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車に乗ると言ふこと (2006年12月24日記載)
このホームページのあちこちに書いているが、僕はスーパーカー世代の大の車好きである。車の本を読んでいるだけでも幸せだが、実際に運転するのはもっと好きである(…カプチーノを運転している時などは正に"至福の時"である)。車は好きだが、僕は一介の平凡な市民。IT長者ならともかく、そんなにたくさんの車を買う事はできない。
学生時代は親父のミラージュに乗っていたが、社会人になって初めて自分で車を買った(…5年ローン)。その車は、4ドアセダンのホンダ・クイント・インテグラVX(…非力なSOHC1500ccエンジンだった)。その後、中古のワーゲン・ゴルフを買い(…初の外車)、再びホンダ車の4ドアセダンのビガー(…アコードの姉妹車)を買った。
その後、友人とスズキ・カプチーノを共同購入し(…後に残りの全額を友人に支払い僕の所有物になる)、スキーやアウトドア用にスズキ・エスクードノマドを買い(…再び5年ローン)、結婚してから育児用のファミリーカーとして三菱ミフィール(…ekワゴンの特装車)を買う。社会人になってから6台の車を購入し(※うち4台が新車)、現在3台の車を所有している(注→エスクードについて)。ちなみに、エスクードは240万円、ミフィールは130万円、カプチーノには改造費込みで既に296万円を注ぎ込んでいる。過去に買った6台の車のトータル金額は、軽く1,000万円を超える…(※仮定の話だが、しっかり車購入計画を立てていれば、新車のBMW7シリーズやベンツSクラス、ポルシェ911カレラだって余裕で買えた…ため息)。
死ぬまでに、あと何回かは車を買い換える事になるとは思うが、でも、まあ、一般市民の買える車なんて誰しも似たり寄ったり、大同小異、だいたいこんなもんでしょう。住宅ローンや子供の教育費もあるし、生活にも色々とお金がかかるようになってくるし、車趣味に多額のお金を投じるのが許されなくなってくる、難しくなってくる。
しかし、車好きとしてはたくさん車に乗りたい。そこで、車を買う代わりに"試乗"と言う手段を使う。自動車評論家なら、"お仕事"としてメーカーやディーラーから試乗の案内が来るが、"自動車評論家ではない"一般市民の僕は、テリー伊藤の様に自分から試乗を求めてディーラーへと赴く。普通に試乗に行っても何の問題も無いのだが、そうそう暇でもないので、だいたい何らかの用事がある時にまとめて行く。例えば、車の整備を頼んでいる時の待ち時間を利用する。「ただブラブラ待っているのももったいないので、試乗させてもらって良いかな~?」とティーラーの人に言って、運転させてもらう。この一年ほどの試乗で印象的だったのは、"スズキ・スイフト"と"三菱・アイ"。スイフトは、とても国産コンパクトとは思えない秀逸の出来だったし、アイはパッケージング・走行性ともに、軽の中では確実に一歩抜きん出ていた印象を受けた。試乗でそう言う楽しいドライビングができる車に出会えると、すっごく嬉しい~。「いつか買いたい」とさえ思う…まあ、そのための試乗なのだろうけど…。
←試乗した1.5リッタースイフト。格別に良かった。
試乗車両が用意されていない場合はどうするか?取り合えずディーラー内の展示車両のドライバーズ・シートに座ってみる。着座のフィット感を体感し、パッケージグ・レイアウトを眺め、使用されている素材一つ一つを吟味する。後部座席がある場合は、必ず後部座席にも座ってみる。後部座席の座り心地を体感し、膝周りや頭上のスペースの余裕を感覚で測る。3列シートのある場合も、3列目に同様に座ってみる。運転する事が出来なくても、本の記事だけでは知りえない"車の実際の感覚"を手に入れる。銀座の日産の本社ギャラリーではZやGT-Rに座り、品川の三菱本社ギャラリーではランエボやパジェロに座り、お台場のトヨタのメガウェブに行ってはコペンやセリカに座る。スズキでも、ダイハツでも、どこでも。そんな事をあちこちで、何度も何度も繰り返す。
