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「ポンヌフの恋人」 (記:2002年10月)

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 世の中には、ストーリーの印象が薄くても語り草になるような映画がある。女優がとても美しかったり、特殊効果が優れていたり…と、今まで見たこともないような画面を目にした時の驚きが、その映画を伝説にする。例えば、今回ご紹介する1991年の"ポンヌフの恋人"もそんな一作品かもしれない。何が凄いのかと言うと、「セット」が凄い。フランス映画史上、最大のオープンセットを作ったのだ。セーヌ川に架かるポンヌフ橋と、その周囲の街並みを丸々セットで作り上げたのだ。

 しかし、この映画ができるまでには色々な波乱があり、製作会社が倒産するなどの苦難の道のりがあった。製作は度々中断され、完成しないのでは…とさえ言われた。何故、こんなことになってしまったのだろうか。そもそも、この映画はフランス建国200年記念映画であり、パリの人口が減る3週間だけ、全面交通規制の許可を得て撮影するはずだった。そして、夜間シーンのみオープンセットで撮る予定だった。ところが、撮影直前に主演のドニ・ラヴァンが事故に遭い、撮影許可が無駄になってしまった…監督のレオス・カラックスが、代役での撮影を拒否したためだ。そこで、オープンセットでは昼間の撮影も必要になり…と言うことは、遠景までしっかりフィルムに写るということで…より広いオープン・セットの工事が始まった。セーヌ川を作り、土手を作って護岸工事をし、橋を作り、街を作ることとなった。当初3500万フラン(約8億7000万円)の予算はあっという間にオーバーして、製作会社を倒産させた。その後、製作会社やプロデューサーが次々に変わり、トラブルは続いた。1年で完成するはずだった映画は3年もかかって完成、予算は1億3000万フラン(約32億3000万円)もかかった。


ポンヌフの恋人Imaged by JOLLYBOY

 で、この映画のストーリーなのだが、ホームレスの青年アレックスが家出少女ミシェルと出会い惹かれていくという、ボーイ・ミーツ・ガール物語である。アレックス役のドニ・ラヴァンと、ミシェル役のジュリエット・ビノシュがとても良い。監督のカラックスがこだわっただけあって、アレックスの役はラヴァンでなければ難しかったと思う。これだけトラブル続きの映画に、ラヴァンもビノシュも3年の間よく腐らず諦めず最後まで演じきったものだと感心する。苦労しただけあって映画は秀作で、各国で評判が良く日本でもロングラン上映となった。ストーリーもよくできているが、それ以上に町全体を作り上げた巨大セットに驚く。言われなければ、絶対にセットだとは気づかないだろう。伝説的な巨大セットと言うと、古くは"イントレランス"の古代バビロンのセット、コッポラのプロダクションを破産に追い込んだ"ワン・フロム・ザ・ハート"のセット、ケビン・コスナーをトラブルの渦に巻き込んだ"ウォーターワールド"の海上セット等々があるが、この"ポンヌフの恋人"の巨大セットも伝説の仲間入りしたのは間違いないだろう。