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「ナザレのイエス」 (記:1999年12月)
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クリスマスにちなんで、今回は隠れた名作「ナザレのイエス」(1976年作品)を取り上げてみます。なぜ、わざわざ「隠れた」などという前置詞を付けたかと言うと、日本人のほとんどはこの作品をまったく知らないからです。短館ものの悲しいところです。
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では、マイナーな作品なのかと言うととんでもない!「ロミオとジュリエット」や「ブラザー・サン・シスター・ムーン」の巨匠、あのフランコ・ゼッフィレッリ監督の作品なのです。辺境の地での撮影にも関わらず、世界のトップ俳優達が出演を二つ返事で返したのです。その顔ぶれ、驚くなかれ!名優ローレンス・オリビエ (ハムレット、レベッカ)、ロッド・スタイガー(史上最大の作戦、夜の大捜査線)、オリビア・ハッシー(ロミオとジュリエット)、アンソニー・クイン(道、アラビアのロレンス)、アン・バンクロフト(卒業、愛と喝采の日々)、アーネスト・ボーグナイン(ワイルド・バンチ、ポセイドン・アドベンチャー)、フェルナンド・レイ(フレンチ・コネクション)、ジェームズ・アール・ジョーンズ(博士の異常な愛情)、ピーター・ユスチノフ(スパルタカス)、ドナルド・プレザンス(大脱走)、イアン・ホルム(ロビンとマリアン、エイリアン)、マイケル・ヨーク(ロミオとジュリエット、三銃士)、イエス役のロバート・パウエル(トミー)を初め、ものすごいメンバー達が続々結集した。一本の映画にこれだけの名優が揃うのは、今世紀中にはもうないだろう。ハリウッド大作でもおそらく不可能で、これはゼッフィレッリという絶大なる信頼を得ている名匠だからこそ可能だった作品である。
過去欧米において、キリスト伝を取り扱った映画は、凡作名作含めて無数に作られてきた。フランスの名匠ジュリアン・ディヴィヴィエ監督の「ゴルゴダの丘」、イタリアの奇才パゾリーニ監督の「奇跡の丘」、ジョージ・スティーブンス監督の「偉大なる生涯の物語」などは名作と言われるが、この「ナザレのイエス」はそれらと一線を画し、一際光り輝いている。聖書の記述や時代考証は元より、そこに描かれた人間性のリアリズムと、映像の美しさは、ゼッフィレッリならではのもの。そこに前出の名優陣による類稀なる演技。音楽は「アラビアのロレンス」のモーリス・ジャール。素晴らしくないわけがないのだ。ぜひ、一度見てもらいたい映画。
しかしながら、ここは日本。キリスト教映画が、全国拡大ロードショーされることはなかっのだ。そして未だに、ビデオ発売もされる予定すらないのが現状。悲しい。そこで、僕は知人にアメリカからビデオの「ナザレのイエス」を取り寄せてもらい、私訳をしてパソコンで字幕を入れたビデオを作ったのである lang=EN-US>(けっこうたいへんだった)。
※2005年追記:2004年ようやく「ナザレのイエス」の日本語版ビデオとDVDが発売されました。