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「アタックナンバー・ハーフ」 (記:2003年10月)<
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昨年、ワールドカップと並行して、"少林サッカー"が大ヒットしてロングランとなったのは記憶に新しい。僕は仕事に追われて映画館で見ることができなかったので、ビデオかDVDを借りて見ようとしたのだが、ずっと貸し出し中で数ヶ月もの間借りることができず、結局DVDを買ってしまった。ここまで借りられなかった作品は、少林サッカーが初めてである。今、アジアの映画が元気がいい。昔は、世界市場で通用するのは香港のアクション映画がメインだったが、最近は恋愛ものから、歴史ものまで色んなジャンルのアジア映画が、世界で認められている。国も、韓国、中国、台湾、インドと幅広い。とりわけ少林サッカーのようなコメディー映画が受けたのが、個人的にとてもうれしい。何故ならコメディー映画と言うのは、他のジャンルの映画より作るのがとても難しいとされているからだ。少林サッカーは、フィクションのハチャメチャなお馬鹿映画だったが、笑える映画だった。大ヒットも頷ける。少林サッカーほどのヒットはしなかったものの、実話を元にした優れたアジアのコメディーが2000年に公開された。タイの映画"アタック・ナンバーハーフ"である。
Imaged by JOLLYBOY
ストーリーは、ゲイ(※オカマorニューハーフ)の登場人物達が、偏見と闘いながら、バレーボールのチームを作って、勝ち進んでいったと言う実際の出来事に基づいている(ネタバレになるので、最後まで勝てたかどうかはここでは書きません)。バーレボールチームの監督はオナベ(※オカマの女性版)で、チームの中でストレート(※オカマでは無い人)の選手は一人で、後は全部ゲイの選手。そうしたチームメイト同士の葛藤や諍い、社会の偏見と言ったものと相対しながら、チームは一つになっていく…。
監督のヨンユット・トンコントーンはストレートだが、本当にゲイの気持ちを理解しているような作品となっている。これは、脚本家のV・ブンガーンジャナーが丁寧に描写をしたのと、監督が何ヶ月もかけてゲイのライフスタイルを徹底的に調べた結果なのである。なので、社会的にマイノリティであるゲイの孤独や悲しみ、怒り、喜びと言うものが、しっかりと表現されている。この映画の登場人物は、創作の三名を除き、すべて実在の人物。だから、演じる俳優たちも真剣に役作りに励んだ。役者は一人を除き全員ストレートなのだが、映画を見た人が役者をゲイと思い込んでしまうぐらいしっかりと演じている。クライマックスのバレーボールのシーンでは、俳優たちが実際にプレイしているのだが、その頃には本当にバレーボールが上達したそうだ。それもそのはず、実際に国体のコーチがついて特訓し、俳優たちはアザが耐えなかったと言う。
こうしてできた作品は、コメディを基調としながらも、生きる上で大切なものをしっかりと伝える硬派な作品に仕上がっている。作品のエンド・ロールで、実際のチームの選手たち(つまり本物たち)のテレビでのインタビューシーンが流れるのだが、これが本当に映画の中の俳優たちにそっくりで、これにも驚いた…。ただ一つ疑問なのが、"アタックナンバーハーフ"と言う"邦題"。お気付きの通り、有名な日本のアニメのタイトル"アタックナンバー・ワン"からいただいた題名…これが良いんだか、悪いんだか、評価の分かれるところかな…。