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「バニシング in 60」   (記:2000年10月)

バニシング IN 60" HDニューマスター版 [DVD]

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 先日、"60セカンズ"というニコラス・ケイジ主演の映画がロードショー公開された。この映画は、1974年公開の"バニシング in 60"のリメイク版である。小学生の頃、この"バニシング in 60"と言う映画が、車好きの男の子の中でとても流行った。時は、まさしく"サーキットの狼"に端を発する超スーパーカーブーム真っ盛り。近所の同級生は、小学生の僅かなおこずかいを投じて何度も映画館へ足を運んでいた。僕は、小学生当時は映画館へ行く大金はなく、その近所の男の子の話を聞くだけだった。その後、テレビ放映された時に、この作品に"はまった"ことは言うまでもない。おそらく、女性にはこの映画のどこが面白いのか、理解不能だったに違いない。今日は、このカルト的作品を取り上げよう!

 この映画の凄いところは、とにかく車がたくさん登場する。"車好きによる、車好きのための、車映画"と言ってよい。どれだけすごいかと言うと、116台の車が登場し、52台が高級車(本物のレーシングカーも登場)、48台がパトカー、などなど。そのうち93台もの車がぶっ壊れるのだ!なんせ、監督のH・B・ハリッキーはスタント・マン出身なの…。

 どんな物語かと言うと、60秒で高級車を盗むすご腕の車泥棒の話。彼らは、法外な報酬を手に入れるために、52台もの高級車を盗むこととなった。しかし、エレナと呼ばれる73年型のムスタング・マッハⅠだけはなかなか手には入らない。四苦八苦してようやくムスタングを盗んだのに、パトカーの大群の猛追撃を受けることとなる。エレナは、何とか逃げ切ろうとする。そんなお話し。カーアクションの合間に、こまめなギャグやユーモアもちりばめられている。なかなかの秀作。


バニシング in 60Imaged by JOLLYBOY
(子供の頃撮影した近所の"白い"ムスタングの写真を加工)

 この映画、エレナと呼ばれるムスタング・マッハⅠが、これでもかというぐらいに壊れながらも逃げ回る。映画に使われたこの車、改装に約1年、作業時間に250時間もかかった。超タフに改造されたこのムスタングは、40分間に渡るカーチェイスに、 (バンパーが壊れただけで)堂々と耐え抜いた。僕らの少年時代、実(まこと)しやかなる噂が流れた。あのムスタング・マッハⅠは、同じ形の物が十台以上も用意されていて、ムスタングが壊れて動かなくなる度に、新車がハンマーで同じようにボコボコにされ、撮影に使われたのだ、と(もちろん嘘である)。そんな噂が生まれるほど、迫力あるカーチェイスだった。

 この映画には、色んなスーパーカーや高級車が登場する。主役のムスタング・マッハⅠの他、フェラーリ・デイトナ、コルベット・スティングレー、フォードT、デ・トマソ・パンテーラ、ランボルギーニ・ミウラ、マセラティ・ギブリに、ポルシェにベンツにロールスロイス、ジャガーにロータスにキャデラック等々。スーパーカー大ブームの中の子供達にはこたえられない "夢の車の競演"映画だったのだ。カルト映画というのは、決して一般受けなど狙ってはいけない!ひたすら自己主張を貫いて、それに付いて来れる人間にだけ理解してもらえば、それで良しとしよう!潔いではないか!(ニコラス・ケイジ主演の"60セカンズ"はまだ見ていないが、やはり一般受けを狙っているんだろうな…)。