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「サイレント・ランニング」   (記:2003年4月)

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 さて、本コーナーでは、過去SF映画を何本か取り上げたが、スペースSF映画は今回が初。僕は、子供の頃からSF小説やSF映画が大好きだった。しかも、ファンタジーSFよりは、(アーサー・C・クラークのような)ハードSFの方が好きだった。だから、中学・高校時代に"スターウォーズ"が流行った時も、僕はリバイバル上映の"2001年宇宙の旅"の方に夢中になっていた。

 今回取り上げるこの"サイレント・ランニング"も、ハードSFの部類に入る。1971年の作品で、"2001宇宙の旅"の3年後に公開された作品。監督は、その"2001年宇宙の旅"の特殊効果を担当したダグラス・トランブルである。写真や8mmフィルム・カメラでの特撮に夢中になっていた当時の僕にとって、ダグラス・トランブルという人は、雲の上のヒーローであった。日本ではピアノ線で宇宙船を吊るしていた時代に、トランブルは、アナログ特撮時代にあの完璧なSFX映像を作り上げたのである。

 さて、肝心の"サイレント・ランニング"のお話だが、トランブルの初監督作品(残念ながら評価は低く、興行もヒットしなかった)。低予算と言うこともあったろうが、全体的にとてもお粗末。ストーリーは、どう見ても45分もあれば終わってしまうようなお話し(まあ、伸ばしても60分がせいぜいの内容)。しかし、それでは劇場映画にならないので、回想シーンやBGM付きの情景シーンなどを付け加えて、無理やり85分にしている…そんな感じなのだ。ストーリーは近未来のお話しで、地球はドームに覆われた統制社会の時代という設定。人々は化学合成食品を食べ、思想も統制されている。そのような時代に、絶滅の危機に瀕した動植物を3台の大型宇宙船の複数のドームに載せて太陽系の軌道を廻らせ、地球への再移植を待っている。ところが、貴重な動植物のドームを破棄・爆破して、全機地球への帰還するよう命令が下る。船員は全員、地球への帰還を喜ぶ…ただ一人、主人公のフリーマン・ローウェルを除いて。彼は、ただ一人自然の動植物を愛し、自然の食物を食べる男。彼は、貴重な動植物ドームの爆破に抵抗して孤軍奮闘する…そういうお話し。
 そう言うお話しなのだけど、統制社会へのアンチテーゼなのか、環境問題なのか、孤高・孤独な男の話なのか、ロボットとの交流を描いているのか、話の中心軸が今ひとつ分からない。トランブルは、特撮者としては優れているが、演出者としての力量は今一つだったようだ。

 ハードSFとしての、描写も今ひとつ。スピンドル・モジュール(※回転居住部)もないのに、宇宙船内には何故か重力があり、みんな普通に歩いたり、 バギーを運転している。(スペース・ファンタジーならともかく)んなわきゃ、ないだろ!…と突っ込みたくもなる。"2001年宇宙の旅"の特撮監督 トランブルとは思えない手薄さ。また、出演俳優も知らない人ばかり。主演のブルース・ダーンも、知らないし…。


サイレント・ランニングImaged by JOLLYBOY

 と、たくさんの欠点を挙げ連ねてみたが、僕はこの作品を何度も見ていて、愛して止まない。最近、DVDも買ってしまった。ストーリーはともかく、この映画の中のメカ・デザインと特撮が好きなのだ。まず、宇宙船が良い…工業デザイン的なのだ(つまり実用っぽいのだ)。中学生時代、この映画の宇宙船をモチーフに、プラスチック板やプラモデルの素材を集めて、全長45cmもの巨大な宇宙船を作った。左右に動植物の透明ドームを作り、宇宙船内には豆球をいくつも仕込んで、光るように細工した。そして、これを8mmフィルムカメラで、映画をまねた動きで撮影したりした。この自家製宇宙船、我ながら良くできていたのだが、さすがに大き過ぎて邪魔になったので捨ててしまった(8mmフィルムには残っているが、今8mmフィルムを再生できる機械がない…)。

 映画の中に登場するロボットのデザインも良い。これも、工業デザイン的なのだ。3台のドローンが登場する。内一台は壊れてしまい、主人公のローウェルは残りの二台に"ヒューイ"と"デューイ"と言う名前を付ける(壊れた一台は"ルーイ"にする予定だった)。このロボットのデザインのセンスが良くて、今までのSF映画のヒューマノイド型のロボット達とは一線を隔している。このデザインは、後年スターウォーズのR2D2へのデザインへと引き継がれていく。
 いつも思うのだが、ストーリー(脚本と演出)の悪さは映画としては致命的だが、他の分野で"超"特出して良い所があれば、そう言う方面が好きな人にとってはたまらないものである(要は、カルト的映画ってことだけどね…)。