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「バクダッド・カフェ」 (記:2002年1月)
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新年に相応しい、暖かで希望のもてる隠れた名作ということで、今回"バグダッド・カフェ"を取り上げます。
この映画が作られたのは1987年、日本で公開されたのは1989年。世界的にそこそこヒットし、主題曲「コーリング・ユー」と共にサウンド・トラックもヒットした。とは言うものの、世界の主要な映画祭の賞とは無縁で、メジャーなヒットと言うよりはカルト的人気を博している映画。公開当時、僕も口コミで「良い映画だ」と聞いていたのだが、仕事が忙しくて時間がなくて、しばらくしてビデオで見た。ところが一度見るや感動してしまい、DVDを購入して今も度々見返している。これをまだ見ていない人にお薦めしたくて、今回取り上げてみました。
この映画の舞台は、アメリカのモハーヴェ砂漠の真ん中、ラスベガスとロスを結ぶハイ・ウェイ沿いの寂れたモーテル兼カフェ"バグダッド・カフェ"。しかし、この映画を撮っているのは、ドイツ人監督のパーシー・アドロン。ドイツ人がイメージしたアメリカの田舎の風景…この映像が美しい。フィルターのかかったような空の色、錆色の地平を吹き抜ける寂しげな風…。登場人物も、太っちょドイツ女優のマリアンネ・ゲーゼブレ、英国領ギアナ出身女優のCCH・パウンダー等、個性派俳優達。美男・美女達は登場しないが、次第に映画の世界に魅きこまれていく…。
Imaged by JOLLYBOY
で、ストーリーはと言うと、ハイウェイ脇のバクダッド・カフェにドイツから来た太った女性ジャスミンがやってくる。この女性は、アメリカ観光中に亭主とケンカしてここへ辿り着いた。カフェの主人ブレンダも、ダメ亭主を追い出して一人で店を切り盛りしている。カフェには、怪しげな客たちがたむろっていて、ピアノばかり弾いている息子、遊んでばかりいる娘…達が、ブレンダをイライラさせる。店を勝手に手伝ったジャスミンとブレンダは衝突するが、次第に友情が芽生えていく。
場面場面で流れる悲しげな"コーリング・ユー"の歌、カフェに泊る青年が大空に投げるブーメランの音、紫色の地平。次第に怪しげに見えていた客たちが、素晴らしいハーモニーを見せ、魅力的に見えていく。何気ないストーリーと場面場面の積み重ねが、次第に暖かな感動を生み出していく…。
新年お時間があったら、ぜひお薦めの一本です。