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虎の威を借る人  (2019年4月12日記載)

 年に何回か毒吐きますけど、今日がその日(笑)。
 以前、僕が苦手な人のTOP2の事を書いた。「口ではたいへん良いこと言うが実行には指一本動かさない人」と「不平不満や人への批判でいつも怒っている人」が2トップ。
 そして、3番目に苦手な人が「虎の威を借る人」。けっこう多いよね。4月になったので、色々思い出しちゃった。
 例えば、あちこちの大学に多額の寄付して(そこまでは良いと思うけど)、多額の寄付金と引き換えにそれらの大学から名誉博士の称号をがんがん集めて「俺様、凄いだろ?」って感じの人いるよね。ああ言う姿見てると、虚しいと言うか、さもしい人間だなぁ~って思う。
 そこまででなくても似たような人いるよね。そう言うことたくさんあった。

 とある年の春4月、都内のテレビキー局で色々人事異動があったので、お世話になっているプロデューサーに挨拶に行った時の話。
 以前、仕事でお世話になったディレクターの顔を見かけたので挨拶に寄った。ちょうど新人社員の教育の最中だったので名刺交換をすると、するとその新入社員が僕に向かって笑ってこう言った。「ああ、外注さんなの。下請けの会社ね。じゃあ、僕の権限でお宅の仕事切っちゃおうかな~」・・・唖然。それを聞いた先輩社員が慌てて「すみません!すみません!何、言っているんだ!本当にすみません!」と僕に平謝り。僕は、苦笑いでその場を去りました。
 実は、テレビ局って、大手会社(スポンサー)の意向で、そこの有力者のご子息を入社させてしまう事例って多かったんですよ。自分の実力じゃなく親の威光。テレビ局は拒めない。で、入社したらしたで、外注の下請けプロダクションに威圧的な態度を取り、パワハラ、セクハラ当たり前。裏金は要求するし、飲み食いプロダクション持ちで、色んなものを押しつけてくる。高慢、傲慢の極み。まあ、昔の話なので、今の現場がどうだかは知りませんが。
 皆がそんな社員ばかりじゃなかったけど、そう言う人達は確かにいました。正に「虎の威を借る狐」。テレビキー局の看板を、自分の実力と勘違いして、それで「俺はできる人間。会社員で終わるにはもったいない!」とばかりに意気揚々と独立するんだけど、誰も付いてこないし、誰も仕事を出してくれないの。そりゃ、そうなるよね。

 以前勤めていた会社での、別の仕事の例。事務所で、映像制作の打ち合わせを数名でしていた時、とある会社の年輩プロデューサーが突然「俺、東大出身なんだよね」と言い始めた。誰も学歴の話なんかしていないし、仕事と何の関係もない発言で脈略も意味も不明、一同唖然。そもそも、実力だけが物を言う映像制作の世界で、学歴を聞かれたことなんて、ただの一度もない。その場の誰もが、「ああ、この人、東大出身と言う事しか誇れるものがなんだなぁ~」と思ったのは言うまでもない。

 次は、ある複数の作家が出展していたグループ展での話。 目の前にいたとある男性が、たまたまその場にいなかった女性クリエーターの出展物のレイアウトを変えたのね。勝手に。で、言うの。聴いてもいないのに。
「私はね、有名なキュレーターなんですよ。〇〇省に勤めているんだけどね、〇〇にも記事が載ってるよ。読んでみて。僕がこのレイアウトを整えたら、それだけで軽く10万円を超える価値があるんだよね。彼女は知ったら驚くだろうね。」
 我が耳を疑った。別の意味で驚いた。知るかぁ!その前に、まず人の作品のレイアウトを、作者に無断で勝手に変えちゃ駄目でしょ!キュレーターって・・・給料は税金から出てるでしょ、あなた!絶対に友達にはなれないタイプ(笑)。

 まあ、ほんの3例だけ挙げたけど、いくらでも挙げられる。こう言うの日常でも、よく体験するよね。(本当にひどい実体験例はこんな所に書けないので、お墓まで持っていくけど)。
 「私は〇〇省の事務次官と知り合いでね」と言う人います。で、確かにその事務次官は今までがんばってそこまでの地位に行ったんでしょ。で、あなたは何者?
 (有名なタレント名を挙げて)「アレは俺が育てたんだ」と言うプロデューサー。2、3度一緒に仕事しただけでしょ?業界によくいるタイプ。

 会社名や学校名や人物名だけが「虎の威」じゃないよね。住んでる土地だったり、ブランドの服や鞄や貴金属や時計だったり、高級外車だったり、色々。本当に車好きなら、フェラーリやランボに乗ってても、全然嫌じゃない。僕もディノ246乗りたいなぁ、なんて昔から思ってるから。本当に車好きかどうかは、数分も話せば分かるよ。でも、高級車の威光を借りて自分を格上の人間であるかのように見せたい人は、昔から苦手。
 要はね、その人自身の内側にあるもので輝かないで、何か自分とは別の力で自分を偉く見せよう、大きく見せようと、言う人は苦手なの、昔から。
 まあ僕もそうだけど、誰でも見栄とかはっちゃう時はあるよね。弱い人間だから。完全な人間なんかいないから。
 人は、何かに頼らないと、心配になっちゃうんだよね。お金や財産、学歴、会社名、健康、ブランド・・・そう言う「鎧」や「兜」を一枚ずつ剥がした時に最後まで残っている物が、本当に大切な物だと思うんだ。
 虚栄心・・・実際の自分よりも、自分を大きく偉く見せたい。それが行き過ぎた「虎の威を借る人」は、やっぱ苦手です。自然と疎遠になります。

写真:「象の威を借る私」