うちのオカンに騙された話・ベスト3
(2003年6月15日記載) 入口 >トップメニュー >あんなこんな >現ページ
うちの母親は、変な人である。と言っても、奇人変人と言うわけでもないのだが。僕が子供の頃、今考えれば明らかに「嘘八百」の作り話を、実しやかに話すのである。子供としては、親が嘘をつくとは思いもしないので、小学生になるまで信じていた話もある。きっと小さな息子がとんでもないでたらめな話を信じるのを、傍で見ていて喜んでいたに違いない。山ほどあるそんな話の中から、ベスト3をお届け。
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第一位:空飛ぶガスタンク
幼稚園の頃、時折僕は母親に連れられて電車に乗って、東京へ行く事があった。北千住を過ぎて南千住へ着く頃、電車の窓から丸いガスタンクが見えた。これは今でも存在していて、通勤途中で見る事ができる。下の写真がそれである。
南千住のガスタンク
幼稚園の頃の僕は、当然それが何なのか知らないので、「あれ、何?」と聞くと、母は「ああ、あれはガスが詰まっていて、夜になると空を飛ぶの。よくゴーという音だけ聞こえるのに、空には雲しか見えないことがあるでしょ!あれが、雲の上を飛んでるのね!」と言う。僕は「へえ!」と驚いて、しげしげとそのガスタンクを見つめていた。飛ぶところを想像して。
空飛ぶガスタンク(想像図)
以来、小学生になって真実を知るまで、あれがロケットだと信じていたのである(そして今に至るまで、ガスタンクが飛ぶところを見た事はない)。
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第二位:雷の正体
これも幼稚園の頃の話である。夏の日の夜、大きな雷が近所に落ちた。もの凄い爆音である。当時の僕は、雷がなんであるか当然知らない。そこで怖がりながら、「あれ、なあに?」と母親に聞く。母親はこう言った。「あれは、大きな石の固まりが空から落ちてきた音なの。それで、あんなに大きな音がするのよ」。僕、「ふ~ん」。自分の家の屋根の上に落ちてこなければいいなあ、と心配していたものである。
以来、小学校で「雷は電気(の放電現象)である」ということを習うまで、ずっと岩が降ってくるのだと信じていたのであった。母親、おそるべし!
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第三位:お寿司が食べたい
さてさて、これも幼稚園の頃の話。ある夜、僕は突然駄々をこねた(幼児と言うのは、いつの世もわがままなものである)。「おすしがたべたい!おすしがたべたい!」と強力に主張する僕。しかし、当時はセブン・イレブンなんてものはなく、世の中のお店はすべて6時か7時は閉まっていた。お寿司なんて、突然用意できない。当然、お寿司の食材も用意されているわけがない。ちなみに、当時の僕が言うお寿司とは、海苔で巻いた"かんぴょう巻き"のことである(海鮮物の握り寿司がおいしいと言う事を知ったのは、ずっとずっと後の話である)。
お寿司がどうしても食べたいと言う主張を譲らない僕に対して、母親は一考を講じた。炊き立てのご飯と、白菜のお新香を用意し、ご飯を白菜の上に置いて巻き始めた。きれいに巻かれると、それをきれいに切り分けて、お皿の上に載せたのである。そして、僕の前に差し出した。「はい、お寿司よ」と言う母親に対して、「これ、おすしなの?」と聞き返す僕。「そう、お寿司よ」と母。そう言われて、僕は"お寿司らしき何か"を大喜びで食べたのである…そんなんで騙されてしまう僕って、一体…。
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