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新時代の政治と経済   (2012年 6月24日記載)

 今の政治に落胆している人は、日本国中、とても多いと思う。

 国民の多くが、自民党政治にNGを突きつけ、政権交代を果たした民主党に新時代を期待した。
 年金制度の改革、子どもの教育(人材育成)を国家の政策の中心にすえること、幼稚園や保育園の一体化、悪法以外の何物でもなかった障害者自立支援法の見直しなどのマニフェスト。なかでも行政の無駄遣い、特に4400もある既得権益化した特殊法人にメスを入れ、支出を大幅にカットすること、ならびに政治主導は、マニフェストのセンターに位置していたはずだ。
 フタを空けてみたら、実質的にマニフェストのほぼ全てを撤回。そして、前回の選挙の争点や公約とは関係ない"増税"だけに心血を注いでいる始末。管前総理や野田総理を見ても分かるように、いかに多弁で取り繕っても、官僚支配に白旗を揚げたのは明らかだ。野田総理に至っては、選挙前と選挙後に言っている事が180度違う。
 国民だって公約をすべて実行できると思っていた訳ではないだろう。しかし、この酷い結果は国民への裏切りに他ならない。詐欺まがいだ。

 マニフェスト破りと同様に、現野田政権で容認できないのは民主主義を無視しているその手法だ。民主主義は、市民が選んだ政治家が議会で話し合い、一致点を探していき、どうしても決まらない場合は多数決を最終手段とする・・・これが民主主義のあり方だ。市民の反対や異論の多い原発や増税の重要な事柄を、一部の党の懇談会で意見を聞いただけで、「民主的に賛同を得た」などというのはあってはならない。"民主党"は、"非民主党"と名を改めた方が良い。
 過去の原発政策などで明らかになった自民の体質と同様、次の選挙で民主に票を投じる意味は無いと感じている人もほとんだと思う。そりゃ、そうだ。

 では、自民党と民主党以外の政党は?公明党、国民新党などの小政党が各党の「正論」を掲げた所で、結局は数の論理・・・政治に活かされることは少ないから、自民や民主に擦り寄らざるを得ないか、社民党のように外れるか、日本共産党のように孤高の道を進むしかなし。期待される平成維新の会も、フタを開けてみたら民主主義から外れて、平成の竜馬からは遠いし、みんなの党は民主の轍を踏まないでいられる?
 悲しいことだが、現実の選挙は「良い政治家を選ぶ」のではなく、「どの候補者も酷いがよりマシな方の政治家を選ぶ」しか、選択肢がないこと。これでは、"明治維新"と"戦後"に続く第3の日本の改革は到底無理。

 政治の変動の背景には、必ず経済的な変動の要因が絡んでいる。経済が上向きの場合は、政治に多少ひどい部分があっても市民はあまりとやかく言わない(※そこが問題なのだが)。半世紀以上に渡った自民党政治支配の事実がそれを物語っている。官僚の権益は拡大の一途を続けた。
 だが現代の格差社会では、もはやそれは許されない。今、高級官僚や(東電などに象徴される)大企業は、現代社会の「特権階級」だと認識すべき時だ。彼らのような高給や恵まれた待遇は、多くの民間企業ではほぼ不可能だ。国民の生活が困窮し、もっと言うと国が滅んで、官僚組織だけが残るという事は有り得ない。

 マックスウェーバーは、資本主義の貪欲の本質を理解していたのかもしれない。上に立つ経営者に社会的な倫理観がないことの危険性だ。人を徹底的に安く使い、原材料を買い叩き、市民が困ろうと何だろうと投機により物資の価格を高騰させ、将来の安全よりも今の利益を最優先とする・・・これを平然と実行し大儲けした経営者が優れた経営者とみなされ、多額の報酬を得る。
 ジョン・ロックは、民主主義とは何かを解いた。王政であれ、民主政であれ、市民の意思から外れ、市民を苦しめる政治には革命権を認めた。国王であれ、大臣であれ、市民の安全と幸福を考えない為政者は退場せねばならない。"市民の安全と幸福"が重要であって、"為政者の私利のため"では決してない…政治の発展した背景の本質は、そこが原点だ。

 結局、政治も経済も行き着くところは、人間の持つ資質にかかっている。人々が、"貪欲"を制することが出来ず"寛容"を持たないなら、日本だけでなく世界の政治も経済も終焉を迎える…今、世界がそう言う状況だと思う。
 新時代の変革が成し遂げられるか否か、"そこにかかっている"と強く思う。


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