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経済について真面目に考える    (2004年8月1日記載)

消費者金融について

 僕は、この問題について語る権利があると思う。何故なら、かつてカードローンの件数が増えてしまってぎりぎりの生活だったことがあるからだ。25歳で転職した当時、給料が半分に下がったのに、アパートの家賃や駐車場代は毎月出て行くし、無理してアメリカ製のコンピューター(※アミーガ)を買ったりして、当然の如くカードローンが増えてしまった。総合口座通帳は常に貸越状態の赤字で、他にカード会社のカードローンが2件、銀行系のカードローンが2件で、それらの金額の合計額も150万円を超えていた。ローン残高をゼロにするのは、それはそれは長い道のりで何年もかかった。何故なら、そう言ったローンの金利は異様に高くて、返しても返してもなかなか元金が減らないし、手持ち資金に困るとまた借りてしまうと言う悪循環が続くからだ。僕も元銀行員だったから、もちろん初めから馬鹿高い金利のカード・ローンに手を出したわけではない。最初に銀行に金利の安いローンを申し込んだのだが、"転職したて"と言う事で信用が無くローンを断られてしまったのだ。しかし、どうしてもCGを始めたかったので、金利の高いカードローンを借りてしまった訳である(事業独立の際にも、地元の信用金庫に僅か150万円ほどの事業資金のローンを断られショックを受けた事がある・・・わずか5年前の話である)。現在、消費者金融の隆盛と自己破産者の増加を見るにつけ、過去の自分の状況を思い出す。
 先日、弁護士会がテレビ局各社に消費者金融のCMの自粛を要望した。これらは一部の新聞などで報道されただけで、テレビでは報道されなかった。それもそのはず、テレビ局にとっては、消費者金融業は年間広告収入700億円と言う上・上・上得意客である。そんな否定的なニュースを流すわけがないし、CM放映を止める気など毛頭無い。では、なぜ弁護士会が消費者金融についてのCM自粛を要望したかと言うと、
消費者金融の金利設定の違法性にある。現在日本の貸し金業の金利決定の根底となっている法律は、利息制限法、出資法、貸金業規正法がある(※注)。利息制限法では、上限金利を10万円では20%、10万~100万円未満は18%、100万円以上は15%と定めている。しかし、この金利で貸し出しを行なっている大手消費者金融はほとんど無い。出資法で定める上限金利29.2%を根拠に、25~29.2%の範囲の金利を設定している業者が多い。何故そんなことになっているかと言うと、利息制限法には金利を超えても罰則がないのである。結果、罰則のある出資法の上限金利を採用しているのだ。出資法と利息制限法の差額の金利は、一言で言えば顧客から"任意"に払われているのである。では、100万円を29.2%の金利で借りて、5年かけて返すと利息はいくらになるのか、ざっと計算してみた。毎月17,000円の元金をこつこつ返したとして5年間、その支払う利息の合計額はなんと72万7千円である。100万円借りて72万円もの利息の支払い・・・いくらなんでも高すぎるだろう。
 弁護士会は、法律に違反している(具体的には利息制限法を超過している)高金利の貸金業者が、テレビのゴールデンタイムに堂々とCMを流し、気軽にファッション感覚でお金を借りられるような錯覚を視聴者に与え、結果として自己破産する若者の増加を招いている事実をテレビ各局に訴えたのである。もちろん借りる方にも責任があるのだが、(実際に僕も銀行でローンを断られた経験が二度もあるので)銀行がなかなか貸してくれないと言う現実も知っている。銀行は傘下のグループのカード会社に高金利で安易に儲ける道から、銀行自ら適正な金利で借り易くする道を拓いて欲しい。また消費者金融各社も、利息制限法に則った金利設定をしてほしい(個人的には10%以下が望ましいと考えている)。また、マスコミ各社(特にテレビ局)にも時間帯やCMの内容も含めて、適正なオン・エアをしてほしい。そして、何より監督官庁に、罰則も含めた上限金利の徹底をしてほしい。

※注:銀行などの金融機関の上限金利に関しては、昭和22年の臨時金利調整法と言う法律もある(←未だに現役法。どこが"臨時"やねん)。


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