隠れた名作映画紹介!!入口 >トップメニュー >隠れた名映画 >現ページ

「イル・ポスティーノ」   (記:2000年5月)

イル・ポスティーノ [DVD]

新品価格
¥5,000から
(2014/11/14 17:50時点)



 近年、イタリア映画がとても元気。"ニューシネマ・パラダイス"、"ライフ・イズ・ビューティフル"、"海の上のピアニスト"などのヒットが記憶に新しい。今回取り上げるこの"イル・ポスティーノ"も、イタリアの名作。ハリウッド大作のような全国公開大ヒット作とは異なり、単館ものに近いので知名度も低い映画だが、「黄金の心をもった小品」と言われた。

イル・ポスティーノImaged by JOLLYBOY

 本作は、第二次大戦直後の南イタリアの港町ナポリの沖合いの小さな島カプリが舞台。母国を追放されたチリの詩人パブロ・ネルーダが、島にやって来る。島の郵便配達人マリオは、毎日世界中から送られてくるネルーダ宛のファンレターを届けるうちに、ネルーダと親しくなる。そして、自分の書いた詩を見てもらうようになる。そして深い友情で結ばれていく。そんなストーリー。本作は、チリの作家アントニオ・スカルメタが、ネルーダの亡命期間中の時代背景をヒントに創作した「バーニング・ペイシェンス」の映画化。

 原作を読んで映画化を決意したマッシモ・トロイージは、原作の主人公の年齢設定を 30代に引き上げて脚本を書き、映画化できる日まで温めていた。そして3年後、ついに映画化の機会が訪れた。ちょうどその頃、トロイージの心臓は極度に弱っていて、アメリカ・テキサス州のヒューストンの大学病院で心臓移植の準備が進められていた。しかし、トロイージは手術を延期し、映画製作を優先。治療を続けながら、1994年3月に撮影をスタート。トロイージの体は日増しに弱っていったが、憑かれたように撮影を続け、6月3日にはすべてを撮り終えた。そしてわずか12時間後の6月4日、完成作品を見ることなく、トロイージは41歳の若さで世を去った。死後、アカデミー主演男優賞にノミネートされた。

 この作品のサウンド・トラック版がアメリカで発売されることが決まった時、ネルーダの詩を愛し、本作にも感動した人々により、ネルーダの詩の朗読も収められることになった。顔ぶれは、グレン・クロース、アンディ・ガルシア、イーサン・ホーク、サミュエル・L・ジャクソン、マドンナ、ジュリア・ロバーツ、スティングなどのアメリカの映画、音楽界を代表する大物ばかり。ネルーダの詩とこの映画は、多くのクリエーターの心を動かした。僕も詩など興味なかったが、この映画の影響で詩を読むようになった。お勧めの映画です。