←コペンに乗る私
僕の"車試乗趣味"は、ディーラーだけに留まらない。親戚、知人、友人の車にも、その触手は伸びる。義父(※妻の父)が長年ベンツに乗っていたが、それをじっくりと観察。義兄(姉の夫)もベンツに乗っているが、丹念にその素材一つ一つまで観察させてもらった。友人のBMW5シリーズに乗せてもらい、また別の友人の3シリーズにも乗せてもらう。オペル、ヴィッツ、マーチ、フィット、コンパクトカーからワゴンまで、種々山ほど運転させてもらった。アメリカでは、国際免許でイーグルを駆りカリフォルニアのフリーウェイを疾走した。そんなこんなで、外車、国産車問わず、色んな実車の知識を"体の感覚"で入手していく。こうして乗った車の台数は、(数えた事はないが)相当な数に及ぶと思う。千台以上乗っているような自動車評論家にはとうてい及ばないが、"素人車好き"としてはそれなりの台数だと思う。
さて座る事すらできない場合はどうするか?ず~ずしい僕でも、さすがに見ず知らずの他人の車や、博物館の車に乗り込む訳にはいかない…それでは、犯罪者になってしまう。そんな時は、写真撮影だけで耐える、じっと耐える、我慢する。ちなみに、フィルムカメラとデジタルカメラで過去撮影した車の写真の枚数は、現在なんと2千枚を超えている(※つまりこのHPに掲載している車の写真はその中のほんの僅かなものでしかない)。撮影回数の多さに自分でも驚いたが、妻はそれ以上に飽きれ返っている。
色んな車を運転した経験は、何の役に立つのか?「役に立つ」と言えば役に立つし、「役に立たない」と言えばまったく役に立たない。買い物にしか車を使わないのなら、まぁ大して役には立たない。
まずたいへん役に立つシチュエーションは、新たに車を購入する時。車情報が"知識"としても"経験"としても蓄積しているで、次に車を購入する時は"迷い"が無い。目的に応じてどの車を買えばよいか、頭の中に明確なリストが出来上がっているからだ。
次に役に立つのは、特殊な用途に車を使う時。けっこう役に立つ。例えば、僕が今所有している3台は、FR、FF、4WD、用途もライトウェイト・スポーツカー、ファミリーカー、レジャー・ビークル、ミッションも5速MT、3速AT(コラムシフト)、4速AT(フロアシフト)…と三者三様である。性能が違い、駆動方法が違い、車両のパッケージングが違い、大きさや重さも違うから、当然運転の仕方も違う。普段の街乗り走行では、こう言う違いも対した問題にならないが、スキー場へ行く雪道やワインディングロードでのスポーツ走行では、大きな問題となる。駆動方法や車体の重さやパッケージング等が違うと、車の挙動が大幅に変わってしまうからだ。FF車で雪の山道で滑って回転する恐怖や、FR車で交差点のオーバースピードで図らずも4輪ドリフトしてしまった時の焦り等、色んな経験をすると"車の特性を知る事"の重要性を思い知る。
色んなタイプの車に乗った経験は、"僕的には"決して無駄になっていない。乗り降りは楽なのか、100km/hに達するのにどのくらいかかるのか、高速での旋回性能はどの程度なのか、ブレーキはどのくらい効くのか、騒音や振動はどうなのか、長時間乗って疲れないのか、後部座席は狭くないか、荷物は積みやすいのか、どのくらい積めるのかetc.…こう言う事は正に"百聞は一見にしかず"であり、雑誌の記事データ(※特に新車をヨイショする提灯記事)では決して分からない。
こうして、素人自動車評論家(?)の僕は、また"新たな試乗車"を求めて市中を彷徨うのである(^_^;;)。
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