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「ビューティフル・ドリーマー」  (記:2000年7月)

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 夏になると必ずビデオを引っ張り出してきて見る、思い出の作品がある。日本の劇場アニメーション映画 "うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー"である。おそらく、コミックの「うる星やつら」ファンでもない限りご存知ないかもしれない。今日は、ぜひこの作品を取り上げたい。

ビューティフル・ドリーマーImaged by JOLLYBOY

 この映画は、高橋留美子原作の「うる星やつら」の人物設定を大事にしながら、独自の世界観と物語を作り上げている。監督は、押井守監督。これを初めて見たのは、学生時代だった。衝撃を受けて、何度もこの作品を見た。いくつか気が付いた点を掲げると…各キャラクターの個性は元々良くできているのは当然として…ストーリーがオリジナルで先が読めないこと、展開がアップテンポでリズムが良いこと&強弱があること、何よりも詩的であることなどが、この作品を特異な魅力有るアニメ映画にしているのではないだろうか。これは、監督の押井守監督の感性と経験に負う所が大きいのだと思う。高橋留美子原作のキャラクターの良さと、押井守監督の感性がみごとに融合・昇華された、コラボレーションの好例だと思う (ちなみに、劇場で"うる星やつら3"と"うる星やつら4"も見たが、どちらも設定が安易でつまらなかった。2の、押井監督の力量に脱帽)。

 最近は、何でもマルチメディアミックス戦略と銘を打って、売れたマンガをアニメにしたり、ドラマにしたり、ゲームにしたりするが、営業的な視野だけでマルチメディア化を謀ると失敗する例を最近よく見かける。コミック「スラムダンク」のアニメ化、「いいひと」のドラマ化は、明らかに大失敗の部類に入ると思う (両作品ともコミックが素晴らしいだけに、コラボレーションの力量が問われる)。そういうのを目の当たりにする度に、押井守監督の"ビューティフル・ドリーマー"が頭に浮かぶのである。