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「アルタード・ステーツ 未知への挑戦」   (記:2002年6月)

アルタード・ステーツ 未知への挑戦 [DVD]

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 "アルタード・ステーツ"…この映画、あまり話題にならなかった。1980年に上映されたSF映画なのだけど、この年日本では"スターウォーズ・帝国の逆襲"や"スター・トレック"といった、超大作SF映画がヒットしていた。その影で、この映画はB級SF映画の観を否めなかった…と言うか、「そんな映画あったの?」と言う人の方が多いかもしれない。

 この映画は、奇才ケン・ラッセル監督の初めてのSF映画なのだ。そして、今は名優となったウィリアム・ハートのデビュー作なのだ。初めての二人に加え、他に有名な俳優も出ていないし、どうしてもマイナー感がかもし出されてしまう。

 この作品は、20世紀の半ばにはやった(心理学で有名な)"感覚遮断実験"がモチーフに使われている。感覚遮断実験とは、真っ暗な水溶液のタンクに長時間プカプカ浮いて、五感をすべて遮断されているとどうなるか、と言う実験である。被験者は次第に現実感を消失し、幻聴や幻覚を催すことが分かっている。

 この映画の主人公の生理学者エディは、10パーセントの硫酸マグネシウム液にプカプカ浮いて現実から逃避している。彼は、記憶から意識の原点へ遡れるという自説を証明するため、メキシコの先住民から強力な幻覚作用を引き起こすキノコを手に入れる。キノコを用いた実験を重ねていくうちに、エディは意識の原点に遡り始めたが、意識だけでなく肉体も過去へ遡り始める。彼の肉体は原人に遡り、最終的に原始の記憶にまで遡る。そして、その先にエディを待っていたものは…。と言う映画である。


アルタード・ステーツImaged by JOLLYBOY

 この映画は、"ゴシック"などを作ったケン・ラッセルの映画らしく、現実と幻想が入り混じったストーリーである。宗教的なモチーフ&イメージも、頻繁に使われている。一時期、この映画に僕がはまったのは(ビデオで5回以上見ている)、僕がSF好きだからというだけでなく、心理学にも興味があったからだと思う。この映画のDVDを買ってから改めて見たが、やはり独特の雰囲気を持った映画だった。