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クリエーター相談の憂鬱 (2022年6月6日記載)

独立開業しているCG屋なので、多くの色んな相談を受けてきました。
独立したいとか、仕事が無いけど増やすにはどうしたらよいかとか、エトセトラ。
その中で特殊なのが、学生さんの「プロでやっていけるか」相談。過去に2例ありました。人物を特定できないように、かなりぼやかして書きます。

1例目は、知人からの相談。
地方から出てきた卒業予定の美術専門学生の女子がいるんだけど、プロでやっていけるかどうか相談受けたけれど私は専門外なので分からないので、相談に乗ってあげて欲しい。
うん?そう言うのって、就職課とか先生が相談に乗るもんじゃないの?ですが、知人のたっての頼みなのでお会いすることにした。
作品を見せてもらった。
唖然とした。
世には、上手い人が自分の世界を描き出すのに、敢えてヘンテコに見える特殊な絵を描く事がある。キュビズムのピカソだって、子どもの頃に既に超リアルな絵を描いていた。ポスターや雑誌で見るヘタウマな絵は、基本上手いんです。下手な人には、アレは描けないんです。
が、これは・・・。



僕が、一所懸命に苦心して下手に描いた絵をここにアップしますが、冗談抜きでこのレベルなのです(汗)。
5~7児が描いたと言ったレベル。2年間、専門学校で何を学んでいたの?20歳でこのレベルで、どうしてプロでやっていけると思った?
ようやく理解した。専門学校の就職課や先生が匙を投げたので、全く関係ない僕まで相談が回ってきたのだ。
もう一つ驚いたのが、会話が成り立たないこと。自分のことばかり話し、人の話しを聞いていない。そして、他人の悪口や愚痴ばかり。仕事と言うのはチームワークでするものなので、これでは仕事の受注や打ち合わせすら難しい。
本当に上手くなかったヘタウマの代名詞で扱われる天然のルソーでも、周りの高名な画家仲間から慕われて敬意を払われていた。
初めて会った人の人生を左右する厳しい言葉なんて伝えたくないが、正直な感想と意見を伝えた。たとえ後で陰口を叩かれることになったとしても、大事な局面で嘘は言えないよね(涙)。

2つ目の例は、数年後、昔とある地方でお世話になった方からの相談。
これも美術の専門学校を卒業する20歳の娘さんがプロでやっていけるかどうかを、お父様がお手紙で相談されてきた。
娘さんの作品が同封されていた。
何故か既視感がある・・・やはりここにアップしたレベルの画力なのである(汗)。
素人が見ても判断できる。お父様も分かっていらして、お手紙を送ってこられたのかもしれない。就職課や先生が匙を投げて、お父様が相談されてきたのだろうと推察します(そもそも就職が決まっていたら相談などされない訳で)。
たいへんお世話になった方だからこそ、正直な意見を手紙に書いて返信しました。

学校の先生でも、美術専門学校の就職課のスタッフでもないのに、ましてや1回しか会っていない、もしくは会ってすらいない他人の一生を左右するかもしれないハードな助言をするなんて、僕には重すぎます。
その後、もうこの手の相談は全てお断りする、と決めたのでした。