遥かなる星の旅路　作者前書き

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作者前書き

　私の名前は、レイ・キタムラ。二十世紀には、レイ・ブラッドベリやレイ・チャールズと言った、レイと言う名の有名人がいたそうですが、残念ながら私はほとんど無名です。過去に人々の記憶に残るような活動はしていませんし、何らかの業績を残してもいません。と言うわけで、これから話す物語は、私に関する物語ではありません。父は有名な科学者でしたが、残念ながらすでに故人です。もっとも私は実の息子と言うわけではないのですが、キタムラ博士は私を実の息子のように育ててくれました。

　私は、二十一世紀半ばのあの偉大な冒険物語と、地球を襲ったあの悲劇について、多くの人から話を聞いてまいりました。育ての親、キタムラ博士からも多くの話を聞きました。これらの聞き集めたたくさんの話を、一体どこから話すべきなのか長い間迷っていました。収集した膨大なデータや物語を整理した結果、やはり未知の冒険に挑んだ偉大な英雄達の物語に焦点を当てて書くべきだ、と言う結論に達しました。皆さんが、ニュースや噂で聞いた話には、虚実が入り混じっております。私がこれから書き記す物語が、最も真実に近いでしょう。データを得られなかった部分については、私の推測で埋めさせていただきましたが、それらの箇所も真実からそう遠くはないと確信しています。あの偉大な英雄達の物語を、皆さんと共に共有できることはこの上ない喜びです。

では、また後ほど。