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「裁かるるジャンヌ」   (記:2000年2月)

裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション [DVD]

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 さて、2000年最初に見た映画が、大好きなリュック・ベッソン監督の"ジャンヌ・ダルク"。キリスト教が超少数派の日本ではあまり話題になりませんが、欧米ではジャンヌ・ダルクは、今まで何度もリメイクされてきました。最近では、"美しき諍い女"のジャック・リヴェット監督が撮った"ジャンヌ"があります。戦後世代の人の記憶に残っているのは、イングリッド・バーグマン主演の"ジャンヌ"でしょうか。しかし今回ここでご紹介するのは、1928年製作(日本公開は1929年)のカール・ドライアー監督(デンマーク人)の"裁かるるジャンヌ"です。おそらく今の時代の人は、ほとんど誰も知らない映画でしょうが名作です。

裁かるるジャンヌImaged by JOLLYBOY

 資料によると、"ジャンヌ・ダルク"は、「ドンレミ村の農家の娘。救国の神託を受けたと信じ、シャルル七世に上申していれられ、イギリス軍を破ってオルレアンの包囲を解いた。のち、イギリス軍に捕らえられ、ルーアンで異端として火刑に処せられたが、1920年にローマ教皇庁により聖女に列せられた。オルレアンの乙女。」とあります。この"裁かるるジャンヌ"は、そういう背景の中で彼女の宗教裁判を素材に、法廷での最後の一日のみを描く異色作です。

 ジャンヌ役のルイーズ・ルネ・ファルコネッティをはじめ、登場人物はすべてノーメイク。それをクローズアップの連続で捉えていくという独自のスタイルを貫いています。アップを多用しているのに、その美しさが少しもあせて見えないのが素晴らしい。そしてサイレント映画なのに、出演者はきちんと台詞をしゃべっていて、またトーキー時代が到来しつつあったのに、画面の編集によって音の無い映像の可能性を追求しています。

 内容の方はと言うと、教理問答のような宗教法廷の詰問と応答(氾濫する台詞字幕)。ついに神を裏切れない従順なジャンヌが、切られた乙女の髪に落とす涙…。民衆擾乱場面に繰返される鳥の大群の飛翔…。名場面である。

 現在この作品は、淀川長治名作100選のビデオかDVDで見ることが可能である。ご覧になる機会があったら、フルカラーかつトーキーの超大作のベッソン版"ジャンヌ・ダルク"と比べてみて、72年の時代の隔たりの差を見るのも面白いかも。