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第二十六章 大森との約束

 9月も過ぎて夏は去り、10月となり秋が到来した。吹く風に、そこはかとなく涼しさが感じられるようになった。
 坂野の新商売の行方は、ゴミ集積場のゴミ次第だった。自分で家具を作り出している分けではないので、廃品に左右されるのは仕方の無いこと。しかし、彼はハンマーやドライバー、ネジや木工用ボンド等のツールも購入し、多少の破損ならば壊れている廃品家具も自分で直した。塗るペンキの色は、頑なに黄緑とピンクの二色を貫き通した。彼のペンキの塗装技術は、日毎に熟練度を増していき、より美しい塗装へと進化していった。
 フリーマーケットで、次第に彼の固定客がつき始めた。坂野ブランドのファンと言ったところ。
 11月の半ばには、彼の財布にはなんと一万円札が十枚も入っていた。

坂野は久々に大森に会いに生き、坂野の仕事の秘密とその成果を話した。大森は、それを聞いて喜んだ。
「そうか、十万円も稼げたのか!がんばったじゃないか!」
大森が喜んでくれるのを見て、坂野も嬉しくなった。
「そこで大森さんに提案があるんですけど、大森さんが年金もらって生活が安定したら、私と一緒に商売始めませんか?」
「商売?」
坂野は、熱心に大森に語った。
「そう、商売です!まだ使えるのに、捨てる人が大勢いるんです!でも、それを買うって言う人もいるんですよ!だから廃品を安く回収して、壊れているものは直し、汚れている物はきれいにして売るんです!売る人と買う人と両方の役に立てて、お金も稼げるんです。ぜひ、一緒にやりましょうよ!」
大森は、唸った。
「う~ん、商売かぁ~。なかなか面白そうだな…。そうだな、元ホームレスの65歳の人間なんて誰も雇っちゃくれないだろうし、一丁やってみるか!」
「やりましょう!じゃあ、早速今日はお祝いです!でも、今日は僕に宴会費を払わせてくださいよ!」
その日の夜、公園で二人は彼らなりの豪勢な宴会を開き、将来の商売の夢を語り合った。