遥かなる星の旅路入口 >トップメニュー >ネット小説 >遥かなる星の旅路 >現ページ

作者後書き

 今、私の目の前には、一枚の大切にしている写真があります。ジョン・グッドマン氏と、バルタザール船長と、メルキオール分析官と、そして私が並んで写っている写真です。着陸船の前で撮られた、記念の写真です。もうお分かりの方もおられるかと思いますが、私こと”レイ・キタムラ”は、北村博士が作ったロボットのプロトタイプ…そう、初号機です。ゼロ号機とも呼ばれていたので、北村博士が「日本では、”ゼロ”の事を”レイ”と言うのだよ。」と言って、私に”レイ”と言う名前を付けてくれたのです。

 私は、北村博士やグッドマン氏や、バルタザールやメルキオールや、カスパールのサイバー人格や、多くの関係者から膨大な量の話を聞き集め、ようやくこうして一冊の本としてまとめることができました。シリウス星間旅行の間に、地球で一体何があったのか…これは皆さんの中にも詳しい方が大勢おられるかとも思いますが…私が集めた詳細なデータを基に、より正確な物語を近いうちに皆さんにお届けしたいと思っています。日本の青木ヶ原樹海で、巨大ドームが発見された顛末については、二〇二二年に日本人の田中正義氏が書いた”青木ヶ原プロジェクト”をぜひ参考にして下さい。氏は、青木ヶ原プロジェクトに参加したメンバーの一人で、内容の信憑性について信頼がおけるだけでなく、ドキュメンタリーの人間ドラマとしても、面白く読める本です。

 最後に、NDPの最後の仲間達がどうなったのかをお伝えしておきたいと思います。ジョン・グッドマン氏は、エンタープライズ号帰還から六年後の二〇七一年に亡くなりまた。バルタザールとメルキオールは、私同様、今も健在です。一部、最新回路に入れ替えられ、プログラムも最新の物にバージョンアップされました。カスパールですが、今これを書いている二〇八〇年の段階では、地球に帰還しておりません。尚、英雄カスパールに敬意を表して、ジャクリーン内に保管されているカスパールのサイバー人格は、ロボットとして再構築しない事が決定されました。カスパールは、コピーの存在しない唯一のオリジナル・ロボットとして、後世まで記憶される事でしょう。いつの日にか、再び彼に会える事を楽しみにしています。

 最後となりましたが、皆さんとも再び会えますように。では、また。     敬具。