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ハリウッド映画・デジタル工房訪問記
正月休みが終わって一週間も経っていないのに、十日ほどアメリカ西海岸に行って来ました。「ハリウッド映画・デジタル工房訪問記」と書いていますが、ハリウッドは散策しただけで、ハリウッドの工房は訪問していません。今、特撮・CGの会社は、ハリウッド以外に拠点を構えるところが多いようです。(1998年1月24日記載:このページの写真の無断転用はできません)。
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(トム・ウィリアムソン氏来日の記事は、1998年12月26日記載:無断転用不可)。
コンピューター・カフェ
今回のメイン訪問先。L.A.から北へ約二百キロの、サンママリアという町の静かな郊外にある。レンタカーで、三時間弱で到着。同社を知ったきっかけは、そこのSFX(スペシャルエフェクツ)スーパーバイザー、トム・ウィリアムソン氏が「ライトウェーブ・プロ」という雑誌に連載で技術記事を書いていたことからである。氏にEメールを出し、訪問の許可をもらい今回の訪問に至った。
左からトム氏(スーパーバイザー)、デビッド氏(プレジデント)、カマ氏、ブライアント氏、オリバー氏(この三名と昼食をとる)。
コンピューターカフェのスタッフは、総勢15名。使用マシンはNTマシンを主軸に、マック、SGIマシンも使用。ソフトは、ライトウェーブを軸に、様々なソフトを駆使する。映画・CM・テレビの様々な特殊効果やCGを業務とする。先週末(注:1998年1月9日)全米公開された映画「スターキッズ」の、200ショット以上の特殊効果を担当した。今年公開されるロビン・ウィリアムス主演のディズニー映画「フラバー」の特殊効果も担当する。その他、過去多くの映画のVFX(ヴィジュアル・エフェクツ)に関わっている。
同社で驚いたのは、その技術だけではない。その付属設備にも、驚かされた。仮眠室はもとより、大きな台所、卓球台、ビリヤード台、ホッケー台、ダーツ場、バスケットのリンク、ちょっとしたレセプションも可能なステージ、センスの良い会議室等々。狭い日本の事務所で作業する私にはうらやましくもある。帰り際に、コンピューターカフェのグッズをいただく。帽子やフリスビー、ブロックポストイット(すべてロゴ入り!)、デモテープ、会社案内など。小規模だが、しっかりした会社なのである。いつかまた、私の技術がもっと向上したら再度訪問したい。
* * * * *
追記:トム・ウィリアムソン氏来日!
なんと、上記のトム・ウィリアムソンが、DPS(デジタル・プロセッシング・システム)社セミナーの講師として来日。ある日、突然、「日本へ行く」というメールが私のところへ届いていた。そして、12月10日のセミナーで11ヶ月ぶりに会うことができた。会場で久しぶりに、メール以外で話ができた。1年のうちに、2度も会えるとは思わなかった。
トムは、彼らがSFXで関わった「アルマゲドン」から、二台のスペースシャトルの発射シーンの作成方法をとても丁寧に細かく説明してくれた。普通、企業秘密の「テクニック」をあまり見せずに、お茶を濁してしまうセミナーが多い中、とても親切に、しかも惜しげもなく「ハリウッドの裏技テクニック」を披露してくれた。感謝!
トム登場! 丁寧な説明
デジタル・ミューズ
デジタル・ミューズ社は、サンタモニカの海岸から歩いてすぐの、極めてきれいな通りに面したディズニーストアの三階にある。スタッフは、23名。33台のアルファマシンが稼働する(半分はレンダリング用)。ソフトは、ライトウェーブを主に様々なソフトを使う。
同社の共同経営者ジョン・グロス氏は、長年「ライトウェーブ・プロ」のエディターを努めていた。氏は、スピルバーグ率いるアンブリン・イメージング社で「シークェスト」の特殊効果を担当し、その効果が高く評価される。そして退社後、デジタル・ミューズを設立した。TV番組を初め、映画などの特殊効果に関わる。訪問時は、プロジェクトの真っ最中で至極忙しそうであったが、会っていただけた。感謝。
ジョン・グロス氏と
デジタル・ドメイン
言わずと知れたデジタル・ドメイン社。I.L.M.(インダストリアル・ライト・アンド・マジック)と、双璧をなす最先端の工房。プロジェクトの最大時には、スタッフは軽く500名を超えるという。ベニスビーチから歩ける場所に位置し、工場を思わせる広大な敷地にある。本来なら社内の知人との予約がないと入れないのだが、今回特別に中へ入れていただいた。ダニエル氏に、デジタルドメイン社内を案内していただいた。
敷地内には、巨大なブルー(グリーン)スクリーンバックやモーションコントロールカメラを備えた大スタジオ、有名なデザイナーが設計した会議室、35mmフィルムが映写可能な試写室、モーションキャプチャー室、編集室、デジタル工房、模型工房、その他特殊効果に必要なあらゆる設備がある。
今回、同社で働く日本人の山口氏に会えた。突然の訪問にも関わらず、時間を割いていただき、色々と話をさせていただいた。最近まで、相当長い間「タイタニック」に関わっていたそうである。(クール!)。氏は、CGの草創期よりやってこられた方で、同社では3年前から働いているそうだ。海外で第一線で活躍しておられる氏に会って、内面から沸々と勇気が湧いて出た。
今回の訪問で、色々考えさせられることがあった。中でも、良い作品を作るためのシステム(作業の専門化とその統括)の違い、環境(個々のスペースや余暇スペース、煙草等の問題まで)の違い、という点が興味深かった。日本で、彼らのまねをするのがすべて良いとは思わないが、正直言ってうらやましかった。また作品や技術についても、大きな影響を受けた。私自身の作風も今後変わっていくだろう。そういう刺激を多大に受けた今回の訪問であった。