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経済について真面目に考える   (2004年8月1日記載)

職業人のモラルについて


 犯罪と言うのとはちょっと違うのだが、最近働く人の倫理観や使命感と言うものが、どんどん低下しているように感じる(倫理観と使命感は、表裏一体の関係にあると思う。片方が低いと、もう一方も低くなる)。ついこの間、僕の地元の駅前交番に助けを求めに来た男を警官が保護しなかったため、男は暴力団員に連れ去られてボコボコにされて手足を骨折すると言う事件があった。警官は、ヤクザの身内の問題と言う事で知らぬ存ぜぬを押し通したが、目撃者があまりに多く(事実、一般の人が「警官が何もしていないのだが…」と警察に携帯電話で連絡したそうだ)て、全国ネットの大ニュース、大問題となった。警察が暴力団を恐がっていたら、誰が市民を暴力団から守ってくれると言うのだ?(彼等は、若き日に"太陽に吠えろ"に心を熱くしなかったのだろうか?)。
 こう言った事は、何も警察の専売特許ではない。先週、NHKのプロデューサーが数千万円と言う大金を流用し、裏金をキックバックさせていた事件が発覚した。本来、それらのお金は立派な番組を作ってもらう為に視聴者が払ったお金だ。彼等に、職業人としての倫理観や使命感はないのだろうか?(彼は、NHKの"プロジェクトX"を見て心を熱くしなかったのだろうか?)。
 最近、その手のニュースがあまりに多い。公金や会社のお金を流用した、架空の出張で裏金を作った、そんなニュースが後を立たない。会社の業績を上げる為に、有り得ないような豪華な接待をしたり、多額の賄賂を渡したり・・・そんな事も未だに続けられている。汗水流して一生懸命働くことと、業績の為と称して何でもかんでもやってしまう事は、似ているようで全然違う。
 先日、地元のショッピングモールの本の売り場で、小学生と思われる二人の女の子(子供だが既にサンダル履きに茶髪のヤンキー姿の娘達)が、売り場に座り込んで次から次へと手当たり次第に本を開き、大声で騒いでいた(おそらく周囲に見せつける為に、わざとそうしていたのだと思う)。その横を60歳代と思われる警備員が通りかかった。すると、警備員は何も注意しないで通り過ぎてしまった。僕の側に来たその警備員に、「何故、注意なさらないのですか?」と尋ねると、警備員が「何が?」と言う。僕が「誰がどう見たっておかしいでしょう?」と言うと、彼は「どこがおかしいの?」と言う始末。明らかに、先述の警官と同様、"知らぬ、存ぜぬ、関わらぬ"を決め込むつもりらしい。「あなたが注意しないなら、僕が注意しますよ」。そう言って僕が子供達の方に歩いて行くと、子供達の迷惑行為に気が付いた本屋の若い女性店員が先に近付いて「こんな所に座って、騒いでいてはいけませんよ」と注意した。本来は、通りがかった警備員がしているべきだった仕事である。しかも彼のような人生経験豊かな(はずの)警備員にこそ、子供達を諭して欲しかったと思う。いったい何のために、彼はショッピングモールを見回っているのか(お散歩をしているのか?)。明らかに、警備員は典型的な事なかれ主義者だった。一日中、何事も無かったかのように過ごしたいのだろう。おそらく目の前で殴り合いが演じられていても、彼はその場からすっと消えるようにいなくなるに違いない。そして「そんな事があったなんて知りませんでした」とでも言うのだろう・・・(彼は、若き日に宇津井建の"ザ・ガードマン"に心を熱くしなかったのだろうか?)。
 いつから日本人はこれほどまでに、自分の仕事に対してプライドを持たなくなったのだろう。働くと言う事には、働いて報酬を得る"労働"と言う面と、使命に仕える"仕事"と言う二つの面がある。日本では、いつしか"お金"を稼ぐと言う労働面のみが、強調され過ぎるようになってしまった。お金を稼ぐか否かと言う面だけで、勝ち組み・負け組みの選別がなされるようになった。そんな国に、魅力なんてない。イチローや中田ではないが、自分の仕事に対する志の高い人達は、そのうちみんな日本に愛想を尽かして外国に行ってしまうぞ、ホントに。


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