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仕事とお金の話   (2016年11月2日記載)

 「仕事とお金の話やシェア記事」が、ここ2か月で僕のFaceBookタイムライン上にたくさん並びました。基本、長らく不況なんでしょうね・・・気持ちは分かります。
 僕は年に一回だけ、FaceBookで高額な税金に対する不平不満を書きますが(笑)、請け負っている仕事のお金のことは一切書きません。半年かかって納品したCGなのにクライアントに夜逃げされたとか、入金にならなかった仕事などいくらでも書けますが、ネットに不平不満は書かないようにしています。
 プロのスポーツ選手とかもそうだと思いますが、CGやデザインも作品作りの裏でしている努力は表に見せる必要はなく、結果だけ見せればいいと思います。見ている人は、作品に時間や手間がかかっているとか逆にかかっていないとか、予算が少ないとか多いとか、何の関係もありませんしね。
 ただ、独立して17年経過しますが「仕事とお金の関係」のポリシーは、きちんと持っています。「プロの仕事=お金をもらう」と言う点です。例えば、ゴッホは今でこそ有名ですが、存命中に売れた絵は一点のみ。そういう意味では、ゴッホは後の画商が有名にしたのであり、アマチュアのまま世を去ったのです。
 プロである以上、対価が必要です。では、対価とは何か?個人事業主であれば、自分の諸々の生活費、事務所費やその光熱費・通信費等諸々の維持費、設備費など一切を下回らない金額です。
 例えば、分かりやすく年間500万円必要だとしたす。それが、年間200万の売り上げでは商売になりませんよね。「やった!100万円の仕事を受注した!」と喜んでも、それが1~2か月で納品できれば良いですが、1年もかかったら完全に赤字です。
 10万円の予算の仕事、数日で終われば良いですが、それが1か月かかるようなものだったら、アルバイト以下の収入です。プロの仕事として、成立していません。
 僕は、受注産業の個人事業主なので、基本、なるべく仕事は引き受ける方向ですが、断る場合もあります。
 理不尽な要求や予算の場合です。僕は、必ず最初の打ち合わせで予算やスケジュールの話をします。当然ですが、プロならここを避けてはいけません。長いお付き合いのクライアントの場合は「申し訳ない、今回は予算なくて…」という場合は喜んで引き受けますが、毎回ずっと「(世間の常識以下の値段に)安くして」と言う方は断ります。私はボランティアで仕事をしている訳ではありません。まあ、「あなたの仕事は今後、引き受けられません」と言うと角が立ち、狭い業界で「あそこは生意気だとか!」悪い噂を流されてもこまるので、「営業に行かない」とか「メールを送らない」などで自然と次第に疎遠になるような方法を取っています。が、十年前に一度だけ、正式に「貴社とは今後、取り引きできません。仕事を受注いたしません」旨を文章で送って、断絶したことがあります。
 詳細を書くとお世話になった方々にご迷惑をかけるので、周辺をぼかして書きますが、ある汐留方面にあるテレビ局関係のプロダションから受けたテレビ番組のCG発注が、(例え話として書きますが)「300円払うので牛丼一杯お願いします」と言われ「それが、50杯、そして100杯」にふくらみ、それでも「最初言った300円しか払えない」と言うものです。ADとの交渉ではらちが明かないので、直にプロデューサーと交渉し多少でも予算を上げるなどの大人の対応検討を申し入れましたが、最初の予算しか出せないの一点ばりの対応。それでも、発注量は増えていくと言う理不尽。テレビ局に悪い噂を流されても困るのですが、その会社から受注した仕事が前の二回も連続で赤字だったこともあり、今後改善される気配もなく、いいように使われているのが分かるので、流石に「これ以上の取り引きは無理!」という事で断絶しました。安い値で受けると、全体がデフレスパイラルに陥ります。周りのクリエーターの首を絞めることにもなるので避けるべきです。
 これが僕の考え。
 ただし、仕事に支障のない範囲で、例外的に無料で受ける事もあります。どうしても応援してあげたい人とか、利益を生まないボランティア活動には無償で協力やバックパックすることもあります。これは、僕の思いと独断に基づくものであり、誰にも強制も指図もされることのない例外中の例外ですが(笑)。