以上に)悲しいほど伝わってきます。僕も個人事業主なので、正直なところ将来どんな状況になっているか断定できない。現在、息子は5歳、娘はそろそろ4歳。もしアントニオと同じ状況になったら、もし僕の不祥事で子どもに泣かれたら…。年収300万円(or200万円)とも言われるこの時代でこそ、この映画のメッセージは多くの人の心に届くのではないでしょうか?